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LayerXが、電子契約・銀行API・クラウド会計と組む理由 -DXとSaaSとブロックチェーン-

どうも、すべての経済活動を、デジタル化したい福島です。

ここ2週間でこのようなプレスリリースを出させていただきました。

なんでブロックチェーンの会社がSaaSと?具体的には何をやるんだ?どういう意図なんだ?と疑問に思った方も多くいると思いますのでその意図を解説するようなnoteを書いてみます。

【対象となる読者】

「LayerXで働きたいと思ってるがどんな会社なのか戦略なのか気になっている方」、「LayerXと仕事をしてみたいが、ブロックチェーンでお願いしないといけないの?どんな切り口でお願いすればいいの?と疑問をお持ちの企業の担当者の方」、「LayerXと組んでみたいSaaSサービスの関係者の方」

を想定しています。

ワークフローをデジタル化する

(長いなと思う人はここだけ読んでください!)

LayerXがやっていきたいこととして「ワークフローのデジタル化」というものがあります。どういうことでしょう。ワークフローという単語がなじまない人はワークフロー=業務と考えてみてください。

デジタル化の第二波

デジタル化は今、第二波が来ていると思います。一波目はわかりやすく、「チャネルのデジタル化」です。百貨店で買っていたものがECで買う、新聞やテレビで見てた情報をネットで見るようになる、コンソールゲームで楽しんでいたゲームをスマホで楽しむようになる、銀行窓口でやっていた送金をネットバンキングでするようになる、などです。

では第二波の「ワークフローのデジタル化」とはなんでしょう。チャネルが変わるというよりは業務がデジタルに変わります。皆さんが働いてる時間はまだまだアナログが支配する世界です。その世界にデジタルの利便性が入り込んでいきます。紙無しで請求がデジタルで完結する、電話なしで金融取引ができる、契約書やFAXの山から紙を探さなくともサプライチェーンのマネジメントができるなどです。

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例えば請求作業というのを例にとって考えてみましょう。請求作業なんてただの送金プログラムでしょと思う人もいるかも知れません。なんでそんな簡単ことがまだデジタルになってないのと思うかもしれません。本当に簡単なのでしょうか。例をとってみてみましょう。

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このように、請求のワークフローでは、稟議、契約・請求の合意、契約条件を満たしたかの確認、合意した上での送金と請求書の送付など様々な業務(=ワークフロー)が付随して起こるものです。

こうしたフローをデジタル化しようと思うと、例えば「電子契約サービスで契約締結 => 納品後検収して、請求書を発行・承諾 => クラウド会計サービスが売掛・買掛を認識し、送金リクエスト => 銀行APIが送金 => ERPやクラウド会計ソフトで消込作業、帳簿反映」といったワークフローになるかと思います。またこういった作業は後々の「トレースバック性や正当性の証拠を残しておく必要」があります。そのため、各フローでの記録を遡れるようにする、またその記録が正当な承認に基づいたものであると検証できるようにするなどの、SoR(System of Record)の要件がでてきます。

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単純に見える請求作業一つとっても、実は単なる送金プログラムではなく、このような事を考えて作らないといけません。

(勘が鋭い方だと、この時点で「ああ、LayerXはそれでこのアライアンスを出してるのか」と気づくかと思いますがそれは後ほど後述します。)

また請求作業以外にも、LayerXが取り組んでいるものとして、アセットマネジメントのワークフローをデジタルに扱うこととはどういうことなのか、サプライチェーンのワークフローをデジタルに扱うことはどういうことなのか、証券決済を(以下同文)

などがあります。

このようなことが可能になった背景は技術の進化が大きいと思います。

デジタル技術というのは当初は離れた場所にどうやって情報を伝達するかという文脈で進化していきました。現在は、ネットワークに溜まったデータを活用して知的な認識作業を行う機械学習的なソフトウェアが乗り、電子認証やガバナンス、合意形成の記録のような仕組みも載ってくることで、単にメッセージを送り合うのではなくデジタル上でワークフローを構築できるよう進化・成熟していきています。

またソフトウェア化は分業化、水平化を促進し、「クラウド」「電子契約」「会計」「送金API」など分業化された機能を磨き上げて提供する会社が出てきているためすべて自前でこういったソフトウェアをすべて用意する必要なくなってきているというのも大きな要因かと思います。

SaaS導入ではだめ?

じゃあ、そういったSaaSやパッケージを導入すればいいじゃないか、という考えにもなると思います。SaaSそれぞれは非常に素晴らしい機能を持っていると思います。

LayerXでは、三井物産様、SMBC日興証券様、三井住友信託銀行様との合弁会社であるアセットマネジメント会社で実際にデジタルなワークフローを現在進行系で構築していっています。

この合弁会社では、電子契約やクラウド会計、銀行APIのようなSaaS、パッケージソフトを活用しています。SaaS導入のみだと、部分部分のデジタル化にとどまってしまうので、「アセットマネジメント業務」を「デジタル」に構築しようとするとSaaS間の連携や、そのワークフロー自体が正常に機能したかのログの記録、トレースバック性や監査性を担保する必要があり、SaaSだけではカバーできない部分でもあります。

またすでに社内で開発コストを掛けたERP、EDIといった基幹システムや、各々の会社に内製化されている業務システムのようなものとの連携も存在するでしょう。こういったSaaSとの領域外の連携のようなところもカバーしないといけません。

SaaSやERP、EDIの基幹システムなどはすでに市場に素晴らしいものがあります。その導入自体はLayerXは肯定的です。そしてその先にある「ラストワンマイルのデジタルワークフローの構築」がLayerXが提供していきたい部分であるのです。

RPAではだめ?

似たような話でRPAの導入をすすめていっているんだよね、もうこういったことはすすめているんだよ。という企業の方もいらっしゃるでしょう。

RPAの導入自体は非常に良いことなのですが、RPA自体はデジタルなワークフローというよりは、アナログな業務フローに当てるデジタルパッチという性質のものかと思います。

デジタルなワークフローとRPAの違いで行くと、「メンテナンス性、改善性」という観点があるとおもいます。

おそらく多くの会社では、業務は一度作って終わりではなく、継続的に改善されるものと思います。

たとえばアセットマネジメントの業務は、新しくでてくるアセット、投資家のモメンタムの変化、法規制の変化、景気の変動etcによって業務フローは細かく変化・改善していっています。

改善という観点からいくとRPAはデジタルパッチなので、アナログの業務フローを作り、それに合わせてデジタルパッチを、下手したらゼロから再度構築し直す必要があります。

また他の部署やシステム間の連携みたいな話が出てきたときに、ワークフロー自体が各々独立してしまってる為にRPAで実行した結果を、紙に出力し、それを再度別のRPAに合わせた形に入力し直して実行のような、わけのわからない事態に陥ってしまうこともありうるでしょう。(実際弊社の顧客にはこういった事態に陥ってしまっている会社さんもいます)

このように、RPAもデジタルワークフローも「得たい結果」は同じなのですが、「業務の運用や改善」を前提としていくのであれば、デジタルパッチ的な手法でなく、デジタルなワークフローで解決していくべきと考えています。

もちろん上記に当たらないケース、あまり変化しない業務ではRPAは非常に有用なソリューションかと思います。

かゆいところに手が届く、泥臭いDXを実現していきたい

このようにデジタルなワークフローを実現していこうとなった時、全て自分たちでやるのではなく、すでに洗練されたSaaSを提供している企業様とパートナーシップをすすめていくことが重要と考えました。

また各種プレスリリースで出している通り、ブロックチェーンファーストではなく、課題ファーストですすめていく提携でもあります。

技術が先立って、解決される課題はあまりないと言えるでしょう。今回の提携では、DXをすすめたい企業にたいしてSaaS×LayerXというパートナーシップで、ブロックチェーンにこだわらず、DXをすすめていくという意志の表明であります。

一方、LayerXはブロックチェーン技術に張っている会社であり、技術選択としてのブロックチェーンに自信が持てる所は確かにもっています。ただそこは顧客が意識しない形で使っていくことになると思います。殆どの顧客は裏でRDBがうごいているか、NoSQLが動いているかを意識したことはないと思います。それと同じ感覚です。

じゃあそれってどういったところなのみたいな話は次の項目に書いてあるので興味がある人は読んでみてください。

なぜブロックチェーン企業がやるの?

さて、基本的に意図はすでに書いたことで十分なのですが、おそらくこの記事を読んでいる方は「なんでブロックチェーン企業がこういうことやるの?」と疑問に思うこともあるかもしれません。

前提: LayerXの技術へのスタンス

まず大前提として、弊社のスタンスなのですが「すべての経済活動を、デジタル化する」というミッションに対して適切な課題設定、適切な技術選定をしていこうと思っています。

その中でブロックチェーン技術を活用する範囲もあれば、それ以外の技術を使い解決していくこともあります。

その前提の上で、ブロックチェーン技術はやはりこういったDXに欠かせない技術であるという信念で経営しています。 

お客様の観点では、「どういった課題を解決したいのか?」にフォーカスしていただきます。その裏でどんなソリューションを用意するか、そのソリューションでどんな技術が動いているかはLayerXがプロ意識を持って選び実装していくというスタンスでいます。

その前提の上で、ブロックチェーン企業がなぜ前述のような取り組みをするのかという文脈を説明していきます。

0/100で考えないブロックチェーン

まず弊社はブロックチェーンを0/100の技術として捉えてるわけでは有りません。例えば改ざん耐性のある時系列データだけがほしいならAmazonのQLDBのようなものを使う。時系列データに第三者に対する監査的機能をいれたい場合はプライベートチェーンを使う。複数企業でそのデータ、ワークフローを共有したいケースはコンソーシアムチェーンを使う。インフラ運用までの外投げをしたいならパブリックチェーンのような選択をするといったように、どこをなにまでしたいかによって、様々な選択肢が存在します。またいわゆるエンタープライズチェーンの中でもユースケースによって向き不向きもあるのでそこも技術合理を持って選択していきます。

ここを深ぼるレポートがLayerXのR&Dチームからでますので気になる方はそちらを読んでください。以下で事前登録可能です。

その中で、SaaSやERP、基幹システム、業務システムをつなぐような共通台帳としてのブロックチェーンは非常に筋が良いと考えています。

中国での事例(電子領収書)

例えば中国の発票システム(電子領収書)は以下のような設計で作られています。

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(引用元: https://media.dglab.com/2019/05/05-chinanblockchain-01/)

ユーザー側からの見た目は変わらず、その裏側のシステム的インターフェースもかわりません。SaaSのバックエンドにあるデータをインプットとしたり、更新をフックに台帳を同期させたり、その間にデジタル署名をかますことでデータの検証性をあげるといった使い方をしています。

中国での事例(サプライチェーン)

もう一つ、これもまた中国の例かつ中国語で恐縮ですが、こういった例もあります。わかりにくいですが、サプライチェーンでのデータ一元化のための活用です。

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(引用: https://www.chainnova.com/news/archives/index.html)

こちらもフルでブロックチェーンを活用というよりは、データの入力部分は各種サービスやシステム(IoT, ERP etc)を利用します。システムの裏側で署名をかまし、データの信頼性やトランザクションの順序の信頼性をあげた上で、機械学習的なロジックに使うといった構成になっております。

最近よく中国のテックジャイアントである、アリババやテンセントがクラウドにX兆円投資、AI、IoT、ブロックチェーン、セキュリティなどという単語をよく目にします。(バズワードのオンパレードすごいですね)

彼らはこれらを単なるPR向けのバズワードと捉えているのではなく、このようなデジタルなシステム設計の未来が来ると見据えて投資してるのではないかと個人的には思っています。

グローバルでの事例(ERPやCRMなどシステム間、サービス間、企業間の情報連携)

その他にも、EYとConsensys、MicrosoftがやっているBaseline Protocolというものもあります。

ざっくり説明すると、社内でのERPなどの基幹システムのデータが企業間でも使いやすいようにそのproofをブロックチェーンで共有するといったものです。

これも思想としては企業にすでに導入されているERPのデータを共有する層としてブロックチェーンを利用しているものです。

Baseline Protocolに関してはLayerX Newsletterでも取り上げてますので興味がある方は以下を見てみてください。

各種事例への見解

これらの3つの事例は一貫して、既存のシステムのインタフェースを利用しつつ、サービス・システム間や企業間のSSoT(Single Source of Truth)をつくるといった用途にブロックチェーンを活用しています。

LayerXでも、DXをすすめていく上で、合理的な技術選択をしていきます。ブロックチェーンのみにとらわれない一方、こういったものを構築していく際には自信を持ってブロックチェーン的技術を選択していくと思います。そしてそれは顧客から見たときは今となにも変わらない、課題にフォーカスされている状態というのを目指しています。

どういった会社に相談してほしいか

「DXをしたいと思っているが、業務が複雑でどこから手を出していいかわからない企業の方」と「DXをサポートしたいと思っているが、個別課題やつなぎ込みにまでリソースが回らないSaaS企業の方」です。

前述のように、契約管理のような汎用的なソリューションから、「アセットマネジメント業務」のような特化型のソリューションも取り組んでいます。

証券決済のようなガッツリ金融系の応用もあれば、保険の裏側のオペレーションのような半金融的応用、サプライチェーンや物流、貿易のようなバリューチェーン的適用もありうるとおもっています。

こういったキーワードに引っかかりがある会社は是非気軽にご相談ください。

LayerXでは具体的にどうやってすすめてるの?

LayerXでは、社内にR&DチームやDXチームをおき、複数観点で開発しています。

R&Dチームでは、こういった世界を実現していくのに不可欠である、秘匿化技術であったり、ユースケースに応じた基盤の検証を行っています。

社内DXチームでは、既存のコーポレート業務や、合弁会社でのそのドメイン特有のDXなど順序立てて社内開発をすすめています。

こういったソリューションをただ納品して終わりではなく、実際に合弁会社の中で運用し改善し、意味のあるものにブラッシュアップしていく。こういった流れでLayerXではDXをすすめています。

その前段としての共同プロジェクトもしておりますので幅広い相談をお待ちしています。

パートナー募集中

LayerXでは積極的にパートナーを募集しています。

こういった業界で働いてみたい方。

DXをすすめたいが、何からすすめていいか整理が難しいと考えている企業担当者の方。

より深いDXをしたいSaaS企業の方。

常にパートナーを募集しておりますので奮ってご連絡ください。




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LayerX CEO, Gunosy創業者, エンジェル投資家。大学時代はコンピュータサイエンス・機械学習を研究していました。テクノロジーを武器にしたスタートアップエコシステムの拡大に人生を賭けています。