4ヶ月でCV数を3倍に!オウンドメディアを成長させるために行った5つの取り組み
初めまして。株式会社ベーシックでインターンをしている深川と申します。
現在、フォーム作成&顧客管理ツール「formrun(フォームラン)」のマーケティングを担当しています。
インターンを始めてから、サービスサイト改善やLPの作成、広告運用など、さまざまなマーケティング施策に取り組んできました。その中でも、今回のnoteでは「オウンドメディアの運用」をテーマにnoteを書いてみたいと思います。
formrun事業部では、オウンドメディアである「formLab(フォームラボ)」の運営を行っており、今年の6月より数値の改善に注力して取り組んできました。
結果として、4ヶ月ほどでメディアのPV数は約2倍、サービスサイトへの送客数は約3倍と、順調に成果を伸ばすことができています。
(formLab記事の月次PV数)
(オウンドメディアからformrunサービスサイトへの月次遷移数)
オウンドメディアの成果を伸ばすにあたり、弊社では以下のような課題を抱えていました。特にBtoB向けのオウンドメディア運用において、同じような課題を抱えているメディアも多いのではないかと感じています。
このnoteでは、上記の課題に対して行った施策を、弊社の事例・実際のストーリーを交えながらお伝えできればと思います。「BtoBでのオウンドメディアを運用しているが、思うように成果が伸びず悩んでいる」という方のお役に立てれば幸いです。
そもそもなぜオウンドメディアを運営しているのか?
オウンドメディア「formLab」の運用の目的は、次の2つです。
それぞれの目的に対して、作成する記事については、
といったように、棲み分けをしながら作成しています。
今回のnoteでは、主に2の新規ユーザー獲得を目的としたメディア運用について、行ったことをご紹介します。
1. メディアミッションの策定と顧客へのヒアリング
前述の通り、弊社のオウンドメディア運用の主な目的の1つに新規ユーザーの獲得があります。しかし、ただ数字を伸ばすことだけを考え、顧客のどのような課題を解決するメディアなのかを明確に定めていなければ、継続的に見てもらえるメディアにはならないと考えていました。
解決したい課題を定めていなければ、コンテンツを作ること自体が目的化したり、SEOテクニックのみでPV数を伸ばそうとしてしまったりと、質の高いコンテンツを作り続けることが難しくなるためです。
現在、メディアミッション(メディアが目指すもの)を「読者のフォームに関する業務を効率化する」と定めています。
オウンドメディアの目的はプロダクトの導入につなげることなので、メディアのペルソナはプロダクトのペルソナと同じものを設定しています。そのため、フォームの作成やWebサイトの作成、問い合わせ対応など、フォームに関連する業務を行っている人に価値を届けていきたいと考え、上記のようなミッションとなりました。
また、架空のペルソナを定めて終わるのではなく、実際の顧客はどのような課題を抱えているのか確かめる、という点も重視していました。実際にペルソナとなる方と会わなければ、どのような課題を抱えているのか理解できず、ターゲットに刺さるコンテンツは絶対に作れないと感じていたためです。
そのためformrunユーザーの中から、利用プランや契約期間を元にターゲットとしたい顧客を定め、要件に当てはまるユーザーをピックアップし、ヒアリングを実施しました。
ヒアリングでは、
などを聞いていきました。
これにより、実在する顧客をもとにしたペルソナやカスタマージャーニーが整理でき、どんな状態の顧客にどのようなコンテンツを提供していけば良いのか、一気に解像度が高まったと感じています。
中でも、「どんなきっかけでプロダクトを導入する意欲が湧いたのか」という点は、アンケートなどの定量情報では把握できないことが多く、ヒアリングをするからこそ得られる情報です。また、この回答を知ることで、どのような経験を提供すればカスタマージャーニーの次の段階に進んでもらえるのかが分かるようになります。
マーケティング担当者は顧客と直接会ってお話をすることが少なくなりがちですが、実際にヒアリングをしてみると新たな発見が多く、顧客と接点を持つ重要性を思い知らされた経験です。
ヒアリングの結果をもとにカスタマージャーニーのブラッシュアップを行い、
といった視点で整理しながら、コンバージョン(以下CV)するキーワードや、どのタイミングでどんなコンテンツが刺さるのか?といったことを考えていきました。
当然かもしれませんが、ここではヒアリングの結果をもとに、実在する顧客のカスタマージャーニーを作成することが重要だと感じています。特に、ユーザーの解像度が低いと、何人かの共通項を抜き出したような抽象的なカスタマージャーニーを描いてしまいがちです。
formrunでは、実在する顧客をもとにしてできる限りカスタマージャーニーを具体化するように心がけており、「資料請求フォーム」「問い合わせフォーム」などフォームの用途ごとにカスタマージャーニーを作成しています。
(カスタマージャーニー)
2. メディアKPIの見直し
メディアの方向性を定めた後には、
ということを行いました。
(1)メディアの成果を定量的に把握できるよう、仕組みを整える
当時僕が業務の一環としてformLabの運営に関わり始めた当時は、「メディアのPV数」しか追えていませんでした。しかし、オウンドメディア運営の目的はあくまでformrunのユーザー獲得です。そのため現在では、PV数だけでなく、「サービスサイトへの送客数」を定量的に把握するようにしています。
その上で、サービスサイトへの送客数を伸ばすために、「新規ユーザー数」も重視しています。
これは、メディアが成長するにつれ、繰り返し訪問してくれる方が増えたためです。メディアの価値を認識してくれているリピーターが増えるのは大変嬉しいことですが、formrunのユーザーを獲得するためには、新規ユーザーにアプローチする必要があります。
現在では、記事別にPV数や新規ユーザー数、サービスサイトへの送客数を計測しており、このデータをもとに月次で振り返りを行っています。
(月次の記事ごとの新規ユーザー数)
(2)月次でKPIを定め、日々のアクションに落とし込む
上記のようにデータを取れる体制を作った上で、成果目標として月次のサービスサイトへの送客数を設定し、そこから逆算して週あたりの記事作成本数を決定していました。
目標設定の仕方は、目標となる顧客獲得数からチャネルごとに内訳を決めていき、メディア経由での登録がどれくらい必要なのかを考え算出するという方法です。サービスサイトから登録までのCVRを過去のデータから参照し、そこから逆算して必要な送客数を算出していました。
「とりあえず更新を続けることが重要」と考える方もいるかもしれませんが、明確なKPIを定めることでコンテンツの質に妥協することなくメディアの運営ができると思います。
また、SEO施策は実行し始めてから効果が出るまでに時間がかかるため、3ヶ月後の月次目標から逆算するという方法をとっています。新規記事を作成してから検索順位が固定されるまで約2ヶ月、さらにリライトにより成果を伸ばす上で約1ヶ月程度の期間が必要なため、あらかじめ数ヶ月後に必要な顧客獲得数を把握しておき、この程度の期間を見込んでおくことが重要です。
3. 記事の投資対効果をもとにしたキーワード選定
実際に記事を作成する段階では、SEOで検索流入を狙うため、どのキーワードで記事を書いていくか決めていきます。
オウンドメディアの運営の際、特にキーワード選定で悩みがちなポイントとして
といったことが挙げられると思います。
解決策として、現在業務委託として関わっていただいている水島さん(@mitchy_marche)にご協力いただき、キーワードの投資対効果と記事作成コストを回収できる期間から、優先度を判別するシートを作成していただきました。
こちらのシートを使い、1CVあたりの価値と記事を作成した場合の想定CV数から記事の効果を出し、記事作成にかかったコストを何ヶ月で回収できるのか確認しています。
現在formLabの場合では、回収までの期間が1年以内であれば記事を作成するようにしています。
ここでの想定CV数については、キーワードを
の4種類にグルーピングし、それぞれの過去の記事のCVRをもとに予測していきました。同じグループのキーワードであればほぼ同じくらいのCVRに落ち着くことが多く、記事数が増えるほど精度が上がっていくようになります。
また、キーワードの優先順位を決める際は、CVが高い特定のキーワードのみに注力して記事を書く、ということも有効な施策の1つです。
例えば弊社の場合、formrunというプロダクトの特性上、
など、「フォーム」が含まれたキーワードでのCVが高いことが分かっていました。そのため、対応する記事に注力して作成やリライトなどの施策を行いました。
結果として、以下の画像の通り、9月下旬から10月上旬にかけて「フォーム」関連の複数記事の順位が一気に上がる現象が起こりました。
「フォーム」に関して専門性の高いサイトだとGoogleに認識された結果、複数の記事の順位が上がったのではないかと考えています。CVが高いキーワードで作成した記事は、1記事で他の数記事分のパフォーマンスがあることも多く、少ないリソースでも成果を上げることも可能かと思います。
(「フォーム」関連キーワードの検索順位)
4. 記事のPV数を最大化させるためのコンテンツ作成フロー
今でこそ新しくインターン生を採用し、メディア運用にかけられる人的リソースを増やすことができているものの、当時は僕とライティングをしてくれる社員、構成案の作成を手伝ってくれるインターン生の3人のみでメディアを運営していました。
業務としてオウンドメディアだけを担当する人はおらず、そのような状況では、当然メディアが掲げているKPIに対して人が不足していました。そのため、できるだけ記事作成のフローを仕組み化し、効率化していくことが必要でした。
また、 メディア運営では、記事数を増やすことでメディア全体のPV数を上げることが可能ですが、弊社の場合はコンテンツ作成に割ける人が限られているため、少ない記事本数で成果を出さなければいけませんでした。
上記のような課題を解決するため、どうすれば高い確度で検索順位で1位を取れるのか仮説検証を行い、最終的には以下のようなコンテンツ作成フローを整備しました。
取り組み内容としては、記事を新規で作成するタイミングに加え、2回のリライトを行うようにし、PV数を最大化させるというものでした。
(1)新規作成
新規で記事を作成するタイミングでは、記事のボリュームやサジェストワードの網羅度、キーワードと記事内容の合致度を意識し、記事を作成していきます。
なぜこのようなことをするかと言えば、新規記事をGoogleが評価できる方法はある程度限られているのではないか?という仮説を持っているためです。
僕がインターンを始め、SEOの知識をインプットし始めた時、どのような資料を読んでも「ユーザーのニーズに応える記事を作る」といったことしか書かれていませんでした。
Googleはアルゴリズムにより検索順位を自動で判断しています。しかし、ユーザーの課題を解決しているかどうかを、どうやって自動で判断するのか?ということが気になっていました。
すでに検索上位に入っている記事など、ユーザーによく読まれている記事であれば、読了率が高い記事であったり、被リンクを獲得している記事が良い記事だと判断できるはずです。
一方で、記事を出したばかりで、SNSなどで拡散することもなく、まだほとんど人の目に付かない新規記事を自動で判断できる方法は、サジェストワードの網羅度や記事のボリュームくらいしかないのではないかと思っています。
もちろんユーザーにとって読みやすく、ユーザーの課題を解決する記事を書くことは非常に重要です。しかし、新規記事のようにほとんどの人に記事が見られていない段階では、まずはサジェストワードの網羅度などの指標をもとにGoogleに対して記事内容を最適化していき、検索順位の1ページ〜2ページ以内に入れてユーザーの目に入るようにすることがより重要だと感じています。
(2)リライト1回目
新規記事を作成してからおよそ2ヶ月〜3ヶ月ほどで、検索順位が固定されます。(1)の取り組みを徹底することで10位以内に入れるケースが多いので、リライトではさらに順位を上げ、1位を獲得することを目標に記事内容を修正していきます。
この段階で検索順位の1ページ目に入っていれば、すでにユーザーにある程度見られる記事になっているので、よりユーザーにとって見やすく、役に立つような記事になるようにリライトをします。
指標としては、主に以下のものが重要になります。
これらの数値は、実際にformLabの運用の中で検索順位と相関関係があった指標です。
これらの指標を改善するため、実行する打ち手としては、
などが挙げられます。上記の指標を定期的に確認しながらこれらの打ち手を繰り返し、着実に検索順位を上げていきます。
(3)リライト2回目
ここまでの取り組みで検索順位が上がったら、CVポイントを追加するため、記事内にformrunのセールスライティングとサービスサイトへのURLを追加します。
もちろんフォーム作成ツールの比較記事など、自然にformrunへの導線を入れることができる記事の場合は、新規記事作成のタイミングでformrunへのURLを追加します。しかし、基本的には最初からセールスライティングを追加するとキーワードと記事内容のマッチ度が下がってしまうため、検索順位が上がった後に追加するようにしています。
5. CV数を最大化させるための取り組み
記事の作成やリライトなどをした上で、さらにサービスサイトへの送客数を増やすために、以下のような取り組みを行っています。
目新しい施策ではないかと思いますが、低コストでできる打ち手であり、実行することでかなりのCVを獲得することができています。
特に、1については、formLabのコンテンツを「アンケート」「業務効率化」「マーケティング」など導入目的に合わせたカテゴリ分けをしている中で、カテゴリ別に出現バナー・テキストを変えてテストを行っています。
また、ヒートマップを使い、ユーザーに見られていないポイントや、CVが発生していないポイントを削っていくという施策も有効だと考えており、今後実行していく予定です。
最後に
改めて、オウンドメディアの運営で意識すべきだと思うことをまとめます。
これらは言ってしまえば当然の内容かもしれませんが、オウンドメディアの運用では「やるべきことをどれだけ着実にやれるか」がとても重要だと感じています。
今回の記事が、オウンドメディア担当者の方にとって少しでも参考になれば幸いです。また、formLabに興味が湧いた方は、ぜひ以下のリンクから覗いてみてください。
formLab | フォームで業務を効率化するメディア https://form.run/media/
また、ベーシックでは新しいメンバーを募集中ですのでよかったら採用ページを覗いてみてください。
https://basicinc.jp/recruit
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