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先週のショートショート【23年11月19日~11月24日】

■2023年11月19日(日)
妻からのお題は「規約」。昼から考えているが、なかなかこれというものを思いつかない。パソコンの前に座ると、なんとなくイメージがわいてきた。がんじがらめの生活。最初のシーンは心療内科の診察室だ。ここに母子が入ってきて、母親が息子の堅すぎる生活を非難する。タイトルは「規則正しい生活」とした。妻の反応。「意図はわからなくもないのだが、結果としてつまらない」。たしかにねー。タイトルを「ふつうの生活」にすると、もうすこしスッキリする気がした。とりあえず微修正でアップロードする。

とはいえ、つまらないと言われたのはくやしい。もう一本書いた。今度は正面から「規約」という言葉をテーマにする。ちょうどみんながXに変わるSNSを探しているので、あやしいSNSの話を書く。少なくとも私はネットサービスを利用するときに規約なんて読まないので……。タイトルは「別ウインドウ」。妻からは「長すぎる」という反応が返ってきた。つまらないとは書いてないのでさっきよりはマシだったのだろう。エピソードをひとつ落として200文字削ってアップロード。

■2023年11月20日(月)
妻からのお題は「チラシ」。チラシ、どうすればいいんだ。とにかく駅前でチラシを配っている光景を書き、それから展開を考える。短めの話ができたが、特定の店舗に寄り掛かっているので、ちょっと出すのに気が引ける。しかし、チラシはなかなか一般性をもたせるのが難しい。ピンクチラシネタを書きたい気もしたが、いまはもう見かけなくなってしまった。「駅前の男」とタイトルをつけてアップロード。修正を加えて、妻は銭湯に去って行った。

■2023年11月21日(火)
妻からのお題は「塩少々」。首をひねりながら料理の話を書いてみるが、ちっとも面白くない。没にして、ロボットの出てくる意味不明の話を書く。へんな話ではある。塩と結びついていないところがイマイチだ。べつに塩でなくてもなんでもいいだたろう。タイトルはそのまま「塩少々」とした。

■2023年11月22日(水)
妻からのお題は「振替」。最初に浮かぶのは郵便振替とか振替休日だがぴんと来ず、リスケジュールの話にする。書道の先生と忙しい小学生との生徒。これだけで話はできたような気がした。タイトルは「リスケ」にする。妻からは「惜しい」の声。オチの切れ味が悪いという。あとから別アイデアを送ってきた。こちらはこちらでちょっと甘い。見比べて、後者に書き換えた。

■2023年11月23日(木)
妻からのお題は「ねじれ」。考えていくうちに、お題から離れていく。結婚相談所の話にしたが、だいぶあとで妻から「妻から就職活動にしたほうがいいのに」と反応が届き、さらに実例が届いた。たしかに指摘のとおりだ。しかし、もう発表してしまった。タイトルは「初デートチェック」。あまりにも内容が違うので、書き換えは無理。出すとしたら別作品となる。

■2023年11月24日(金)
妻からのお題は「ねじる」。きりきり巻いていく感じ? ネジ巻きだろうなあと思い、ゼンマイを動力にしている古い街の話を書く。妻からは「つまらない以前にわけがわからない」と酷評が来る。たいてい、この手の指摘は的中しているのだ。傷が浅くなるように、文章を短くカットした。具体性も出すようにしたが、しょせん、修復しはじめたらダメである。時間切れ。「ネジ巻き」というタイトルでアップロードする。妻からは「あんなもの公開したの」とあきれた声が届く。

■まとめ
とりあえず毎日書くというのが最低限の目標である。いしいひさいちのマンガ「忍法質より量」を思い出す。毎日書いていると、時にはどう見ても赤点の作品も(残念ながらしばしば)出てくるが、これをどうするか。私は出来不出来は時の運。できてしまったものは表に出す主義である。妻は失礼なものは表に出してはいけないという主義。こういう日はとても機嫌が悪くなる。私だって気分は最悪なのだが(なんせ書いた本人だから)、よけい落ち込む。質より量の副作用、というお話でした。読んでいたいただいた方にはお目汚しで申し訳ない。

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