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第28回Book Fair読書会@新宿~まったりお茶戦記~

Book Fair読書会、2021年もよろしくお願いいたします!(←やっと言えた)

3月21日、今年初の読書会は、『文藝サロン epokhe』をお借りして開催!

epokheさんとのコラボは3回目です。いつもありがとうございます!

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今回は、3種類の中国茶(鉄観音、鴨屎香、大金芽)を飲み比べるイベント付き。どれも、味や香りに個性があって楽しい!

お茶は店主さんが、美味しい杏仁豆腐と一緒に準備してくださいました。本当にありがとうございます!

(そして、ふっかーに中国茶の魅力をレクチャーしてくださった、『Chinese tea stand NORA』のじゃっきーさんにも感謝しています!!)

お茶のアロマ漂う、リラックスした空間。「こんなにゆったり時が流れる読書会は初めて!」と声が上がるほどでした笑。

加えて、今回で通算の紹介冊数が200を突破しました!ありがとうございます。この勢いで、3周年イヤーを駆け抜けたいですね!!

それでは、紹介された本と「マイ帯」をどうぞ!(名前横のカッコ内数字は参加回数)

ヒロさん(15)→東浩紀『ゲンロン戦記 「知の観客」をつくる』中公新書ラクレ

マイ帯【40から失敗してもいいじゃない! 気鋭の批評家の会社経営ドキュメント】

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批評家・東浩紀さんが、40歳で創業した会社『ゲンロン』について語る回顧録です。

Book Fairで、ヒロさんが東さんの著書を紹介するのは3回目。この本では、ゲンロンでの10年間における「地味な失敗談」が印象的だったとか。

例えば、「利益度外視の寄付を宣言」「経理を疎かにしてしまった」「会社のスペースを、無断でDJイベントに使われた」「本の装丁に凝りすぎてコケる」等々…。

ヒロさんが「尊敬する東さんでも、こんなキレッキレな失敗を!」と驚いてしまう”しょっぱい”ミス。確かに、以前(記念すべき第1回!)薦められた『弱いつながり』の、鋭い文章からは想像つかない…。

それでも、逆に言えば「40歳で失敗しても大丈夫!」と前向きになれるノンフィクション。ヒロさん曰く「東さんの本が未読の方にもオススメ!」


Chiharuさん(2)→山口絵里子『裸でも生きる 25歳女性起業家の号泣戦記』講談社+α文庫

マイ帯【世界を舞台に勝負し続ける女性起業家の奮闘記 一歩踏み出す勇気をもらえる一冊】

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Chiharuさんは、自身も愛用しているバッグブランド『マザーハウス』の設立者・山口絵里子さんの"人生論"を紹介。

先ほどのヒロさんと同様に、Chiharuさんも著者の「失敗談」が心に残ったそうです。そういえば、両方タイトルに「戦記」が付いてますね…

山口さんがブランドを立ち上げるきっかけは、バングラデシュの大学院に進んだこと。そこで素晴らしい天然素材があると気付き、現地の人と連携してバッグの商品化を目指します。

異国の地で挑むビジネスは、騙され、裏切られと苦労の連続。それでも、「いいバッグを届けたい」という一心で乗り越え、国内外の販路を拡大していきます。

「失敗したって、転んだって、全てを失ったって、私はまた裸になればいい」…その姿勢には、Chiharuさんも「小さいことで落ち込んでいる場合じゃない」と元気をもらえたといいます。

学生時代、「アジア最貧国」という検索ワード(!)から辿り着いた、著者の原点に触れられる一冊です。


銀星糖さん(3)→カツセマサヒコ『明け方の若者たち』幻冬舎

マイ帯【あの時あんな恋愛をしていたな 辛い事も幸せな事も 今の自分の中では宝】

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町田市で『翠色読書会』を主催する銀星糖さんは、町田在住の作家さんのデビュー作を披露。

「(地元の老舗書店で、郷土作家コーナーがある)久美堂でバーッと積まれていて、手に取りました!来年は映画にもなります」

「主人公が大学生から社会人へと進んでいく過程で、(朝井リョウさんの作品も彷彿とさせるような)就活の苦しみや、忘れられない恋を経験していく。柔らかい文体で読みやすく、〈私もこんな時あったなあ〉と思わされるストーリーです」

また「新宿三丁目や明大前といった舞台」や、「青春を思い出してドキドキしてしまう、綺麗な心情描写」も読みどころ。

思わず「表紙買い」してしまいそうな、ブルーの装丁にも惹かれますね。そして、ちょっと影のあるカバーが示唆するように、甘いだけの恋愛小説に終わらぬ「仕掛け」もあるとか…気になります。

かなさん(2)→瀬尾まいこ『天国はまだ遠く』新潮文庫

マイ帯【生きることに疲れたら 美味しいものを食べる。】

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都会の生活に疲れた若い女性(千鶴)が、行くあてのない旅へ。辿り着いたのは、山奥の村にある「民宿たむら」。民宿といっても、実態は宿泊料すら曖昧な、"田村さんの住む一軒家"。

何か月も人が訪れていない民宿で、睡眠薬自殺を図る千鶴でしたが、結局は失敗。自給自足の生活を送る田村さんに助けられ、共に暮らし始めます。

今作でも、瀬尾さんの十八番である、食事シーンの「読み味」は健在(Book Fair主催の2人も、よくこの話題で盛り上がります!)。かなさんによると、特にお米が美味しそうで、新米を古いお米のおかずにする!なんて衝撃的な食べ方も。

「この本を読んで、〈ただ生きる〉ことに立ち返ってみたいとは思いましたね。私も、都会の生活に疲れてきたので…笑」

なんだか主人公よりも、かなさんが心配になってきましたが…「落ち込んだ時は、この本を読み返す」そうです!!!

じゅんぺいさん(14)→アダム・グラント(楠木建:訳)『ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代』三笠書房

マイ帯【オリジナルを科学する!】

「どこかで紹介した気はあったけど、Book Fairだったとは忘れてました!笑」

じゅんぺいさんは、まさかのアンコール!第16回(2019年10月)に紹介していた『ORIGINALS~』が再び登場です。

漫画専門の読書会を主催するじゅんぺいさん。「漫画家や漫画好きな人が持つ”独創的な発想”は、なぜ生まれるのか?という疑問が、再読のきっかけになりました」

組織心理学者である著者は、才能がある人の行動や、世の中で「なんとなく良い」とされる習慣を、科学的に検証しました。その結果の中で、じゅんぺいさんが特に興味深いと感じたものはこちら。

◆「直感を信じた方がいいのは経験豊富な(因果関係が一貫した)分野」

◆「創造性が高い人は”先延ばし(考える時間の確保)”を結構している」

◆「起業が成功する人には、慎重派が多い」

いかがでしょうか。「意外だ」「周りの人に当てはまる」など、”答え合わせ”的な読み方もできますね。

「オリジナルとは何か」と考えるだけでなく、「これからの選択における根拠になりそう」(byじゅんぺいさん)なヒントが得られそうです。

あずまきよひこ『よつばと!(15)』電撃コミックス

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「せっかくなので、新たな一冊も!」とじゅんぺいさんが取り出したのは、人気漫画シリーズの最新刊。「よつば」と「とーちゃん」父娘の、心温まる物語です。

〈普通という奇跡〉と書かれた、出版社の帯も素敵ですね。

LauLauさん(3)→円城塔、田辺青蛙『読書で離婚を考えた』幻冬舎

マイ帯【小説家夫婦の夫婦読書リレー 夫婦の相互理解とは、好みの本が違くても、本の感想が違くても、違いを理解し相手を尊重することなのだと思う】

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LauLauさんの推し本は、何やら不穏なタイトル…。円城塔さんと田辺青蛙さんの作家夫婦による、「読書リレーエッセイ」です。交互に課題本を出し合い、感想を書いていくWeb連載が本になりました。

夫の提案で始まった企画は、2人の性格の違いを浮き彫りにします。きっちりルール通りな円城さんに対して、田辺さんは大雑把な傾向。文章が、本の感想という主旨から脱線しがちです。

陽気にリレーしていた田辺さんですが、想像力が豊か過ぎて、だんだん「夫が出す課題本の意図」を深読みし始めます。「これを私に読ませることによって、何か気付いてほしいことがあるのだろうか?」(P.44)

LauLauさんによると、「タイトルの〈離婚〉に険悪な意味合いはない」ので、ホッと一安心(?)。しかし、果たして企画のテーマである「夫婦の相互理解」は達成できたのか。恐る恐る確かめたいですね…。

帯紹介後の雑談では、「親しい人に本を薦める時あるある」を語り合いました!

こーせーさん(22)→森下典子(文・画)『こいしいたべもの』文春文庫

マイ帯【本当のことを知るには とても時間がかかる】

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こーせーさんも「完全にジャケ買いでした」と認めるほど、表紙のホットケーキはシズル感バツグン!

ルポライターの著者が、思い出の食べ物について書いた「食エッセイ」です。文だけでなく、イラストも森下さんが担当しており、ダブルで読み手を魅了します。

「お茶の先生でもある森下さんは、季節の風情を切り取るだけでなく、それを柔らかく表現している。硬く書こうと思えばできるはずだけど、とても自然で、読みやすいです」

こーせーさんは、著者が、それまで季語としてしか知らなかった梅の花の香りが”わかった瞬間”を通して、「言葉の中身を、ちゃんと知る機会は少ない」と気付かされたそうです。

「本当のことを知るには、時間がかかる」…でも、それでいい。ひとつひとつ知っていく、その過程を大事にしていきたいですね。

ふっかー(28)→マルクス・アウレーリウス(神谷美恵子:訳)『自省録』岩波文庫

マイ帯【1860年の時を越え、現代に読み継がれる"ツイート集"!?】

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今年、読書会主催者による文学賞『BOOK CLUB AWARD』にノミネートされた本です。惜しくも受賞は逃したものの、実行委員として読み、とても面白かったので紹介します。

古代ローマの「哲人皇帝」として知られるマルクス・アウレーリウスは、争いを好まずで、むしろ読書や瞑想を愛する内向的な人物でした。

一言で表すと、とにかく真面目!マルクスが究めたストア哲学が、「ストイック」の語源になっている事実も、彼の性格を物語っています。

そして、真面目にコツコツと書きためていた日記が、『自省録』として今もなお、読み継がれているのです。

しかし、あまりに理想が高い(?)ため、一周回ってクスッとなる部分もあります。先述した賞の推薦コメントで「意外ときゅんきゅんします」と書かれていたのも、納得です。

私は【「この胡瓜はにがい。」棄てるがいい。「道に茨がある。」避けるがいい。それで充分だ。「なぜこんなものが世の中にあるんだろう」などと加えるな。(P.160)】が好きです。

Twitterのような感覚で気軽に読めるので、是非お気に入りのフレーズを見つけ、きゅんとしてください(笑)。


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