あの頃わたしは好きだった人と夢を見ていた
昔、とても好きだった人がいる。
その人はとても中性的で、なんなら女子より可愛いらしいビジュアルをしていて、私はその人を「姫」と呼んでいた。
姫を愛する気持ちはとどまるところを知らず、私は姫愛を語るブログを綴り、いつしかコメント欄を通じて同志と交流、「月刊姫」なる刊行物を作り、会員にメルマガ的に送りつけていた。
今考えると痛々しさが尋常ではないのだが、当時はゾーンに入っていて、姫の魅力の普及に命をかけていた。
同志との間での妄想が暴走し、私はそれを小説にし始めた。巷でいう「ドリーム小説」というやつだ。姫をはじめ、姫が所属するグループのメンバーとの恋愛を小説にし、相手役の名前を自分の名前に変換して読める、というものだ。
当初、同志のために書いていたそれは、サイト化され、いつしかファンもつき、リクエストに応えたり、季節にあった企画を作ったり、それはもう生業にしているかのごとく、心血を注いでいた。
今思えば、アフィリエイトなどを導入するなど収入につなげる方策もあったような気がするし、当時noteのような仕組みがあればそこそこ有名になれていたのではないかと思ったり思わなかったり……。
その後、いつしか姫が姫でなくなり(むしろ今ではオラオラ系)、グループへの興味もなくなり、そのうち別のグループに好きな人ができたり、と紆余曲折を経て、最終的には界隈から足を洗い、そのサイトはネットの闇に沈んだ。
この話は墓場まで持っていくつもりだった。しかし、思い出すきっかけが、立て続けに3つあったのだ。
削除は出来ずにいたそのサイトがついに完全に消える日がくるという知らせだった。心血を注いで育てていただけに、消滅すると聞くと胸が痛んだ。かと言って移行する手間をかけるだけの熱はもうない。なんとなく、頭の隅に引っかかりつつ、日常が過ぎていった。
忘れかけていたある日またもや、夢を思い出させる記事に出会った。
noteさんがこちらの記事をツイッターで紹介しており、自分の黒歴史がまた思い出された。
そして、来月友達の結婚式に参列する予定があり、美容院に行かねばと思い、自分で書いた記事を読み返すとそこに、姫が出てきたのだ。
消えてしまう前に、誰かに見てもらえたらいいなと思ってしまった。けれど、現在も受け入れられるようなものなのか、一般人が読んで楽しめるものなのかはよくわからない。なので、もし興味がある方がいらっしゃったら、そっとコメント欄でお知らせください(笑)
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