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第35回Book Fair読書会~そして、タルトは返された~

映像化される前に妄想化だ!!!ふっかー復活委員長です。

あなたは、本が映画やドラマの「原作」にされることをどう思いますか?

読書会に関わっていると、もはや賛否を超え、愛憎両論の声が聞こえてきます。中でも”憎”の勢いは、時に凄まじいです笑

とはいえ、作品の知名度が上がり、話題を呼ぶのは素晴らしい!!

一方、映像化されてしまう(?)前に、キャストや主題歌を「妄想」する、という読み方もあります!!

「いや、だからそういうの(イメージ固定)が嫌なんだよ」という意見もあるかもしれません。

でも個人的には、もっとそんなネタを語れたら楽しいな、と思っています。
(実際、ネットラジオで推し作品映像化の「配役会議」をやってみたこともありました)

今回は、ちょうど映画(公開中!)の原作が紹介されたので、ふとそんなことを考えました。


それでは、本と帯の紹介をご覧ください!!(カッコ内の数字は、参加してくださった回数)

こーせーさん(29)→近藤文恵『タルト・タタンの夢』創元推理文庫

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★こーせーさんの帯〈趣味全開!!わかる!わかる!がうれしい!〉

◆こーせーさんコメント

〈題名のタルト・タタンという料理、皆さんは知っていますか?
タルト・タタンは普通のタルト(生地の上に具材を乗せて焼く)と逆。型に敷き詰めたりんごの上に生地を乗せ、最後にひっくり返し、上をジューっとカラメルにして出します〉

〈この小説は、フランス料理を知っていたら「これは自分のための本だ」と感じるミステリーです〉

〈作者さんは好きなことをもりもり書けて面白いだろうな、と思いますし、こういう(詳しい人に向けて書いている)本もあっていいな、と〉

自分にとっては「わかる!わかる!」という感覚が嬉しかったし、それを読書会でも話したくなりました。
この本をきっかけに、是非フランス料理店にも食べに行ってほしいですね〉

太田さん(初)→吉岡友治『ヴィジュアルを読みとく技術 グラフからアートまでを言語化する』ちくま新書

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★太田さんの帯〈ヴィジュアルを どう解釈しますか?〉

◆太田さんコメント

〈センスあるアートを見ても「かわいい」「かっこいい」としか言えなかったり、オンラインで会った人の印象をうまく表現できなかったり〉

「かわいい」絵は本当に「かわいい」だけですか?もっと言語化したい!と読み始めました。実際にグラフや絵画を「読み解く」練習問題もあり、勉強になります〉

〈それまで、アートは「自分で絵を描く」イメージだったけれど、そうではなかった。言葉で表して、それをデザインにしてくれる人を探せばいいんだな、と思いました〉

〈今は映画を観たら「どうしてこの監督はこのカッティングにしたのか」をツイートしてみたいし、TikTokでみんなが伝えたいことは「実はひとつなんじゃないか」とか、色々考えています〉

ノリさん(初)→アン・モロウ・リンドバーグ(吉田健一訳)『海からの贈物』新潮文庫

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★ノリさんの帯〈人生を貝で語る〉

◆ノリさんコメント

〈著者が、消費社会アメリカで人生を見つめ直したエッセイ。吉田健一の訳は読みやすくはないものの、文章の構成が非常にいいと思います〉

〈日の出貝(左右対称の貝殻=パートナーと結ばれる)
→牡蠣(岩場にへばりつくように、人生に適応していく)
→たこぶね(断捨離、背負ってきたものを手放す)
…というように、人生のステージを貝にたとえた、成長物語としても読めます

〈自分から「贈物ください」と言うのは”贈物っぽくない”ですよね。浜辺に自然と貝が打ち上げられ、それを拾いに行くから「贈物」なんだと思います〉

〈そんなふうに、幸せは自ら求めるのではなく、流れに逆らわなければ来るものなんだと思いました〉

かなさん(6)→道尾秀介『向日葵の咲かない夏』新潮文庫

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★かなさんの帯〈気持ち悪いのに読んでしまう〉

◆かなさんコメント

〈今年の夏、「夏らしい本が読みたい!」と手に取った本です。ミステリーのつもりで読みましたが、これはホラーのような、ファンタジーのような…〉

〈私は「サイコ小説だ」とも思うのですが、ネタバレなしの説明が難しいです(笑)〉

〈とにかく「気になる!気になる!」と、凄いスピードで読み進めてしまう本でした。気持ち悪いのに止まらなくて、道尾さんの本をもっと読みたい!と、他の小説も今読んでいます〉

夏っぽい爽やかな表紙からは想像できない「いやな感じ」。(周囲でも)好き嫌いが分かれていますが、ぜひ読んでみてほしいです〉

かえちゃんさん(4)→須賀しのぶ『紺碧の果てを見よ』新潮文庫

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★かえちゃんさんの帯〈常識や正義は一瞬で変わる〉

◆かえちゃんさんコメント

〈この小説は、”説明口調”の文章が少ないのがいい。海軍兵学校に進んだ主人公と同じ目線で、第二次世界大戦の行方を追うことができました〉

〈物語にスパイスを加えているのが、会津出身である父の存在です。何十年経っても「戊辰戦争に負けた」と馬鹿にされてきた父は、息子に子どもの頃から「喧嘩は逃げるが最上の勝ち」と教えます〉

〈勝てる喧嘩しかしちゃいけない、でも主人公は「勝ちたい」想いを沸々とさせながら大人になりました。しかし、それも”敗戦”を経て、変わっていきます。世の中で最も正義が変わる瞬間って、戦争の前後なんだと思います

〈ただ、重い話だけでなく、仲間との青春も描かれます。友人が主人公に贈った「愛する者の防人(さきもり)たれ」〉という言葉も、凄く良いなと思います〉

ヤマハさん(2)→瀬尾まいこ『そして、バトンは渡された』文春文庫

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★ヤマハさんの帯〈家族が繋ぐ愛のリレー〉

◆ヤマハさんコメント

〈最近、映画を観てボロ泣きしてしまったので、既に読んでいた原作を紹介したいなと思います。母親が2回、父親が3回変わる女の子の物語です〉

そんなに親が変わるなんて、不幸だと思うじゃないですか。でも、主人公の優子は全然かわいそうじゃない。むしろ幸せそうなんです。

〈そんな日常を読むうちに、このタイトルの意味に気付きます。すると、最初は(バトンの先に顔が付いて)「変だな」と思う表紙の絵も、理由が分かるんですよね〉

〈映画は原作と違う”どんでん返し”の結末ですが、こちらも良い作品でした。小説と映画、どちらが先でも楽しめると思います。
映画は「92.8%の人が泣いた!」とも言われていて、ぜひ皆さんの感想も聞いてみたいですね〉

ふっかー復活委員長(35)→寺地はるな『今日のハチミツ、あしたの私』ハルキ文庫

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★ふっかーの帯〈乾いた大地を潤すように 味気ない毎日にはハチミツが必要…ですぞ。〉

◆ふっかーコメント

〈主人公の碧は、人生に絶望してきました。中学生の頃から「もし明日、人生が終わるとしたら喜ぶ」と思っていたほどです。〉

〈三十歳になった碧は、恋人と共に彼の故郷へ。しかし、そこでは親族から冷たい対応を…。仕事も辞めて来ていた碧は、大アウェーの地で、とある養蜂家の手伝いを始めます〉

表紙(ホットケーキ)の甘~いイメージとは、真逆の展開に打ちのめされます。でも、新たな仕事が碧の内面を徐々に変えていきます〉

誰も、自分の居場所は保証されていない。だからこそ、ひとさじハチミツを加えるように、ちょっと自分を変えてみようと思える物語です〉

ヒロさん(19)→中村紘子『コンクールでお会いしましょう 名演に飽きた時代の原点』中央公論新社

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★ヒロさん帯〈推しが負けて悲しいあなたに〉

◆ヒロさんコメント

〈先日、たまたまネットで「ショパンコンクール」を観ました。すると、日本人の奏者が”キャラ立ち”している人ばっかり。天才肌の若手から、殴りこみYouTuberまで、まるでリアリティショーみたいな面白さでした〉

〈それで、もっとピアノの世界を深く知りたいと読んだのがこの本です。世界各国で審査員を歴任した著者が、コンクールの裏側を明晰に、明確に綴っています〉

〈読んでいくと、実力だけではどうにもならない事情が見えてきます。「受け方が気に入らない」と心証の悪さで落とされたり、初日の第一奏者は不利だったりする。”師弟関係”もカギになります〉

〈やはり審査員も、主観を持った”人”なんだと思わされますね〉

LauLauさん(8)→ハン ガン(きむ ふな訳)『菜食主義者』クオン

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★LauLauさん帯〈日常の暴力に鋭く切り込んだ作品〉

◆LauLauさんコメント

〈気持ち悪い「夢」がきっかけで、お肉を食べられなくなった主婦・ヨンヘ。これは彼女の夫・義兄・姉の視点で描かれた三連作です〉

〈ある日突然、肉を嫌い始めたヨンヘを周囲は異常視、精神病院に入れてしまいます。ついに、水しか口にできなくなったヨンヘは、姉に「木になりたい」と語り…〉

〈彼女が過去に受けた暴力という背景も示唆されますが、答えは「読み手次第」な面があります。私は、周りからは病的、絶望的に見えても、ヨンヘにはそうでもない、これが普通なのかもと思いました〉

「常識から外れた人を受け入れない」社会へのメッセージを感じつつ、文章には芸術的な美しさもある。今までにない作品です〉

たろうさん(2)→凪良ゆう『滅びの前のシャングリラ』中央公論新社

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★たろうさん帯

〈あなたは、「世界があと一ヵ月で滅びる」としたら何を考えますか? 多分、想像以上にひどいことになるけど、本当に大切なことがわかるかも…〉

◆たろうさんコメント

もし、一か月後に隕石が落ち、地球が終わるとなったら、皆さんはどうしますか。きっと自分がやりたいことをやるか、最後まで家族に寄り添う人が多いと思います。私なら、あてのない旅に出たいなと思ったりもします〉

〈でも、この小説では、それどころではない。ライフラインは止まり、殺人や略奪が増える。つまり、社会は地獄のようになってしまう。きっと、実際もそうなるんじゃないでしょうか〉

〈一方、主人公の男子高校生は、裏社会の諍いによって母と別れていた父と再会。そこに、家族関係に悩んでいた少女(主人公の同級生)も加わります。
地球が滅びる直前で、初めて「家族の幸せ」を知る。こんなこともありうるんだなと印象に残りました〉

〈めちゃくちゃになっていく世界を通し、「自分ならどうするのか」「自分が本当に大切なものは何か」を考えさせられました

参加してくださった皆さん、本当にありがとうございます!!



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