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デジタル・ケイブ事始め。(34) 著作権から、自分がいなくなった後の世界を考える。

あー、南の島、行きたい。

いやいや、なんか上の写真を見ていたら、そんな気分になってきましたわ。
最近ときどき、「みんなのフォトギャラリー」という、noteの機能を活用させてもらっているんですよ。
素敵な写真がたくさんあって、助かります。

ところで、著作権の話。
三月に法人を起ち上げた際、これまで個人事業としてやってきた、著述業、早い話が小説家としての自分の仕事を、法人の一部に含めるかどうか、迷ったんですよね。
イベントスペースの部分だけを、法人にする手もあったので。

しかし、いろいろ考えた末に、著述業も法人の業務に含めることにしました。
ひとつには、イベントスペースとカフェだけでは、すぐには黒字が出せるような体制にはならないだろうという懸念がありまして。
しばらくは、小説のほうの原稿料や印税で、店の赤字を補うつもりでいかないと、なかなか回らないんじゃないか。
ほら、商売って何でもそうですけど、最初の三年は赤字だと言うじゃないですか。

これだけ気合を入れてつくって、すぐに潰すわけにもいかないので(笑)、一般に認知してもらうまでの間、なんとかもたせるには、印税を突っ込むしかないなと。

それに、著述業を法人と別にしておくなら、経理処理も分けないといけないので、面倒だなと思いまして。

で、法人として著述活動を続けるとした場合に、いくつか著作権の関係で、「どうしよう?」と迷う点があったわけです。
ひとつは、これから私が書く小説が、法人の業務の一環として書くので、「法人著作」という扱いになるのはともかくとして、これまでに書いたものはどうします? という問題ですね。
このご時世、過去の作品がじゃんじゃん重版して……ということは、さほど心配しなくてもいいと思いますが、問題は電子書籍です。
これ、近ごろそれなりの印税を上げてくれているんですね。

もし、この過去の作品群の著作権を、個人に残したままにした場合、電子書籍の売上が個人宛に振り込まれたりすると、税務署が見たとき、まるで私が所得隠しをしているように見えないかな。

そんな心配も生まれまして。

で、過去の作品についても、著作権を法人に譲渡することにしました。
その節は、版元の皆さまに、いろいろとお手数をおかけしました。(まだ全社は終わってないんですけども)

でね。
自分でも本を読んで勉強したし、いろんな方からいろんなアドバイスも受けたのですが、そのなかでひとつ、面白い話があるんです。

それは、個人の著作か、法人の著作かで、著作権が切れるタイミングが変わるよ、という話。

何の話かといいますと。

個人の著作物の場合、皆さまよくご存じのとおり、その人が亡くなってから70年間、著作権は保護されます。
しかし、法人の著作物の場合は、それが発表されてから70年間しか、著作権が保護されないのです。
それを心配して、「著作権は個人に残しておいたほうがいいんじゃないか」と言ってくださる編集者さんや、知人もいらっしゃいました。

これね。たぶん、作家さんによって、考え方が大きく異なるところだと思うのですよ。

子孫に著作権からの収益を残してやりたい。
そう思われる作家さんも、もちろんいらっしゃるでしょう。
ですが、私の場合、家族といえば、年老いた両親だけ。
弟はすでに独立し、立派に一家をかまえて、かわいい(伯母バカ)姪っ子、甥っ子たちと暮らしております。
私が責任をもって後のことを考えなければいけないのは、両親のみなわけです。

そうするとですね、自分がいなくなった後、70年も著作権を保護し続けても、正直あまり私には意味がない。
それより、もしもそんなことがかなうのであれば、ひとりでも多くの人に自由に読んでもらえるほうがいい。
こんなん書いてるやつがいたのかー、と言って。
むしろ、70年なんて長すぎるとも思うくらいで。
(ただこれは、40歳前後でデビューした私だからそう思うだけで、10代、20代でデビューされる方もいらっしゃいますから、感じ方は人それぞれですよね)

ものを書く人なんて、たいていそんな感じではないかなと、思うのですけどもね。