第17回Book Fair読書会~キケンな感情のピクセルNEWTYPE~

今回はなんと、初参加の方が半数以上の11名中7名。本の表紙もぶたさん、くまさん、ゴリラさん…と賑やかな仲間が揃いました。

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タイトルは♪動物さんたち大集合だわいわい!ってことで、岡崎体育さんの名曲をフィーチャーしてみました。

Tさん(初)→山口周『NEWTYPE ニュータイプの時代』ダイヤモンド社

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「これまでは、〈足りないものを埋める〉人たちが活躍する時代でした。しかし、既に満ち足りた世界で、既にある正解を探しても価値はない。これからは、自分の感性や美的センスを活かし、問題を探すことが重要になります」

「この本では、オールドタイプからニュータイプへ、活躍する条件の変化を紹介しています。例えば〈ルールではなく自分の道徳観に従う〉〈KPI(重要業績評価指数)で管理するのではなく、意味を与える〉〈未来を予測するのではなく構想〉といったものです」

「帯にも書きましたが、まずはビジョンを描くことから始まります。理想のビジョンに向かおうとして、初めて足りないものが見えてくる。探すべき〈問題〉というのはネガティブな意味ではなく、理想と現状のギャップなんです。イメージとしては、次の目的地を探す海賊のようなものだと思っています。ちなみに僕、『ONE PEACE』でよく泣きます(笑)」

▼Tさんは池袋で『世界一爆笑する読書会(セカバク)』を主催しています!!

☆たいへいさんが選ぶノーベル文学賞→尾田栄一郎

KITAJIさん(9)→細谷功『具体と抽象』dZERO

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「僕は以前〈具体と抽象を分けて物事を考えよう〉と上司から教わり、ずっと意識してきました。その考え方をわかりやすく述べているのが、この本だと思います。」

「例えば〈赤いリンゴ〉は見た目で断定できる、具体性のある言葉です。一方〈みんなに好かれるリンゴ〉だと、意味がぼやっとして抽象的になる。これを応用すると、抽象的な〈上司と部下の仲が悪い〉という状態から、〈給料への不満〉など具体的な問題に切り分けていくようになるわけです」

「自分が今話していることは〈具体的〉なのか〈抽象的〉なのか考えながら話すと、わかりやすくなります。こうした〈メタ認知〉を意識すると、既存のものから要素を取り出して考えられるので、アイディア出しにも役に立つと思います」

☆KITAJIさんが選ぶノーベル文学賞→友川一樹

のんきのさん(初)→矢崎存美『ぶたぶた』廣済堂出版

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「初めて参加したビブリオバトルで(イベントではなくお客さんとして来ていた!!)作者の矢崎さんに紹介を聴いてもらい、サインまでいただいてしまいました。それ以来、読書会・ビブリオバトル・ブクブク交換会に行く理由は、全てこの本を紹介するためです

「主人公は小さな豚のぬいぐるみ〈山崎ぶたぶた〉。なんとこのおじさん、人間の奥さんがいて、娘も2人います。なかなかない設定ですが、とても癒されます。疲れている時にいいですね」

「30冊以上あるシリーズの中でも『編集者ぶたぶた』では、色々と悩みを抱えた作家さんたちが出てくるお話です。彼らはまず、編集者が豚であることに驚きますが(笑)、そこで自分の世界がひっくり返り、また組み替えられて、立ち直るきっかけになるんですね。興味のある方は、是非読んでいただきたいです」

▼終了後、のんきのさんからmiuさんに、『編集者ぶたぶた』が寄贈されました!!

▼これがブクブク交換

☆のんきのさんが選ぶノーベル文学賞→やなせたかし

正気さん(初)→銅目貫『カルカラレルカ』(『GANMA!』で連載中)

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「今回はWeb限定で連載されている電子書籍を紹介します。地球から惑星〈アーク〉へ移住しようとする開拓機関があり、そこに所属する兄妹が主人公です。彼らの任務は未確認生物のハンティングですね。兄の失った幼少期の記憶や、惑星の秘密に迫るSFアクションです」

「人間の愛憎、コンプレックスが生々しく描写されているのが特徴です。じゃあ、それをどう乗り越えるのか?この作品には作者の哲学が盛り込まれていて、一般的な少年誌で人気のある作品よりも、自分は断然面白いと思いました。メッセージ性のある漫画が好きな方はきっと楽しめるので、ぜひ読んでみてほしいです」

「電子書籍は、漫画家一本で食べていく人だけでなく、多様な表現の場を求めている人に門戸を開いたと思います。結果として、埋もれていた才能を発掘された面があると思いますね」

▼正気さんが楽曲提供し、KITAJIさんが歌うオリジナル曲『時雨の街』YouTubeはこちら

☆正気さんが選ぶノーベル文学賞→スイス政府

こーせーさん(17)→永松茂久『影響力』きずな出版

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「日本は過疎化が進んでいる地域がありますよね。著者の永松さんは、人間は影響力のある方に引っ張られていくから、将来的にも都市化は止まらないのだとおっしゃっていました。その講演を聴いて、今まで自分の気が付かなかった〈影響力〉の存在に関心を持ち、この本を読みました」

自分が人に良い影響を与えたいと思う、その大きさによっても行動は変わってきます。著者が事業の傍ら、無料の人生相談をしていた時は〈無料でやることは商売じゃない〉と怒られたりもしたそうですが、そういった経験の一つひとつが、自分の影響力に繋がっていくんだなと思いました」

自分の価値観と、行動や言動が一致しているかどうかを、人は思ったよりよく見ています。それが、誠実さを見極められる材料にもなる。自分自身との約束を守れているかというのは、その人の雰囲気に表れるということを、最近よく思います」

☆こーせーさんが選ぶノーベル文学賞→ミヒャエル・エンデ

おずさん(初)→有川浩(有川ひろ)『キケン』新潮文庫

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「キケンとは〈機械制御研究部〉の略称と、爆発実験などの〈危険〉がかけられています。この本は、各章の冒頭に漫画がついていて、そこで話の内容にスッと入れる仕掛けになっています

「私が特に好きなのは文化祭のお話です。お店の売り上げを3倍にしようと、学生たちが奮闘するのですが、そこで登場するのが(帯にもある)ラーメンです」

「自分は理系女子なのですが、なかなか理系男子の話には入っていけない感じがあります。理系男子の中に女子が1人入ると、仲間になれないというか、全然違う空気になるんですよね。そこで、理系男子たちは何を考えているんだろう?ということを、有川さんは(おバカな部分も含め)上手く描いていると思います。共感する作品でした」

☆おずさんが選ぶノーベル文学賞→有川ひろ

けいさん(初)→綿矢りさ『憤死』河出文庫

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「タイトルの〈憤死〉とは憤るほどの怒りを感じて死んでしまうという意味。まさに憤怒の最上級ですね。歴史上の人物では、菅原道真が憤死したと言われています」

「この本は短編集ですが、特に紹介したいのは『人生ゲーム』という作品ですそれまでの綿矢りさは、〈物語〉よりも〈文章〉で勝負する作家でした。心の動きや比喩といった、純文学的な表現ですね。しかし、この本では文章から物語へと〈脱皮〉した印象があり、それを一番感じたのは『人生ゲーム』です」

「主人公の兄が家に友達を連れてきて、数人で人生ゲームをして遊びました。主人公が大人になると、そのゲームであったことが現実に起こり始めます。それが全部、ネガティブなんですよね。さらに、実は兄の友人の中に1人〈知らない人物〉が混じっていた人が明らかになり、その正体とゲームの結末へと向かっていく物語になっています。これは、綿矢りさ版の『世にも奇妙な物語』と言える作品ですね」

▼『憤死』について、けいさんが解説したブログはこちら!『月島読書会』も月1回開催中です!

☆けいさんが選ぶノーベル文学賞→村上春樹

miuさん(初)→コンドウアキ『 ぐうたら休日(ホリデー) リラックマ生活7』主婦と生活社

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「ぶたぶたをライバル視するわけではないですが(笑)、僕の好きなキャラクター、リラックマを紹介します。このシリーズはなかなか普通の書店には売っていなくて、どちらかと言えば雑貨屋さんでグッズの横に置いてあります。リラックマストアにも行きましたが、子どもばっかりでしたね」

「雰囲気としては『およげ!たいやきくん』に似ています。大学でレポートに疲れた時に、癒しとして開く本ですね。実は熊といっても着ぐるみなので、たまに着るものが変わったりもします。〈なきゃないで、なんとかなりますよ〉と…。また、目をつむって開いたページに(今の自分への)メッセージがある、という楽しみ方もできます。一気読みよりも日めくりに向いているかもしれません」

「これ880円しますが、5分で読めるという(笑)。後で背表紙を見ると、現実に戻されますね。あとキャラクターショップで買うのは勇気がいると思います。僕は断念しました…

▼終了後、miuさんから正気さんにこの本が寄贈されました!!

☆miuさんが選ぶノーベル文学賞→江戸川乱歩

uranoさん(初)→山極寿一『「サル化」する人間社会』集英社インターナショナル

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「著者は京都大学の総長、また日本学術会議の会長でもあります。そんな山極先生は元々、世界的なゴリラ・霊長類研究者なんです。サル山の飼育委員として働いた経験や、実際にアフリカでゴリラと一緒に生活した研究等を活かし、サルとゴリラの比較を通して、人間とは何か論じてきました。この本は京大の総長になる前、ゴリラ研究者として最後の著書になりました。」

「最後の章は、SNS時代のコミュニケーションについて書かれているのですが、特に面白かった点は2つあります。ひとつは、人間には他の霊長類よりも〈白目〉がハッキリとある。人間以外は、他者にどこを向いているのか知られないために黒目しかない。しかし人間は、白目によってアイコンタクトが可能になっているんですね。著者はこの自身の説を通して、目をよく見てコミュニケーションしよう、と強調しています」

「もうひとつは、争いについて。サルは完全な序列社会で、オス同士は争いを避けます。一方ゴリラは、勝ち負けのつかない睨み合いを1時間でも続け、ある時ふっと離れるのを繰り返すらしいんです。モヤモヤしたしがらみを抱えながらも、一緒に暮らしていく。今の人間社会は、序列を重視して〈サル化〉(退化)していると著者は指摘します。それはストレスなく効率もいいだろうけど、ゴリラのような深いコミュニケーションを見習おう、と書いています」

☆uranoさんが選ぶノーベル文学賞→ローラ・リップマン

ニャンちゅうさん(12)→伊坂幸太郎『アイネクライネナハトムジーク』幻冬舎文庫

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「Book Fairに行き始めてちょうど1年くらい経ち、小説をよく読むようになりました。先月は、(他の参加者の自己紹介で挙げられていた)ミヒャエル・エンデの『モモ』、伊坂幸太郎『陽気なギャングが地球を回す』を読み、次は何にしようかなというところで、また伊坂さんを読みたいなと手に取りました」

「メインは20代後半のSEが主人公の恋愛小説です。彼が、会社のパソコンが壊れたため街頭アンケートに駆り出され、そこである女性と出会います。そのお話の中に、同級生と結婚した主人公の友人やその娘さん、主人公の上司といった人たちが登場します。それぞれの想い、悩み、恋愛が語られていくので、帯は〈みんな悩んでる〉としました」

普段、街中で喋ったりしている人は皆楽しそうに見えるけど、内面を見ていくと、悩んだり、もがきながら生きているんだなあと感じました。小説を読んだ後に映画も観ましたが、〈あの場面はこう描くんだ!〉という発見があり、とても良かったです」

☆ニャンちゅうさんの選ぶノーベル文学賞→村田沙耶香

ふっかー(17)→竹下隆一郎『内向的な人のためのスタンフォード流ピンポイント人脈術』ハフポストブックス

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「著者はネットメディア『ハフポスト日本語版』の編集長です。昨年、ハフポストのイベントで記者の方と話したり、竹下さんと(Twitterで)メッセージをやりとりしたことが、読書会を始める上でもプラスになりました。それがこの本を読んだきっかけです」

「SNSで人とのつながりが簡単になったぶん、〈つながりすぎ〉という問題が出てきました。著者はまず、本当に好きな7人と深くつながろうと提言しています。自分は、映画『七人の侍』を連想しました」

仲間作りは、〈YES,BUT型人間〉とは付き合わないことがポイントだといいます。これがやりたい、とアイディアを出しても〈いいね、でも…〉と曖昧な返答をされては、話が前に進みません。例えば読書会も、もし(こーせーさんや記者さんなど)相談した人に〈YES,BUT〉と言われていたら実現しませんでした。自分も、初対面であっても、なるべくはっきりした態度でいたいと思いました」

☆ふっかーの選ぶノーベル文学賞→J.K.ローリング

★参加してくださった皆さん、本当にありがとうございました!!

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