音楽×短歌 連作「騒々(ソウゾウ)」
越谷オサム著『階段途中のビッグノイズ」という小説をご存知だろうか。軽音楽部を舞台にした青春小説なのだが、その中にはたくさんのバンドや曲が登場する。そこで知ったバンドを今でも聴いていたりするのだから、出会いというのは貴重なものである。
こと短歌において、曲名を詠み込む、というのはなかなかに難しい、と私は考える。たった三十一音の中の何音かを誰かが作った固有名詞にするというのは、歌に広がりを持たせられる反面、短歌側が自立していないと曲に支えられる構図になってしまう。本来なら1曲を何首かにすべきだとも思う。
だがここはあえて曲名を詠み込み、1曲あたり一首で連作を編んだ。出会いの効率を重視したということでここは一つ。短歌の後には曲のリンクも掲載しているのでよければ聴いていただけたらうれしい。
では、本編へ。
三月の風の指差す方を向き僕らこのまま生きていいんだ
三月 / DOES + 笠原楓奏
何もできなかった日にも茜空 飛べない鴉は堕ちてゆくだけ
茜空 / 鴉 + 笠原楓奏
暗闇を照らす命に導かれサーチライトは一種の救い
サーチライト / 筋肉少女帯 + 笠原楓奏
人間に上位互換がいないとは本当だらうか ガストロンジャー
ガストロンジャー / エレファントカシマシ + 笠原楓奏
恋なんて果てない螺旋階段を行くことに近い まだ続けるの
螺旋階段 / 椿屋四重奏 + 笠原楓奏
過ぎ去った季節は二度と戻らないシーズンサヨナラさよならreason
シーズンサヨナラ / 東京事変 + 笠原楓奏
バックヤードパスあざやかに少年が小さな箱に立った証明
笠原楓奏(ふーか)
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