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文章の表現にあらわれる人間性・スタンス・あり方

トータルで9年ほど、文章を書く仕事にかかわってきました。

その過程でさまざまな文章執筆の本、コピーライティングの本、SEOライティングの本、テクニカルライティングの本などに目を通しましたが、最近思うのは、書き手が持つ人間性、スタンス、あり方が、執筆する上で大事なのではないかということです。

文章執筆の本でよく言及されているのは、テーマ選びや伝わりやすい文章の書き方、無駄な表現を削ること、などのテクニックです。

確かにそれらは大事です。

しかし、それらはあくまで基礎であり、その上に書き手の独自の表現技術があり、それらを通してつくられるのが文章という作品です。

ネット上にもたくさんの文章がありますが、それらを読むと書き手の人間性やスタンスが見て取れます。

・他人を利用したいのか、ただ交流したいのか。
・物事を素直にありのまま見ているのか、斜に構えてうがった目で見ているのか。
・人や社会と関わることを好んでいるのか、嫌っているのか。
・他人とフェアに関わろうとしているのか、人の上に立ちたいのか。
・日常の小さな出来事に感動できるか、見過ごしてしまっているか。
・自分と他人に境界線を引いているか、引いていないか。
・物事を前向きにとらえようとしているか、すべてを後ろ向きにとらえてしまっているか。
・自然体でいるのか、見栄を張っているのか。
・読み手の感情や行動を操作しようとしているか、していないか。
・読んでもらうことで自分が満たされようとしているのか、他人を満たそうとしているのか。
・他人に何かを与えようとしているのか、奪おうとしているのか。
・真実を書いているのか、嘘や誇張を含んでいるのか。
・自分の意見で他人を染めたいのか、他人の意見を受け入れる余地を持っているのか。

文章を読んでいて、なんとなく「落ち着くな」「安らぐな」と感じることがあります。

そのような場合、書き手のスタンスも自然でありのままなのだろうと思います。

著名な作家の文章を読むと、テクニックがあることは当然ですが、その作家がどういうスタンスでいるのか、どういうあり方で日常を過ごし、身の回りを観ているのかがよくわかります。

逆に、読んでいて「なんかしんどいな」「読む気になれないな」とか「こういう結論に導きたいのだな」「こういう方向に読者を動かしたいのだな」と感じることもあります。

また「批判されたくないのだな」「やたら予防線を張ってるな」という文章もあります。

このような場合は、書き手が「他人をどうこうしてやろう」という強い思い、スタンスを持っているのだと思います。

表現は自由ですから、どんなスタンスで文章を書いてもいいとは思います。
しかし「どういう目で、どういう姿勢で日常を過ごしているのか、身の回りのことを観ているのか」その内容がそのまま文章の中身になるということは、もっと意識されていいのではないかと思います。

文章を書くことは、文章という形で、その時点の自分の分身を創ることです。

その分身を観ることで、自分の在り方を省みることができます。

私の場合は、この文章を書くことで「ああ、自分は自然体でいたいのだな。他人と対等でいたいのだな。人を必要以上に動かしたり、動かされたりしたくないのだな。」といった自分のスタンスを再確認することができました。

あなたはどうでしょうか。

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