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だが、積読はある。~第52回Book Fair読書会~

DIE WITH 積読ZERO!!

2018年5月に始まったBook Fair読書会、おかげさまで、このたび5周年を迎えられました。

参加者の方々、本当にありがとうございます!!!!!
正直、5年も続くなんて想定外です・・・笑

「本の帯文を書く」という、一見とっつきにくい趣向の会を楽しみ、育ててくださった皆さんに感謝しています。

基本は部活みたく賑やか、でもじっくり語り合うこともできる雰囲気。

そんな「本を通して人を知る」場を、月イチで開ける幸せを感じています。

次の5年に向け(←おい本気か)、今後ともよろしくお願いいたします!

5周年の節目に写り込む「おしぼり」。。。


それでは、本と帯の紹介をどうぞ!
(カッコ内の数字は、参加してくださった通算回数)


ヒロさん(24):ビル・パーキンス『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』ダイヤモンド社

【最後に残るのは 思い出だけである】

ヒロさんの帯

《紹介》
タイトルを直訳すると「(所持金)ゼロで死ね」!
”宵越しの銭は持たない”なんて江戸っ子の言葉もありますが、それとは少し違います。

その根底には「人生最後に残るのは、思い出だけである」と言い切る信念があります。

つい、将来が気がかりで貯金や節約をしがちだけれど、実はお金の「使い方」こそが、人生の濃さになるのですね。

本書で、自分が面白かった言葉は「記憶の配当」です。
楽しい体験がもたらすのは、単にその時の喜びだけではない。

後々思い出す記憶も大事で、消費ではなくむしろ投資である・・・その考え方はいいなと思いました。

《雑談》
◆お金を使うにも「体力」が要る。体験にも「賞味期限」がある。
◆フェスに行きまくったら「記憶の配当」もたっぷり!?
◆物を買う時も、誰かと一緒に行ったり、店員さんと話すと「体験」になる。
◆自分に温泉旅行をプレゼントする予定!

かえちゃんさん(10):山里亮太『天才はあきらめた』朝日文庫

【努力できるって 絶対的な 天才だ!!!】

かえちゃんさんの帯

《紹介》
南海キャンディーズの”山ちゃん”こと山里亮太さんの自伝的エッセイ。
山ちゃんの、努力する姿勢が本当に素晴らしくて。

最初はモテたくて始めたお笑い。どうしても「天才」になりたいけど、なれないから努力するしかない。そのために自分の思考や怠け癖を分析して、退路を断っていきます。

私からしたら、これって「天才じゃない?」と思うほどです。
良くも悪くも言葉に毒があり、時々「相方にそんなこと言っちゃうの?」って驚くけど・・・

また、オードリー・若林正恭さんは文庫解説で「逆に、天才だと思わない人がこの世にいるのだろうか?」と称賛。
(芸人仲間としての)歪んだ愛情も感じる、めちゃくちゃいい解説でした。

山里さんと若林さんの人生を描くドラマ『だが、情熱はある』と併せて、楽しんでほしいなと思います。

《雑談》
◆『だが、情熱はある』、俳優さんの演技が凄い!
ふたりのエッセイが参考文献になっていて、読んでいるとまた違う面白さも。

シラユキさん(初):加島祥造『求めない』小学館

【今、在るものを慈しむと こころは満たされていく】

シラユキさんの帯

《紹介》
詩人による15年ほど前のベストセラーですが、時代を選ばない普遍的なテーマがあると思います。

加島さんに影響を与えた老子は「足るを知る者は富む」という言葉を遺しました。
私がしっくりくる解釈は「欲はきりがないけれど、自分が十分持っていると気付ければ、心は満たされる」です。

また、欲とは承認欲求、仏教で言えば「執着」でもあると思います。
人は、不安があるから認められたい。
でも、それゆえ自分をよく見せ、理想を追うあまりに調子を崩してしまいます。

よく「ありのままでいよう」と言われますが、それは今ここに「在る」自分を受け入れるということ。
何度か読む中で、自分にとって深い癒しと、気付きを与えてくれた本です。

《雑談》
◆言葉は、その人の感覚次第で捉え方が変わる。
例えば「あきらめる」はネガティブに聞こえがちだけれど、仏教では「明らかに見極める」という意味もある。
山ちゃんも、天才を「明らかに見極め」た?
◆求めるからこぞ、自分を知る。そこから「求めない」が始まる
◆『求めない』の本は、人にプレゼントできる?手に取るのにちょうどいいタイミングは?

えみさん(7):BSジャパン、若林正恭『文筆系トークバラエティ ご本,出しときますね?』ポプラ社

【本の処方箋☆】

えみさんの帯

《紹介》
小説家さんたちが対談するテレビ番組の書籍版。
若林正恭さんがファシリテーターとなり、加藤千恵さんや村田沙耶香さんなど、自身がリスペクトする小説家さんに率直な疑問をぶつけます。

後半では、小説家さんに「これだけはする(しない)」というマイルールを聞きます。
例えば、朝井リョウさんは《身を削った者が強い、と言う人を信用しない》。

スポーツ選手などが「全身全霊をかけてやってきました」と言うけど、あれ言わなくてもよくない?っていう。
これ、めっちゃ”ぽい”なと思って(笑)

また、対談の最後には「異世代の人が理解し合う」(西加奈子さんと朝井さん)など、テーマに沿ったおすすめの1冊が発表されます。

なので帯には「本の処方箋」と書きました。若林さんの感覚が読者に近いので、気軽に読めて楽しかったです。

《雑談》
◆『だが、情熱はある。』の主人公2人の本が出揃う奇跡!
◆小説家さんの「これ言いそう」が詰まった本。特に朝井リョウさんは全部言いそう。
◆好きなのに、なぜか敬称略してしまう朝井リョウ”さん”。
◆読書会来てる人って、結構変わった人が多い・・・?(小声)→見た目は普通だけど、いざ話し出すと??
知らない本の話も「聴く姿勢」を持ってくれる人がいる場の幸せ。

じゅんさん(6):片岡義男『道順は彼女に訊く』青空文庫

【彼女はなぜ消えたのか? エスプレッソの香りたつミステリー】

じゅんさんの帯

《紹介》
ノンフィクションライターの日比谷昭彦が主人公のミステリーです。

引っ越しの荷解きで見つけた、とある記事の切り抜き。
それをきっかけに、日比谷は5年前の女性失踪事件を追い始めます。

まず、記事を書いた福山に話を聞いた後、女性の関係者たちに取材する日比谷ですが、失踪につながる痕跡は見つからず・・・。

そして、最後で明らかになる真相には、途方に暮れてしまいました。
「これ、どうすりゃいいんだろう」という気持ちです。

また、巻末には作者によるあとがきが入っていて、その解説のおかげで2回楽しめるなとも思いました。

登場人物がよくエスプレッソを飲んでいるので、読むとコーヒーが欲しくなる作品です。

《雑談》
◆まだ著作権が切れていない作品ながら、作者の意向により「青空文庫」に収録。
◆じゅんさんが語る「青空文庫」の楽しみ方。

◆新宿の紀伊国屋書店で、「好きな小説を組み合わせて自分だけの短編集が作れる」コーナーを発見!!
コーヒーをテーマに編集したら楽しそう。

RUIさん(5):幅允孝『差し出し方の教室』弘文堂

【あなたの「らしさ」を 未知なる場所に届けるヒント】

RUIさんの帯

《紹介》
本を置いて待つだけでは、読まれない時代。
そんな今、本を「差し出す」ために大切なこととは?

ブックディレクターの幅さんが、様々な職業の方へのインタビューを通して考えていきます。

東京国立博物館の照明デザイナー、動物園の元園長、ワインバーのソムリエなど、それぞれの「プロとしての想い」が伝わってくる構成です。

後半では、幅さん自身の活動、ブックディレクションに焦点が移ります。

例えば、温泉宿にライブラリーをつくったり、子どもに向けた新しい図書館をデザインしたり。

どんな相手に、どんな差し出し方をすれば、気持ちよく受け取ってもらえるかについて語っています。

私も本を紹介する仕事をしていて、「押し付け」が引かれることは分かります。
では、どうすれば伝わるのか?参考になる工夫があり、楽しく読めました。

《雑談》
「本は遅効性」。効くのは何年後になるか分からないけれど、とにかく出会わせたい。
◆多彩な「本のある場所」に携わっている幅さん。知らず知らずのうちに、私も本を差し出されているかも・・・


こーせーさん(43):佐藤友則、島田潤一郎『本屋で待つ』夏葉社

【本屋さんの 本屋さん以外の役割】

こーせーさんの帯

《紹介》
これは、広島の本屋さん「ウィー東城店」について書かれた本です。
著者の佐藤さんは、スタッフが全員辞めてしまった父の書店を継ぎ、店長となりました。

最初の目標は〈赤ちゃんを連れたお客様に「抱っこしてみませんか?」と言っていただけるようになる〉
お店を立て直す中、そんな接客の姿勢がだんだん認められていきます。

「ウィー東城店」は、本屋ですが化粧品売り場があり、後に美容室・コインランドリー・パン屋も併設されていきます。
また、地域の人が持ちこんだ「困りごと」をきっかけに、新しいサービスを始めることもあります。

そんな色々な商売が成り立つ背景には、昔から人々が持っている「本と本屋への信頼」があるといいます。
本が主軸だからこそ、「あそこに行けばなんとかしてくれる」と思ってもらえるのです。

また、その延長線上に「働く人が育つ」経験についても書かれています。
本から始まって、人にフォーカスするという意味では、読書会にも通じると思いますし、これからもそうありたいですね。

《雑談》
◆本屋で働いていた時、目の前に交番があるのに、多くの人が道を聞きに来た。これも本屋への信頼?
◆この先、「本と本屋への信頼」は受け継がれていくだろうか?

ふっかー(52):島田潤一郎『電車のなかで本を読む』青春出版社

【"走る公共読書室"、そのくらいに思ってます。 byふっかー(電車読書歴15年)】

ふっかーの帯

《紹介》
スマホばかりに時間を明け渡していて、いいのだろうか。
電車の中では本を読もう――。

そう決意したひとり出版社「夏葉社」代表の、新聞連載コラムをまとめたものです。

実は、読むのがあまり速くないという島田さん。積読はなんと千冊近く!
ある時は、今読んでいる本が別の本の「読み時」に影響し、またある時は全く対照的な本を読みたくなり・・・

「曲がりくねった道」を「反復横跳び」するような読書が、いつまでも続いていきます。

また、特に好きな一文は「自分と言う空っぽのなかに、だれかが書いた小説や随筆や詩をどんどん投げ込んでいく」です。
私も無意識のうちに、時々やっているなと思いました。

読書にちょっと疲れた時、一歩引いて考え、また本に戻りたくなる文章が詰まっています。

《雑談》
◆偶然?必然?主催2人が夏葉社関連の本つなぎ!(買ったのも同じ本屋さん)
◆以前、ヒロさんが推してくださった『ファッションフード、あります』も紹介されている。
島田さんが思い出深いという「モスコミュール」から、カクテルの話題で盛り上がる。

参加者のみなさん、ありがとうございました!

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