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eスポーツ特化のVC「BITKRAFT Esports Ventures」のファンド概要まとめ

East Venturesのふっかいです。(@fukkai_vc)

私が普段から注目領域の一つとして挙げている「esports」の領域を専門としているドイツと米国拠点のVCBITKRAFT Esports Venturesが2号ファンドを$165Mでクローズしたことが発表されました。

個人的に動向やポートフォリオを常に注目しているファンドですが、日本ではあまり話題になっていなかったためファンド概要や投資方針などを簡単にまとめてご紹介します。(注目投資先は翌週にでも詳しくまたnote記事にしようかと考えています。)

ファンド概要

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名称:BITKRAFT Esports Ventures(時折BITKRAFT Ventures表記も)
パートナー:Jens Hilgers、 Barth Moritz、Scott Rupp、 Baier-Lentz
ファンドサイズ:1号$40M (約75億円) 2号$165M(約173億円)
対象領域:esports領域・esports周辺領域
対象ステージ:アーリーステージ
拠点:ベルリン、ロサンゼルス、サンフランシスコ
HPhttps://www.bitkraft.vc/

BITKRAFTはスウェーデンのストックホルム拠点のModern Times Group(通称:MTG)のesports担当3名がGPとなり設立したesports特化型ファンドです。(MTGはESLDreamHackInnoGamesKongregateZoomin.TVなどのポートフォリオを管理する持株会社)
BITKRAFTは単なるesports領域に張っているVCではなく、業界のこれまで牽引してきた張本人たちが、早期からの強力なパートナーシップと比類のないドメインの専門知識を通じ、グローバル規模でesports業界を引っ張り上げる集団です。
2号ファンドにはLPとして、AdidasやLogitechなども参画しているとのことでした。

パートナー紹介-Jens Hilgers-

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Jens Hilgers イェンス・ヒルガース
Twitter / ドイツ拠点

<略歴>
2010年にesports大会運営大手「ESL」を創業し、2015年にスウェーデンのメディア会社Modern Times Group(MTG)から買収(株式の74%を約106億円で取得)されるまでCEOを務める。また、世界有数のプロesportsチームG2 EsportsのCo-Founderでもあり、esportsデータ分析で有名なBAYES Holdingのマネージング・ディレクターも務める。

イェンス・ヒルガースはesports業界のシリアルアントレプレナーであり、パブリッシャー以外で最もesports業界を動かしている男なのではないかと思っています。連続起業家としてesports業界を牽引してきた彼はVCとして引続き業界を牽引しています。

パートナー紹介-Malte Barth-

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Malte Barth マルテ・バース
Twitter / イギリス・ポルトガル拠点

<略暦>
MTGでesports部門の責任者として、ESL、DreamHack、ESEAなどの投資を実行。現在でもESLとDreamHackで取締役を務める。

イェンスの創業したESLの買収に携わり取締役として参画したマルテ・バースもまた投資家の立場でesportsの市場を創り上げてきた張本人としてイギリスをメイン拠点に投資を行っています。

パートナー紹介-Scott Rupp-

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Scott Rupp スコット・ラップ
Twitter / 米カリフォルニア拠点

<略暦>
ドイツ銀行、カーライルを経て「Digital Artists Entertainment」や「Icebox」を創業、オンラインゲームの先駆け的存在だった「Gazillion  Entertainment」のSVPを経て、MTGでUSのマネージメントディレクターを担った後に現職。ケロッグのMBAとハーバードのMPA(公共経営学修士課程)保有。

スコット・ラップはBITKRAFT設立当時、唯一の米国拠点のパートナーとして尽力し、実際に多くの投資を実行しています(HP公開中のポートフォリを40社中20社が米国拠点の企業)。BITKRAFTの米国展開に大きく貢献しました。

パートナー紹介-Moritz Baier-Lentz-

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Moritz Baier-Lentz モリッツ・ベア=レンツ
Twitter / 米ニューヨーク拠点

<略暦>
ゴールドマンサックスの投資銀行部門の元vice presidentで、Dellによる670億ドルでのEMCの買収や、IBMによる340億ドルでのRedHatの買収を担当していた。2003年に「Diablo II」にてランク世界一位だったと元esports選手。

モリッツ・ベア=レンツは2号ファンドを組成するタイミングでBITKRAFTに参画しました。モリッツはUSのForbes30Under30に選出されるなどGS時代から期待の若手投資家として今後の動向を注目されていたこともありBITKRAFTへの参画は話題になりました。NYを拠点にすることでBITKRAFTの地理的範囲を拡大しつつ、よりファイナンスに強いパートナーとして活躍が期待されています。

投資方針

BITKRAFTのHPで公開されているポートフォリオ38社のうち8社もゲーム開発スタジオ(ゲームパブリッシャー)への投資を積極的に実行している。しかもその多くが未ローンチ状態でゼロイチのフェーズから出資しています。
その一方でCloud9やTSM、Team Liquidなどの台頭でVCからの資金調達が増えているesports organization(いわゆるプロeスポーツチーム)に対する投資は実行していない。これはGPのイェンス・ヒルガースがG2 Esportsのオーナーの1人であることや、BITKRAFTの出資先にG2との提携などを積極的に行っていることが起因しているかもしれません。

また、インタラクティブオーディオ環境を作成する「Spatial」、ゲーム用に最適化されたプライベート高速ネットワークを開発する「Network Next」、そして触覚技術開発の「Lofelt」など、esports周領域も支援しています。

※注目ポートフォリオ各社の詳細は別途note記事にしていく予定ですm(_ _)m

まとめ

かなりざっくりとしたまとめでしたが参考記事を貼っておくので興味を持たれた方は色々と調べてみてください。やはりMTG・BITKRAFTのポートフォリオがesports業界に与えているインパクトは相当なもので、テンセントやEpic、Riotなどのパブリッシャー以外では現在でもおそらく、そして近い将来では確実に1番esports業界への影響力をもった経済圏になるのではと思っています。

最後に

East Venturesでesports領域の担当として日本からesports領域に挑む起業家に積極的に投資させていただいています。壁打ちや事業相談、esportsを仕事にしたい方、どんな内容でもOKですので気軽にDMください。

週刊世界eスポーツ経済新聞も9月から更新再開したい。。。


更に良い記事を書けるよう有意義に使わせていただきます