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歯磨きするゾウ

歯磨きするゾウ

私がベッドでスマホをいじっていて、夫が風呂上がりに歯磨きをしているという場面。
夫はわざわざ洗面所から寝室に来て、シャカシャカと音を立てながら私の枕元のあたりにボスっと座る。

そこで私の頭を撫でるとか、私の顔を愛おしそうに見ることは一切しない。

ただ正面を向いて歯を磨いている。

シャカシャカシャカ

「…この人、懐いている!!」と、私はすこしテンションがあがる。

"人間の庇護がなくても生き

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"選択的子なし"と輪廻転生

"選択的子なし"と輪廻転生

noteをはじめてから、選択的子なしやDINKSというスタイルについて発信する人たちの文章をよく読むようになった。もちろん理由は自分が同じ境遇だから。

そこで、枕詞のようによく書かれているのが「自分の代で子孫が途絶えてしまうのは先祖に申し訳ない」という言葉。

確かに、歴史を知れば知るほど「困難な時代でも命を紡いできた先祖は偉大だな」と思うし、膨大な血の歴史を自分が断ち切ってしまうことへの罪悪感

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手のひら

手のひら

すべてを形に残す必要はない。私の今のこの気持ちだって目に見えないまま、誰にも知られないまま過ごせば良い。

そう思っているのにこうやって捉えた感情の機微を手のひらで弄んでしまう。

部屋にふわりと迷い込んだ蝶々を想像する。私はそれを逃すことはできない。好奇心のままに追いかけ、執拗に触れてしまう。そのうち蝶々は弱り、羽を鈍くばたつかせて息絶えるだろう。

人肌のトルソー

人肌のトルソー

昨日の夜、隣で寝ている夫を見てふと思ったこと。

夫は血の気とか生気みたいなものが希薄で、たまたま体温が宿っただけのトルソーといった感じがする。

スーパーの衣料品売り場に置いてあるような、時には躍動感あるポーズをとらされることもある、あのてかてかしたプラスティックのマネキンとも違う。
アトリエのなかで佇む頭も足もないトルソー。

ただそれだけの、イメージの話。