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"選択的子なし"と輪廻転生

noteをはじめてから、選択的子なしやDINKSというスタイルについて発信する人たちの文章をよく読むようになった。もちろん理由は自分が同じ境遇だから。 そこで、枕詞のようによく書かれているのが「自分の代で子孫が途絶えてしまうのは先祖に申し訳ない」という言葉。 確かに、歴史を知れば知るほど「困難な時代でも命を紡いできた先祖は偉大だな」と思うし、膨大な血の歴史を自分が断ち切ってしまうことへの罪悪感は、まあ、私もわからんでもない。 中には途中で子供を持つという考えに変わる人も

    • 限界を知る、そしてパーティーへ。

      私はもともと友達がすくない。 「私はAちゃんとBちゃんとも仲がいいけど、AちゃんとBちゃんは最近気まずそう」とか「CちゃんがいるときはAちゃんがあんまり楽しくなさそう」とか、そういうことに気を配るのが煩わしいので1対1での交友関係が基本だ。 大阪に住んでいた頃はそれで問題なかったのだが、愛知に引っ越してきてからは、大阪の友達と会う回数がさらに減ってしまって、口だけの約束が増えていっている。 「一人一人と会うために時間を取るのはそろそろ限界かもしれない、体力もない。そうだ

      • あまのじゃく(とはいえ当然の)

        「高齢の義父をなるべく近くで見守れるように」という理由で、私たち夫婦は愛知に引っ越してきている。 引っ越しに伴い、夫婦揃って転職。義実家から近いところに賃貸を借りた。 この私たち夫婦の行動を「優しい」と表現してくれる人が周囲にはちらほらいる。もちろんそれは悪い言葉ではないのだが、私はその言葉にムズっとする。 子供に対して穏やかな声掛けをするお母さんに対して「優しいね」と言うことはあっても、子育てという行為そのものにわざわざ「子供を育てるなんて優しいね」と声をかける人は少な

        • 歯磨きするゾウ

          私がベッドでスマホをいじっていて、夫が風呂上がりに歯磨きをしているという場面。 夫はわざわざ洗面所から寝室に来て、シャカシャカと音を立てながら私の枕元のあたりにボスっと座る。 そこで私の頭を撫でるとか、私の顔を愛おしそうに見ることは一切しない。 ただ正面を向いて歯を磨いている。 シャカシャカシャカ 「…この人、懐いている!!」と、私はすこしテンションがあがる。 "人間の庇護がなくても生きていける野生のゾウとのふれあいを試みた結果、ゾウの方からそっと寄ってくるようにな

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          自分の代わりに弟が新婚旅行に行った話

          やんわりと話していた夫の地元への引っ越しの予定と、やんわりと話していた「新婚旅行に行くなら香川でうどんを食べよう」という予定が、なぜか一気にふりかかってきた2年前の3月。 私はそもそも夫の地元への引越しには積極的で、「引っ越しちゃおうぜ」と渋る夫を後押しするほどだった。 2月はじめに夫から「もしかしたら4月に引っ越しするかも」という相談をされ「職場にも伝える必要があるから早めに教えてね」と私は言っていた。 夫が引っ越しへの意思を固めたのかどうかよくわからず、確認しても「

          自分の代わりに弟が新婚旅行に行った話

          業務用洗濯機・食洗機への憧れ

          介護施設や飲食店でバイトをしていたときに出会った業務用の洗濯乾燥機や、食洗機のことを今でも忘れられない。 私はあれを自分のものにしたい。 所有するだけではなく、自分の采配で稼動させたい。 有料老人ホームで働いていたとき、入居者の洗濯物をまとめて台車に乗せ、洗濯機のある部屋におろし、乾燥が終わればまた台車に乗せて運ぶという業務があった。 業務用の洗濯機のパワフルな洗浄力と、火傷するんじゃないかと思うくらいの高温で仕上げる乾燥力にいつも魅了されていた。 飲食店の食洗機も、

          業務用洗濯機・食洗機への憧れ

          言葉はドアスコープ

          他人が見ている、生きている世界を覗くことができるドアスコープのような役割が、言葉にはある。 最近話題の『無痛おねだり』というワード。 わざわざ調べなくても、おねだりの意味が【立場の弱い人間が立場の強い人間に"請う"行為】ということはわかるはずだ。 私はおねだりという言葉をざっくり分けて 「子供が親にゲーム機をねだる」 「恋人に洋服やカバンをねだる」 くらいでしか見たことがない。 他には、小遣い制のサラリーマンが妻に何かをねだるような場面も想像できるかもしれない。 あの

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          高齢の義父から学ぶこと

          今日は義父と夫と私の3人で、ショッピングモールに行って食事をした。 私の夫は飲食店でのタブレット注文に慣れていないのか、年下の私にそっと操作を委ねてくることが多い。 今回も1番年少の私が率先して注文を打ちこんでいると、義父から「俺にも触らせて。やらないとわからないから。」と言われた。 "高齢の義父にはできない、今後1人で飲食店を訪れることなんてないだろうから覚えなくていい"と決めつけて、義父の学びの機会を奪ってしまっていたことを反省し、タブレットを義父に差し出して3人で

          高齢の義父から学ぶこと

          母の日〜ママに届け〜

          私が幼稚園の年長になった年に、母は再就職している。 新しい就職先は、結婚前に働いていた職種とは全く違う分野だった。 子供4人を育てながら、約10年のブランクを抱えいるなかで、資格をいかすことのできる職種を選んだ母親の先見性に、ただただ尊敬する。 今から私が振り返る幼少期の思い出の中には、もしかしたら共働きになる前のエピソードもあるかもしれない。どちらにせよ私が物心つく頃には、すでに4人姉弟が完成していたので、どのエピソードに関しても「子供4人を育てて大忙しのはずの母」だとい

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          副交感神経によろしく

          夫が風邪をひきはじめて2週間になる。 高熱こそ出ないものの咳は止まらない。 病院には2回かかっているのに。 今日は土曜日。 昨日の夜に比べて症状が穏やかに見えたので、「体調どう?ましになった?」と訊ねると「いやぁ、昼間はあんまり咳が出ないんだよ、夜がなぁ…それで調べてみたんだけど、」と夫が言う。 すかさず私は「副交感神経でしょ?」と返した。 会話をクイズゲームのように捉えて、相手の言葉を奪ってしまうのは私の悪い癖だ。 夫は私のそんな悪癖を気にする様子もない。 夫は「

          副交感神経によろしく

          村に火をつけ 白痴になれ【読書感想】

          内田樹の『困難な結婚』を読んだときに唐突に出てきた"アナキストはいつもご機嫌"というワードがなんとなく印象に残って、アナキストについて調べた。 そのなかで1番興味を惹かれたのが伊藤野枝だった。 大正のアナキスト。 28歳という若さで憲兵に虐殺され生涯終えている。 本文を読んでみると伊藤野枝の覚悟と、身体的なタフさに驚かされる。 まず18歳で第一子出産、20歳で平塚らいてうから仕事をもぎ取って『青鞜』の発行人になる。 なんと18歳~28歳の10年の間には執筆と並行して

          村に火をつけ 白痴になれ【読書感想】

          年の差婚に対して「相手が先に死んじゃうのが悲しい」と言ってしまう人たち

          年の差婚について、わざわざ言わなくてもいいことを平然と言ってのける人がいて、その思慮の浅さにびっくりすることが過去にあった。 たとえば「相手が先に死んじゃうのが悲しいから私は年の差婚できない」や「"パートナーに先立たれる"という悲しい体験を娘にはしてほしくない。だから私は反対」という意見。 これ、当人は"感受性豊かな自分"や"娘を思いやる賢明な母"というセルフイメージで発信している言葉なのだろうけど、建設的な意見だとはあまり思えない。 犬を散歩させている人に向かって「犬

          年の差婚に対して「相手が先に死んじゃうのが悲しい」と言ってしまう人たち

          シーラカンスとアイスコーヒー

          今月の25日、蒲郡で行われる森、道、市場という野外イベントに行く。去年に続いて2回目。 去年はペトロールズやフジファブリックなど、一度は生で観たい聴きたいと思っていたアーティストのパフォーマンスを実際に体感できたことに感激した。 そのイベントには喫茶toiという豊橋の喫茶店が出店していて、そこのコーヒーを飲むことも当日の目標の1つだった。 目当てのアーティストだったペトロールズの出番まであまり時間の余裕がなく、店はステージからも遠かったが、アイスコーヒーを諦めることは出

          シーラカンスとアイスコーヒー

          味噌カツとナゲット〜魂の反省〜

          夫は今日から仕事。 私ひとりで夕方から家を出てライブに行った。 ライブが終わったあと、夫に連絡を入れると とメッセージがきていた。 晩御飯を用意してくれていたことはありがたいのだけど、それだけで晩御飯になるかどうかは微妙な、なんともいえないお惣菜のチョイスに夫らしさが出ていて、少し面白かった。 純粋に私が好きそうなものを選んでくれたんだと思う。 家までは自分の足で帰った。 寝室を覗くと、目をバッキバキに開いて汗ばむ夫がベッドにいた。 また熱を出したらしい。 すぐに冷

          味噌カツとナゲット〜魂の反省〜

          大森靖子について無責任に、浅はかに語る

          大森靖子の曲は「許す/許せない」の曖昧なところで行ったり来たりする気持ちをスッと掬い上げてくれる時があり、私はその一点だけで大森靖子を信頼したいと思える。 この歌詞なんて説明する必要がないくらい、巧みに人間関係を表している。 許せない自分と、できる限り現状維持のまま相手と人間関係をやっていきたい自分。 相手を許さないことが自分にとっての傷になることをわかっているし、許してしまったらその選択が傷になる。 そんな判断すらすぐにつけられなくて自己嫌悪でぐちゃぐちゃになった末に

          大森靖子について無責任に、浅はかに語る

          ゴールデンウイーク【最終日】虎渓山・永保寺

          岐阜県多治見市にある名勝・永保寺に行ってきた。 永保寺の庭を設計したのは夢窓疎石。 "禅庭・枯山水の完成者として世界史上最高の作庭家の一人"とのこと。 京都にある西芳寺庭園と天龍寺庭園も夢窓疎石の設計で、この2つは世界遺産。 永保寺を見学するにあたって初めて知った人物だが、Wikipediaを読めば、禅宗庭園の基礎を作った偉大な人物であることがわかる。 永保寺の駐車場の近くには五平餅やかき氷を売っているお店があり、そこで休憩している人も多かった。 今回は綺麗なイチョ

          ゴールデンウイーク【最終日】虎渓山・永保寺