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先週のショートショート【24年02月04日~02月09日】

■2023年02月04日(日)
今週のお題はChiekoさんにお願いした。一つ目は「鬼のパンツ」。最初から難易度が高い。近所の銭湯に行き、温冷浴をして休んでいるときに、ふとアイデアが浮かぶ。少年がお父さんの鬼のパンツをみる光景から始めるのがいいのではないか。帰宅して話を進めると、自然な流れでパンツ屋が出てきた。妻に送ると「当たり前すぎてつまらない」との返事がくる。間延びしているからかと思い、中間部分をごそっと削って、「パンツ屋」というタイトルでアップロードする。タイトルにひねりがない。

■2024年02月05日(月)
Chiekoさんからのお題は「くしゃみ」。まずくしゃみを売るというアイデアが出てきた。自販機で売ることにした。買うのはくしゃみをしたことのない主婦。最初はくしゃみの気持ちよさに気づくというだけの話だったが、妻に「理由が弱い」と言われ、心のモヤモヤも一緒に吐き出して機嫌がよくなるというふうにすこしだけ方向性を変えた。タイトルも「機嫌のいい人」に変更する。もう一本書いていたら、Clubhouseの開始時間が遅れてしまった。もう一本は、ドミノ倒しを作る話だが、ちょっと暗い。結局、アップロードは見送った。

■2023年02月06日(火)
Chiekoさんからのお題は「赤い色」。そうとう考えたが、なにも出てこない。肌が透明化して毛細血管が浮き上がり、そのうち筋肉まで見え始める話を書こうとしたが、展開しない。次に差し色の話を考える。この冬の流行は赤の差し色なのだが、お父さんが恥ずかしがって、一目につくところに決して赤をいれない。頑固な父と家族との戦い。これも面白くない。もうダメか……と思い、なんとなく赤い空の話を書く。朝から空が赤い。終わりの日ではないかとみんなが予感し、世の中が止まる。みんなが最後になにをして過ごすかを考え、実行する。タイトルは「終わりの色」にしてアップロードした。自信がなく、妻の反応を見たかったが、香藤湯に行っていて不在。タイトルだけはうまくいったと思う。

■2023年02月07日(水)
Chiekoさんからのお題は「3キロ」。散歩中にアイデアが浮かんでいたので、そこを書く。またかと言われそうだがAIものである。ロボットならぬ体重計が出てくる。名前は「まるこ」と決まっていたのだった。すっと書いて750字、削って550字。タイトルは「気遣い」ではちょっとさびしいので「まるこの気遣い」としてアップロード。

■2023年02月08日(木)
Chiekoさんからのお題は「あなたの名前」。美しい、切ない、恋心といったイメージがわくが、悲しいことにぜんぶ私に似合わない。というより、書けない。なにか抜け穴はないかと頭を巡らしているときに「あなたのお名前なんてーの」という脳天気が声が聞こえた。個人情報にうるさい現代にまったく似合わないこの質問。どうすれば、発することができるか、ということで書いたのが今日の作品。妻から光景がわかりにくいと指摘をうけ、冒頭をほんのすこし直す。「コンプラ違反」というタイトルでアップロードする。

■2023年02月09日(金)
Chiekoさんからの最後のお題は「いずこへ」である。誰が誰にいうのかが肝になる。最初は家族がバラバラになっていく話を構想するが、うまくいかない。心機一転、べつの話を書く。想像で不登校の話を書いてみたが、よくある話を気取って書いてみただけと妻に言われ、そのとおりだと納得。これも没だ。いい加減、リミットが迫ってくる。ぱっと思いついた「無人タクシー」のアイデアを掴み取り、ささっと書いたら、「こちらのほうがずっといい」と言われる。ありがち。「自動タクシー」というタイトルでアップロードする。

■まとめ
ユニークなお題が続き、だいぶ頭を使った。たとえば、自分だけで考えていたら、「赤い色」というシンプルなテーマで書こうとは思いもつかないだろう。書き終わったあともどこかヘンな場所から絞り出してきた感触が残っている。最近はちょっと声に出すということも意識している。「機嫌のいい人」なんかがそうで、いかにへんな声を出すかを自分に強いるような作品。ほかの作品も、時間があれば、推敲時に一度声に出して読んでいる。つっかえるところは、つながりがヘンなところ。読むのが面倒になったら中弛みしている。ショートショートは二分ほどで音読できてしまうので、文章磨きには有効なツールだと感じる。

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