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解任秒読み?ジェラードと『爆買い』アストン・ヴィラの行方(プレミア中規模クラブの難しさ)

久しぶりに浮上しました。
花璃です。
プレミア最推しのエバートンのホームスタジアムで、マージーサイドダービーがあったのでそれを書きたかったのですが、予定を変えてアストンヴィラのジェラード親分にてつらつら書こうと思います。

アストンヴィラ、爆買いの夏。

『戦術家』が持て囃される昨今のサッカー界、ガチムチの肉弾戦とロマンとメロドラマ『だけ』を求めているわたしとしては、レジェンド監督に頑張って欲しいと思わずにはいられない。
なので、リバプールは嫌いだけどジェラード監督には頑張って欲しいわけ。

ジェラードのイケボ電話が炸裂!

ジェラードってちょっと渋い声でゆったりした喋り方(考えながら話してる感じ)なんだけど、素朴なリバプール訛りが心地よくて、ジェラードのプレカン(プレス・カンファレンス)はマジでいいんじゃよ。
(同じリバプール訛りでも害悪パンディット筆頭ジェイミー・キャラガーは声がキンキンして早口だしマジ不快。発言軽すぎるし、考える前に口が動いてそう)
そんなランパードがイケボ電話を炸裂させて口説きまくっていたこの夏の移籍市場。
序盤から飛ばしていましたが、最終盤までヴィラの財布は火を噴いていたよ。↓

開幕から苦戦するヴィラ

ヴィラはイングランド中部のバーミンガムのチームで、欧州カップ戦でも栄光の歴史があるらしい。
ウィリアム王子の最愛のチームらしいんだけど、ホームスタジアムの『ヴィラパーク』の雰囲気が本当にすごくよくて、わたしもエバートンの次くらいに応援しているチームでもあります。
直近でもチャンピオンシップ(二部リーグ)に落ちてたこととか、2020年にはギリギリ残留した↓こととかもあってなかなか大変らしい。

CL二回も優勝してるのに20年プレミアに上がってこれなかったノッティンガム・フォレストの例とかもあるから『残留』するってのはめっちゃ大事なんだよね。

プレミアリーグとチャンピオンシップでは放映権料が桁違いでクラブ運営に関わるらしい。
ただ、ヴィラ、フォレストとかミッドランドの古豪は残留争いしてても負けてても、地元には熱狂的なファンが溢れてて、スタジアムにはお客さんが満杯ですごい熱気。
これは偏見だけど、土地柄娯楽がサッカー観戦とパブ飲みくらいしかないんだろうと思います。
(大昔ミッドランドにホームステイしたことある←)

ファンに見放されるジェラード?

辛酸を舐め慣れているはずのアストンヴィラのファンベースですが、何故か開幕5試合敗(リバプールに9-0で負けたボーンマスに3-0負け)のジェラード監督はファンの支持を得られていないらしい。

監督の中には自分たちの仕事がファンとの間に『クラブの遺産』(文化のようなもの)をもたらすものだと理解している。キャラガー(大害悪パンディット笑)よ。お前の『彼氏』のジェラードが何故ランパードのようにファンの支持を得られないか分かるか?

これね。
ニューカッスルのエディ・ハウ尊師が何故英国最強監督なのかっていう問題にも直結すると思う。

(ウエストハムにパケタを取られたことなんて)気にしていませんよ。
オーナーとエディ・ハウを信じています。
移籍市場終了時、どんなスカッド編成になっていたとしても、わたしたちが上位入りすることは避けられません。
クラブには潤沢な資産があり、選手たちには強力なファンベースがありますから。

エディ・ハウを選んだ時は大して期待してなかったけど、彼を選んだ俺たちの選択はマジで神ってた。我が強くないタイプの監督が必要だったんだと思う。ブルース(スティーブ・ブルース:ハウの前任)とハウは夜と昼のようだ。

ハウ尊師は、新しく移籍してきた選手たちにクラブの歴史をまとめた映像を観せたりして『ニューカッスル・ユナイテッドの選手であること』について意識(?)させたりしているらしい。

非メガクラブ監督の難しさ

メガクラブ(プレミアリーグで言えばいわゆるBIG6とか)はファンが世界中に分散している(例えば、マンUの最大のファンベースは東南アジアだし)から「とにかく勝てばいい」みたいなとこあるし、ドイツ人やオランダ人の監督でも許されるけど、ミッドランドや北の非メガクラブはガチの地元民がファンベースの中心だから、クラブの歴史とか文化を理解して監督本人が『愛され』ないとマジで死活問題になるっぽい。
21/22シーズン最終盤、リーズ・ユナイテッドとバーンリーの残留争いでも、結局、ファンベースに頭を下げて支持を求めたジェシー・マーシュのリーズに、監督を解任して後任を指名しなかったバーンリーは競り負けてしまったわけで。
ちなみに、残留争い一抜けしたエバートンは『あの』スーパーフランキーことスーパースターのランパードがアウェイの応援に来てくれたファン一人一人にお手振りとか握手でお礼と労いをやってたんだよ。。泣きそう。

「ランパード無能」とか「俺が監督した方がマシ」とか言ってる人はさぁ〜〜、曲者&メンヘラ揃いのエバートンのサポをここまで巻き込んで味方に付けられるカリスマと能力があるのかっていう話だよね。
自称戦術家の素人なんて絶対ベニテス以下だよ。

ジェラードは何故支持されないのか?

ん〜〜〜〜。これは難しい。
ジェラードはレジェンドで古豪に相応しい格もあると思うし、イケメンだし雰囲気もお品があっていいなぁと思う。
だけど、発信力が弱い
品が良すぎるというか、集めた選手をうまくまとめる力とファンに支持を訴えかける力が弱いと思う。
破れかぶれでも応援したくなるランパードと、静かに崩れ落ちていくジェラードというか。
もうちょっとなりふりかまわなさが前面に出てたらファンも必死で応援すると思うんだけど、なんか『熱さ』がないんよ。

某パンディット「ジェラードは良い選手をたくさん集めているが、良い『チーム』を持っていない」

これどこで見たのかな〜〜どのチャンネルのパンディットだったか忘れたんだけど、ヴィラの今の状況について、言い得て妙だなって思った。
現地ヴィランズ(アストンヴィラハァン)も大体同じ感想みたい。
ということで、現地民の声を拾ってみましょう。

ジェラードを解任しろ。
とんでもない馬鹿男。
インタビューではよくしゃべるが、戦術的な柔軟性がなく、情けない奴だ。彼をクビにして、ディーン・スミスを戻せ。
Stevie G.はクラブ史上最悪の監督だ。誰一人モチベーションを上げられない。ディーノが帰ってこないなら、エディ・ハウでもいい。

ジェラードは去らなければならない。
開幕から連敗中のウエストハムに負けるなんて。
何一つ見せ場がなかった。
選手たちには団結がなく、何をすればいいかわかっていない。ジェラードは一つの手がかりを示すこともできない役立たずだ。

この敗戦(アーセナルに1-1から競り負け:しかも、マルティネッリaka.雑っ魚byESPNに決められる…)が示すことは、『個』を集めたチームは機能しないということだ。
ジェラードなしでこの優れた選手たちを集めることは出来なかっただろうが、彼らは連動しているだろうか?
チームは行くべき道を見失っており、このままでは降格する。

なんというか、選手がジェラードを慕っているというのは分かるんだけど、肝心のジェラード本人の性格が大人しいというのか、テレビ映えのする『いい子ちゃん』ではあるんだけど、女性向けの恋愛ドラマだったら
「イケメンだしスパダリだけど優しすぎて何考えてるのかわかんない」
って言われて振られる好青年
みたいな感じやねん。
ジェラード自体はリバプールのレジェンドだけど、ジェラード時代のリバプールは暗黒期だった(?)みたいなのを聞いたことがあって、確かに、本人はスーパーだしカリスマ性があるけど、リーダーシップに欠けるみたいな感じなんかなと。

ジェラード監督不調の原因

ヴィラは「選手はいる」んです。
ジェラード就任前の時点でグリーリッシュマネーが入って元レアルマドリードユースの闘士、エミリアーノ・ブエンディアとか補強してるし、冬の移籍市場のディーニュ、コウチーニョを皮切りにジェラードがイケボで電話して口説きまくってるし、レナン・ロディをノッティンガムフォレストに出した(ので外国人枠が空いた)アトレティコのシメオネ監督が欲しがっていたドウグラス・ルイスを移籍市場最終日に口説いてアーセナル行きを引き止める(GJ!!!!!)など、入れるだけ入れて放出もそんなにしてない(そのため、UEFAに目をつけられてFFP監視対象デビュー)から、いい選手はたくさんいるんだよ〜〜
なのに開幕6戦1勝なんです…実は、開幕戦ボーンマスに負けたくせに第2節にエバートンには勝ってるんよね涙(リアタイで観てたえばとん推し←)
えばとん雑魚すぎん??涙
終盤追いついて「よっしゃ引き分け〜〜〜」ってガッツポーズした次の瞬間にブエンディアちゃんにヤられましたわ。

そもそも『戦術が機能してない』説〜〜

「選手たちが途方に暮れている」
「チームとして何をしたいのか分からない」

とか言われちゃってますが、ジェラードは『戦術がない』わけじゃないというのがポイントです。

ジェラードは重圧にさらされている。
問題は、彼のサッカーに『スタイル』がないことだ。彼らがチームとしてどうなりたいのかが分からない。4-3-1-2はちっとも機能してないよ。

いしやさん(この方のチャンネルはおすすめ♡エバートンとかバーンリーについてもやってくれてめっちゃ嬉しい♡唯一の欠点はアーセナル好きってことだけ笑)のチャンネルで言ってたけど、ジェラードの4-3-1-2(4−3−2−1)の同サイド圧縮はサイドに張ってる選手がいないから構造的にビルドアップで詰まりやすいらしい↓。

めっちゃ分かりやすいと思った。確かに。
前線に運ぶまでが個人技頼りできついんだよね。
後半からコウチーニョ入れると変貌するのはその辺があると思う。
(コウチーニョはプレス耐性がないのでコウチーニョがスタメンだと90分ただただ死んでいる)

アシスタントが抜けたのがきつい説〜〜〜

練習とか戦術面で全面的に任されていた(?)腹心のマイケル・ビール氏がクイーンパークレインジャーズ(QPR)というスコットランドのチームの監督に引き抜かれてしまい、彼の代わりにマイケル・ビールのブラックプール時代のボスであるニール・クリッチリーという人物がアシスタントを引き継いでいるらしい。

ニール(ナイル)・クリッチリーはブラックプールを英3部からチャンピオンシップに昇格させた人物らしい。
監督キャリアこそ、リバプールユースでそこそこあるものの、選手キャリアがほとんどない模様↓(17歳頃に3部か4部で計5試合とか)。

プロでの監督経験が3部のブラックプールしかないことといい、選手キャリアがないことといい、ジェラードが一本釣りしてきた一流選手たちがこの人と合わなくて全然言うこと聞かないみたいな感じなのかも?

コウチーニョ寵愛で崩壊説〜〜

これに関してはジェラード監督の本人の性格の問題であって、コウチーニョのせいでは断じてないんだけど、コウチーニョを寵愛しすぎて中盤の序列がオカシイっていうのが昨季終盤の失速の一因だとわたしは思ったという話です。

なんだろうね?
支配欲が強い男性の特徴というのか、弟分で従順なコウチーニョは寵愛するけど、前任者の肝いりで入団した骨っぽいブエンディアは扱いに困ってるっていう感じがした。
ジェラードがブエンディアが嫌いってわけじゃないんだけど、途中交代の時とか、蕩けるような笑顔でハグしたりしてコウチーニョに接した後、ブエンディアの前に出ると急に我に返ってキリッとしなきゃみたいな感じで握手とかがあって、ブエンディアは
「監督はコウチーニョがお気に入りなんやな〜」
って思ってしまうし(多少不服だけどプロなのでプレイで見返してやると思っている)、ジェラードはジェラードで繊細な人なので
「ブエンディアは不服なんやろうな〜」
って思ってしまって勝手にブエンディアが苦手になっている。みたいな状況。
ジェラードがもっと我が強かったり、傍若無人だったりしたら割り切りようもあるのに、中途半端に八方美人だからぎくしゃくしてる感がある。
ジェラードって典型的なホモソの男というか、努めて公平且つ理性的に立ち回ろうとしてるんだけど、基本的にヒエラルキーを大切にするし(だから取り巻きをリバプール閥で固めるし、スカイスポーツの実況の時はキャラガーの顔を立てて試合前インタビューにも応じる←そして負ける…)、部下との間に少し距離感のある人なんだろうなと思う。
ただ、上司の仮面を被ってる時はクールだけど、コウチーニョみたいに真正面から懐に潜り込んできたら即落ちしちゃうタイプなんだろうな…

ブラジルにいた時、ゲームでいつもジェラードを使っていました。彼は僕の憧れだった。でも、一緒にプレーしている本物のジェラードは僕が思い描いていたよりも、ずっとずっと素晴らしいんです。

今起きている状況は社長の愛人(仮)が秘書室にいて、社内で何か問題があっても上申できないみたいな風通しの悪さ。(コウチーニョが甘え上手で魔性すぎるのもあるけど、ほぼジェラードの元々の性格の問題と思う)
その上中間管理職が昔気質の社長の番頭さんみたいな人で、社長が直々にヘッドハントしてきた新進気鋭のエリートと全く合わない。
経営戦略(戦術)もいけてない。
となると…。

コウチーニョの功罪

ぶっちゃけわたしはジェラードが就任するまでアストンヴィラの存在すら知らなかったし、コウチーニョが移籍してなかったら試合を観ることもなかったと思うので、わたしのような国外の超絶ニワカにクラブの存在を知らしめるという意味ではジェラードが就任した意味もコウチーニョを獲得した意味もあったと思う。
コウチーニョの神スルーパスでアカデミー出身のジェイコブ・ラムジーが第覚醒したりアンダー代表入りしたりしてクラブの歴史にもプラスだったと思うし。
ただ、コウチーニョを始めとするジェラードが取ってきた選手たちとアストンヴィラの特色がいまいち合ってないのよね。

クロップがコウチーニョを放出した背景

これだったかな?↓

で言ってたんだけど、コウチーニョは14歳までサッカーではなく、フットサルをやっていたんだよね。

「ブラジルでは最初フットサルをやり、普通は10歳を過ぎるとだんだんサッカーに転向するんだけど、僕はフットサルが楽しくて楽しくてしょうがなかったから、14歳までフットサルをやっていたんだ」

フットサルとサッカーって日本だとあんまり違いが意識されてないと思うんだけど、(屋外サッカー場が少なくて『屋内サッカー場』があるのもある)

◉フットサル=体育館でやるのでコートが狭い。狭い空間での技術が必要
◉サッカー
=フィールドでやるのでコートが広い。広い空間を走る走力とスタミナが必要

っていうのがあるんだよね。
クロップが(お尻を触るくらい気に入ってた)コウチーニョをバルセロナに売却した背景には、
「コウチーニョは90分間走るだけのスタミナがない」っていうのがあったらしい。

昨シーズンを通じて実施した適正テストの結果を報告。自身がチームにとって最適だと考える4ー3-3システムの中で、フィリッペ・コウチーニョを配置できるポジションは、左右のウイングしかないという結論に至った(中略)
 クロップはドイツ伝統のフィジカル重視のサッカーの信奉者で、テクニシャンよりも継続的にインテンシティーを発揮できる選手を重用する。いくらテクニックや戦術眼に優れていても、マークを外す動きやプレッシングなど、オン・ザ・ボールとオフ・ザ・ボールでハードワークできる選手でなければ、クロップの評価を得るのは難しい。
 そのクロップが就任2年目となる昨シーズンに行なったテストとは、そうしたみずからのサッカー観に照らし合わせ、選手たちを振り分けるためのものだった。指揮官は4-2-3-1と4-3-3を併用し、さまざまな役割を与えることで、すべての選手の適性を見極めていった。
 その際に、クロップがとりわけ重視したのが、攻から守、守から攻へのトランジション。その結果明らかになったのは、フィルミーノ、マネ、エムレ・ジャン、ジョルジニオ・ヴァイナルダム、ジェームズ・ミルナー、アレックス・チェンバレン、アダム・ララーナといった選手と比較したときの、コウチーニョの持久力の低さだった。
 またクロップは、アンカーにジョーダン・ヘンダーソン、両インサイドハーフにヴァイナルダムとジャンを並べる形が中盤の最適解であると導き出し、逆に継続的に長い距離を走るためのダイナモ的資質が欠けていると判断されたコウチーニョは、「中盤不適応」の烙印を押された。
 例えば実戦を想定し、フィジカルテストの一環として行なわれた60メートル走でも、コウチーニョが続けて走れるのは2本までで、30秒前後の休息を取らなければ、3本目のスタートを切ることはできなかった。これでは、クロップが求める高いダイナミズムをベースとする戦術的要求に応えるのは不可能だ。

コウチーニョがスタメンで出るといまいち(ヴィラの試合はインテンシティーが高いのでハーフタイムの頃にはふらふらで、ジェラードが途中交代を切るまで消えている)で、途中出場だと無双するっていうのは、細くてフィジカルが弱かった(ヴィラに来てからかなり鍛えてる)のもあるけど、スタミナがなさすぎる(そしてその主因はユースの途中までフットサル選手だったこと)のが大きい原因だと思う。

古巣の『外様監督』の成功と、ジェラードのプライド

さっきも書いたけど、ジェラードは、害悪パンディットジェイミー・キャラガー(リバプールの元同僚)の顔を立ててしょっちゅうスカイスポーツの特別インタビューに応じるくらいにはリバプール閥を大切にする男です。
外様(しかもよりによってドイツ人!)のクロップが古巣を率いて一定の成果を残したことは、いずれリバプールの監督になる運命を強いられているジェラード(元リバプールの同輩がヘタレすぎる為)にとっては

・外様(しかもドイツ人)が英国最高のクラブである古巣で偉そうにしている
・しかも一定の成果を上げてしまっているので、自分が監督になった時のハードルが上がってしまった

という二重の意味で面白くないわけです。

イングランド人サッカーファンはドイツが『大嫌い』であるという大前提

これはあまり日本では知られてない気がする。というか、プレミアファンとかで軽率にナーゲルスマン(笑)をプレミアのチームの監督にしようとする人とかいて、UKとドイツの関係についてあんまり分かってないのかな〜って思う。
イングランド人がドイツを嫌いじゃなかったら、そもそもBREXITとかしてないし。
UKの仮想敵国は未だにドイツやからね…。
こちらはEURO2020の準々決勝、ウェンブリーでのイングランド対ドイツの模様です↓。

ニュースで試合の日のロンドンの街のご様子とかも観たけど、マジですごかったよ…。
ドイツに勝っただけで、既に優勝したみたいな雰囲気だった。
「俺たちはドイツに勝った」
「ウクライナもスウェーデンもデンマークもイタリアも大したことない」「優勝カップは遂に『フットボールの生まれた土地(ウェンブリー)』に帰って来るんだ。IT'S COMING HOME !!!!」
ってイングランド中で大騒ぎしてたわけ。
実際にはデンマークには大苦戦して、スターリングさんのダイブで疑惑のPK勝ちしたわけですけど(昨季までのマンCの得意技笑)、ウクライナもスウェーデンもデンマークも大したことないって言うのにドイツに勝って優勝したみたいに大騒ぎしてるってことは、逆説的に
「ドイツは大したことある(=強い、勝てないかも)」
って思われていて、イングランド民のドイツ嫌いはドイツへの畏怖というか、リスペクトの証でもあるんだよね。

ジェラードのコウチーニョ寵愛は、リバプール魂であり、クロップへの意地でもある

ウエストハムに輪をかけて脳筋のレインジャーズの監督だったというのが意外すぎるけど、集めている選手の傾向からして、ジェラードはコウチーニョみたいな『巧い』タイプの選手が大好きなんだろうな〜というのは思う。
ベニテスと揉めてエバートンからアストンヴィラに来たフランス代表左サイドバックのディーニュさんとかも、バルセロナにいたことからも分かるように、対人守備が強いっていうよりはすごく巧くて攻撃で違いを出せるタイプのサイドバックだし。
ジェラードが現役時代からコウチーニョのキラキラする才能に惚れていて、古巣の外様監督のクロップ(この時点でジェラードは気に入らない)がスタミナ&フィジカル不足で見切ったことも気に入らないし、バルセロナでの継子扱いを見かねて引き取ったジェラードは思い入れやそれまでの経緯もあって

「絶対にコウチーニョが輝けるようなサッカーをしてリバプールに戻ってやる」

って監督としての意地で思ってるんだろうなと思う。
(*現時点で全然できてないけど笑)
現状のジェラードは、クロップスタイル(フィジカルゴリゴリの働き蜂サッカー)へのアンチテーゼで、選手のクオリティを生かしたサッカーを目指して、結局クオリティ任せでそこそこ勝ってそこそこ負けるサッカーになってるみたいな感じ。
だから、
「コウチーニョの『序列を下げる』」
という選択肢は存在しないし、
「序列が上=スタメン」
と信じて疑わないジェラードにとっては
「コウチーニョを生かす戦術としての途中出場」
はなかなか決断出来なかったのかなと思う。

解任の天王山で王者マンチェスター・シティに引き分け卍

名将ジェラードは自分の首がかかったこの天王山で、愛人のコウチーニョをスタメンから外す決意をしました。
ちなみに、コウチーニョと同じテクニシャン系で属性が被ってるブエンディア(レアルマドリードユース出身で、ラリーガのヘタフェでシニアキャリアをスタート)もスタメンから外れました。

ジェラードの首をつないだアストンヴィラの面々

なんか、昨日のヴィラの中盤、足の速さがヤバくて(ハーランドがぶっちぎれないレベル)、選手の平均レベル高めなリーグアンみたいなチームだった(フィジカルとスピードがすごくて守備が組織的でないというか…)。

シティはお得意のポゼッションがあまり出来ずに、高トランジションの耐久レースだったのでケヴィン・デブロイネ、カイル・ウォーカーがフルスロットルしてたと思う。(ウォーカーさんは走り過ぎてハムった模様)↓

手数少ないカウンター合戦になっても一応対応できるのがシティのクオリティの高さだとは思うけど、集めてる人材的に、そうなった時(選手の室でのポゼッションが出来ずカウンターの打ち合いになった時)の使える層が薄いのがね。
後、エデルソン(シティのメンヘラGK)は、こりゃアリソンから代表正GK奪えないわって感じだった。
ヴィラの1点目のシュート、アリソンなら止めてるわ。

これからのジェラードの行方

今回はなんとか首の皮一枚つながったけど、ジェラードって不器用そうだからこのまま路線変更出来るとは思えないんだよな〜〜
そういう愚直で不器用な部分が男友達(キャラガーとか笑)に愛されてるんだろうけど、ランパードみたいに全部ぶち撒けて他の人とシェアするか、もうちょっと老獪にならないとこのままだとジェラード、一人で抱え込んで愚直に自滅しそう。
クロップに頭下げてリバプールからコーチ引き抜いてくるとか(絶対無理)、レジェンドパワーでこっそり口説くとか(これはやりそう)。
わたしは、解任レースは成績に拘らず、ランパードよりジェラードがリードしていると思っていて、それは兎にも角にも
「ファンの支持がない」
のが理由なんだよね。
ヴィラパークのヴィラファン(ヴィランズというらしい)はシティに引き分けた後ほっとした顔をしたジェラードに
「引き分けただけで喜ぶな」
ってキレるくらいジェラードに対して冷めていて、
「ジェラードよくやった!頑張れ!」
って言ってるのは、基本的にリバプールファン
なんだよ…。

リバプール色を無くしてヴィラ色に染まれるかが分かれ目

ジェラードは初めて監督をしたレインジャーズで即成功して、いずれリバプールの監督になる、ステップアップのためにヴィラに来たってみんな思ってるのが今すごく裏目に出てる気がする。
他クラブだけど、一応英国のレジェンドだからということで、たくさんお金を使って選手を集めたのに巧く使えない無能で、クラブを降格させようとしているとなると、ミッドランドの古豪のプライドもあるアストンヴィラのファンにとってはジェラードのリバプール色が目について、『余所者』感がマシマシになるんだろうなと。
ジェラードはそこで表向きにリバプールの縁故を断ち切れる(キャラガーのウザ絡みを突っぱねるとか)ほどの老獪さもないし、歯が浮くようなヴィラ愛を語れるほど器用な人でもないし、自分の力不足を正面切って認めて謝罪するにはプライドが高すぎる、となると、難しい。
クラブの大変な時だとか、力を貸して欲しいとか、それっぽいことを言って形式的にサポートを懇願するけれど、ジェラードは良くも悪くもお綺麗というか落ち着いていて、ランパードみたいな形振りかまわなさとか必死感が伝わらないからファンとしてはストレスが溜まるんだと思う。
しっかりした、厳しいご家庭で育てられた人なんだろうな〜と思うけど、今までが順風満帆だっただけに、ここで一皮剥けないとかなり厳しいと思う。それこそ、監督としてのキャリアの終わりというか、
「リバプールでしか監督できない」
「リバプールで失敗したら終わり」

みたいな感じになりそう。
レジェンド監督特有の悩みだな〜と思うけど。
元マンU監督のOGSが今そんな感じだし、監督経験ゼロでいきなりチェルシーの監督になったランパードなんかえばとんに来るまでマジで監督人生『終わって』た(ランパード本人も言ってる笑)。
監督って監督自身が愛されないといけないし、自分の表現するサッカーを通じてクラブを愛してもらわないといけない、難しい仕事だよね。

ゲイリー・ネヴィルがOGSをエクストリーム擁護して続投させようとした時はピンとこなかったけど、その後マンU笑が鳴り物入りで招聘したラングニック教授(笑)がどんなことになったか見ていたら、よ〜くわかった。

サッカーは娯楽のための興行であり、どんなサッカーをしていても、ファンに嫌われたらやっていけない

のだと。
ネーションズリーグでラングニック教授率いるオーストリア代表のサッカー観たけど、ラングニックさんのハイプレスサッカーは2週間4試合のうち初めの1試合半しか持たなかったので(疲労が溜まるにつれだんだん走れなくなり、エースのアラバも怪我して勝てなくなってしまった)、単純にプレミアの日程で継続的にやるのは難しいと思う。
後、ドイツ的な率直な物言いが、ホームグローン枠の選手たちにドン引きされたのも良くなかった。

レジェンド監督ってやっぱり華があるし(プレカンとか試合後インタビューとかついつい観ちゃう)、選手やファンに愛されるという意味では相当なアドバンテージがあると思うのでジェラードには頑張って欲しい!
ここを耐えて一皮剥けてくれ〜〜〜

花璃。


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