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本がひとつほしいとの祈り/第53回Book Fair読書会@新宿

まさかの以心伝心!?

2023年6月のBook Fairは、初参加の方が3名!

久しぶりの嬉しい再会(3年ぶり!)あり、
Twitter上の読友と待望の初対面あり!でした。

ところで、この写真、何か違和感ありませんか…?笑

6年目の奇跡。

なんと、主催のふっかーと、参加者(やすあきさん)の紹介本がかぶってしまいました!Σ(´∀`;)

まさかの事態に、思わず二度見!

◆前日の心境
私「今回はサッカーの小説とか持ってくる人いないっしょ」(→普通にいた)
やすあきさん「サッカー好きなふっかーさんに薦めよう」(→めっちゃ嬉しいけど!笑)

※ふっかー監督は急いで選手交代の準備を始めました⚽⚽⚽

「はじめまして」が多めのメンバー。
最初は緊張感が漂うも、このハプニングで結構ほぐれた気がします…

徐々に打ち解け、最後はもっと語りたいな、と思えた時間でした!

それでは、本と帯の紹介をどうぞ!

RUIさん(6):島本理生『週末は彼女たちのもの』幻冬舎文庫

RUIさん「雨の新宿に合いそうな本を持ってきました」

《紹介》
恋愛小説を読書会で紹介するのは初めてです。
この本には20以上の掌編が入っていて、誰かしら「お気に入り」の主人公が見つかるのではと思います。

綺麗な写真とともに、ちょっとずつ綴られる大人の恋。
都会が舞台だけれど、甘々キラキラではない物語がゆるくつながっていきます。

元々は新宿LUMINEとのタイアップで書かれたもので、1話3ページほど。ふだん本を読まない友人に薦めたら、ハマってくれました!

《雑談》
◆行動範囲が広がると、本への興味も広がる。そしてご当地本を読みたくなる!(例:石田衣良『池袋ウェストゲートパーク』)
◆脳内でキャスティングしたいから、絶対に映像化してほしくない!
◆推し「恋愛小説」は?→尾形真理子『試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。』、江國香織『神様のボート』

こーせーさん(44):凪良ゆう『流浪の月』東京創元社

切実で悲痛な叫び。

《紹介》
十数年前、「帰りたくない」少女を、「うち来る?」と連れて行った青年。その出会いは、世間から”誘拐事件”として扱われます。

本当は、加害者でも被害者でもなかった2人。
しかし、彼らの説明は、周囲に全く理解されません。とにかく皆、配偶者でさえ、話を聞かない!

読みながら、話すことの無意味さすら感じました。
それでも、届くか半信半疑であっても、自分から発信することが大事。
そして、相手の話を聞き、考え続けていきたいですね。

《雑談》
◆「わかりたい」から「わかりやすい」レッテルを貼りたがる。
さらに、当事者に”開示責任”を求める世の中。
◆すぐ「あなたはこういう人なんですね」と決めつけられる風潮に、だんだん皆うんざりしてきている・・・?
◆生きづらさを描いた(ように感じる)小説に対し、分かれる読者の反応。

りんごさん(初):仲町六絵『からくさ図書館来客簿 ~冥官・小野篁と優しい道なしたち~』メディアワークス文庫

『週刊りんご』また遊びに行きたいです!byふっかー

《紹介》
京都の私設図書館が舞台のファンタジー小説。
設定が現代なので、行ったことがあれば、より雰囲気を楽しめます。

「からくさ図書館」の館長は、平安時代の貴族・小野篁。歴史上に実在した人物です。
この物語では、仕えている時子と共に、図書館の裏で別の仕事もしています。

それは、迷える”道なし”たちを救うこと。
彼らは、幽霊とは違うのですが、この世にいてはならない存在なのです。

仲町六絵さんは『おとなりの清明さん』が有名ですが、個人的にはこちらの方が好きです。
既に完結していて、手に取りやすいシリーズだと思います。

《雑談》
◆中高生で読んだ小説は、その後の「選択科目」に影響する!?(例:歴史小説にハマったら日本史)
◆RUIさん「京都は何度行っても”知らない京都”に出会える」
りんごさん「観光地ではなく(日常の)京都の街並みを歩きたくなりました」
◆面白かったラノベ談義→『本好きの下克上』『ビブリア古書堂の事件手帖』など

やすあきさん(3):津村記久子『ディス・イズ・ザ・デイ』朝日文庫

第6回サッカー本大賞受賞!!

《紹介》
架空のプロサッカー2部リーグの「シーズン最終節」を描いた小説です。面白いのは、選手や監督でなく「ファン目線」で描かれている点です。

2部リーグは(実在のJリーグ2部と同じく)1部昇格を狙うチーム、昇格プレーオフ進出の可能性があるチーム、逆に3部に降格してしまいそうなチームなどが戦っています。

22チームほぼ全てが、何かの「ボーダーライン」に立つ状況で迎える最終節。それぞれのファン心理が交錯します。

特に「悲喜こもごも」だったのは第8話『また夜が明けるまで』、土佐と浜松の試合です。
自分のチームが勝てば嬉しいし、負けても相手に「おめでとう」と言える。複雑な想いを抱えながらも、応援できることは素晴らしいなと思いました。

《雑談》
◆バスケやサッカーの「推し活」トーク!特に昇格プレーオフの話は、涙涙・・・( ;∀;)
(ふっかーにとっても、2012年のJ2は思い出深いです。熱かった!)

◆文化としてのスポーツ観戦の定着、地元チームのコミュニティ化。

※Book Fairとも縁の深いお三方が、本作について語った配信があります!ぜひお聴きください📻

はせがわさん(初):原田マハ『星がひとつほしいとの祈り』実業之日本社文庫

はせがわさん「沈下橋の描写も好き」

《紹介》
20代から50代まで、様々な年代の女性が主人公の短編集です。
見た瞬間「なんて素晴らしい題名!!」と好きになって、速攻で買っちゃいました。

生きていると、理不尽なことってあると思います。それでも、どうにかやっていこうと思える話になっています。

題名にある「星」って?何がほしいんだろう?と考えると、決して大きなものではないんですね。
ちょっとした恋愛の成就、大事な家族との時間、仕事の成功・・・でも、手に入れるのは意外と難しいんだなって。

色んなタイミングで読み返すと、視点が違っていたりして、また感動したり励まされたりしています。
私にとってそうであるように、この本を読んだ人が、お守りみたいに思ってくれたらな、という気持ちで帯を書きました。

《雑談》
◆ささやかな幸せが、手に入りそうで届かない切実さ。
◆原田マハさんの文章について。優しくて、癒される。

なおきさん(2):出口治明『座右の書「貞観政要」 中国古典に学ぶ「世界最高のリーダー論」』角川新書

なおきさん「大河ドラマでの家康も、よく本を読んでいる」

《紹介》
『吾妻鏡』と並び、徳川家康の愛読書として知られる『貞観政要』を解説した本。
『貞観政要』は、中国唐代に編纂された太宗の言行録です。

唐も、日本の江戸時代も、比較的平和な時代が続きました。「太平の世」を築く上で、家康はこの本から多くを学んだと言われています。

三英傑(織田信長・豊臣秀吉・徳川家康)の中で、なぜ家康が「美味しいところ」を持っていけたのか。
それは、部下の「諫言」を耳に傾けていたから。うるさい奴を切ってしまったのが信長や秀吉であり、吞み込んでから判断したのが家康でした。

その家康の姿勢は、まさに太宗に通じるところがあります。『貞観政要』は、家康が「どうする」と迷った時、答えをくれた”かもしれない”一冊です。

《雑談》
◆信長と秀吉は、あまり読書しているイメージが浮かばないけど、実際はどうだったのだろう。
◆難しい本やテーマの案内役として、信頼できる書き手を持っておくことは大事。
◆入り口として新書は便利だけれど、著者それぞれの「色」がある。一冊だけで理解した気にならないようにしたい。

こうさかさん(初):平野啓一郎『かたちだけの愛』中公文庫

作者が唱える「分人主義」とのリンクにも注目。

《紹介》
デザイナーの男性と、交通事故で片足を切断した女優の出会いから始まる恋愛小説です。

義足作りの依頼を通じ、男性と女優は関係を深めていきます。
その中で、初めて体をつなぐ場面は、「片足がない」相手にすごく気を遣う男性と、「普通にしてほしい」彼女のズレを感じ、とても印象的でした。

また男性は、女優が自分とは相容れない”クズ男”と付き合っていたけれど、それでも好きである自分って「どうなんだろう」と考えます。

それは、相手の過去、いわば「知らない」部分を含めて愛する難しさ。
私が以前読んだ漫画『めぞん一刻』の終盤にも似た場面があったのですが、愛の捉え方について考えたくなりました。

《雑談》
◆恋と愛はどう違う?長く一緒にいたくなるのはどんな人?
◆純文学からエンタメ寄りへ、平野啓一郎さんの文体(作風)の変化。

ふっかー(53):浅倉秋成『六人の嘘つきな大学生』KADOKAWA

みんな嘘つき…ってコト!?

《紹介》
IT企業「スピラリンクス」の最終面接に残った就活生6人。
最後の課題は「グループディスカッション(GS)」。

採用は若干名、人事部は”全員合格”の可能性を匂わす。
それならWin-Winで!と協力し合う就活生、漂う青春感。

しかし、本番直前の「採用は1人だけ」メールに、空気は一変。
さらに試験会場には、就活生たちの裏の顔を暴いた置き手紙が。

突如、バトルロワイアルと化すGS。果たして合格者は、そして彼らの仲を裂いた「犯人」の正体は・・・?

就活は、知識・情報・出会いが一気に押し寄せ、学生を「成長させすぎてしまう」。
そんなドーピングのような経験を、一歩引いて見られるミステリーです。

《雑談》
◆こうさかさん:この作品の舞台版が面白かった!
◆学生時代(就活前)にこの小説を読んでいたら、どう消化していただろう?


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