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先週のショートショート【11月22日~11月28日】

■2021年11月22日(月)
私のショートショートは、妻に「お題ちょうだい」と言ってLINEでテーマをもらうところから始まる。毎日書いているのは、夜のClubhouseで朗読するためだ。朗読は決してうまくはないのだが、朗読家の人には「書いた人が読むのがいいのよ」と言われる。
今日のテーマは「パレード」。あまりひねらず、「パレードの日」というショートショートを書いた。家のそばでなにかが起きている、というパターンの小品。「大久保通り」などの固有名詞があらわれる。パレードというと、皇族の結婚式くらいしか思い浮かばないのだけど、誰でもオープンカーに乗れるようなパレードが全国いっせいに開催されたらどうだ? という発想。

■2021年11月23日(火)
今日も妻からLINEでお題が来る。なぜか決して口頭では言ってくれない。お題は「株主」である。そういえば、昔、株で大損したことがあったなあ。某ソフトバンクめなどと思いながら、アイデアを練る。相場のことを短いお話にするのは難しそうだ。そうだ。株主優待券の話にしよう。親父がなくなり、遺産で転がり込んできた有価証券がとんでもない株主優待を送ってきたら面白いのではないか。ここまで考えたら、わりあいとすぐにショートショートが書けた。「株主優待」というお話。だが、Clubhouseで朗読してみると、蒲生竜哉さんに「アメリカの株に株主優待はないんだよ」と教えられ、あわてて設定を日本の軍需株に変更する。

■2021年11月24日(水)
この日のお題は「溶鉱炉」。恥ずかしながら、溶鉱炉というと「ターミネーター2」のあの有名なシーンしか思いつかない。不気味なロボットに追いかけられるというストーリーをいただき、最後にちょっとひねった。これ、映画を見てない人にはなんのこっちゃだろうな。タイトルは「巨大ロボット」とする。

■2021年11月25日(木)
LINEで送られて来たお題は「地球儀」。ふーむ(沈黙)。なにも思いつかないのでネットサーフィンしてみる。最近は喋る地球儀か流行っているのかあ。でも、AIの方向にひねっていっても、うまくオチそうにないな。凹凸のある地球儀といっても、凹凸があるのは陸上だけみたいなので、海溝なども再現した地球儀を出した。書きながら考え、最後はありがちなオチにする。登場人物に名前をつけるかどうかは、雰囲気で決める。たいてい名前はつかず「私」とか「彼」「子ども」などで終わってしまうのだが、今日は田中という名前が自然に浮かんだので、採用。タイトルもお題そのままの「地球儀」とした。

■2021年11月26日(金)
妻から「空き瓶」というお題が来た。海辺が思い浮かぶ。海辺にある空き瓶。たぶん無人島から流れてきたのだろうなあ。なにが入っていたら面白いかな。小さな猫が入っている瓶を想像した。うん。猫瓶を育てる話にしよう。そうすると、オチは自然に決まった。タイトルは「猫と瓶」にした。時間が余ったので、もう一作、これも海辺の空き瓶をテーマにした「孤島」というショートショートを書いた。出だしは同じで「海岸で空き瓶を拾った。」である。こちらはClubhouseで朗読はしたが、noteにはアップしなかった。きれいにオチなかったせいもある。

■2021年11月27日(土)

妻からのお題は「スラング辞典」。ちょっと途方にくれる。このお題からどんな話ができるのだろう。先行作品として小松左京の短編にすごい傑作がある(タイトルはちょっと失念)。スラング辞典を作るためには、きっとその集団に溶け込んで、言葉を収集してくる者が必要だ。それを狸に設定することで、ひとつのお話を作った。狸オチにするのではなく、最初から狸の告白という形にする。この場合、はっきりしたオチはなくてもいいと考えた。つけたタイトルは「スラング」。

■2021年11月28日(日)

妻から届いたお題は「クレーンゲーム」。クレーンゲーム、自分ではやったことがない。どうみても、景品がとれる気がしない。それはともかく、これをお話仕立てにしないといけない。人間以外の存在がアームを操っている話がいいな。とすれば、操縦者はあの人しかいないだろう。と、想像を広げ、「クレーンゲーム」というショートショートを書いた。不条理ものである。

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