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「ディズニー」「Netflix」「Amazon Prime」のオンライン融合戦略 #2

前回はディズニーによる、「ディズニーランド」と動画配信プラットフォーム「Disney +」の「OMO(Online Merges with Offline)戦略」について言及した。今回は2021年1月現在、世界中に2億人のサブスク会員をを持つ「Netflix」について掘り下げていきたい。

「Netflix」の課題

豊富なジャンルの動画コンテンツを網羅し拡大を続ける「Netflix」は、近年にはオリジナルコンテストにも力を入れ、様々なドラマや映画が世界中でトレンド化している。

日本でも「全裸監督」が話題になり、オリジナルアメリカ・ドラマでは「ストレンジャーシングス」、そして韓国ドラマ「梨泰院クラス」「愛の不時着」が社会現象になったのは記憶に新しい。

世界中のサブスクライバーからの膨大なデータと、各国に合わせ適正化されたシステム、良作コンテンツを見つけ出す着眼点やヒット作品を生み出すメソッドは、世界中のクリエイター並びにビジネスマンが注目している。

「Netflix」に関し更に掘り下げてみたい方には、2020年に新刊された『No rules ~世界一自由な会社 NETFLIX~』を強くお勧めする。

ここまで見てきた「Netflix」は、一見盤石に見えるが現状は課題が多い。その一番のネックが「OMO戦略」である。

「Netflix」は、ディズニーランドの様な実店舗を持っていない。そしてディズニーの最大の強みとなる様な「IP(知的財産)ビジネス」を所有していない。

どれだけ、「全裸監督」や「ストレンジャーシングス」がヒットしてもキャラクター商品として売り出す余地が全くないのだ。

コロナ禍の中、Netflixで「鬼滅の刃」を観た方も多いと思うが、それに付随するグッズ販売やキャラクター商品、コミック売り上げからの莫大な利益からは全く無関係となる。

そして、例え「全裸監督」の様なキラーコンテンツを生み出し新規会員を獲得したとしても、ドラマの「1シーズン」全8話が終わってしまうと続きを観る為には最低でも1年は待たなくてはならない。

その間に、契約解除するサブスクライバーが存在するのは事実なのだ。

その為、「Netflix」のビジネスモデルとして絶対的にあるのが、絶えず良質のコンテンツやヒット作品を生み出し会員に定期購読を続けてもらわなければならない。

その為には当然、コンテンツを買い付ける為の費用、そして強みであるオリジナル作品を生み出す為の予算を生み出すキャッシュフローを継続させねばならない。

大きな予算をかけ制作したコンテンツがコケてしまい、会員離れに繋がった際に歯車が狂い出すシナリオは充分に考えられる。

「プロダクトプレイスメント戦略」と「IPビジネス」

そのために、今後「Netflix」で展開されていくビジネスモデルに「プロダクトプレイスメント」と「IPビジネス」がある。

「プロダクトプレイスメント」とは、広告として作品の中で商品を登場させる手法だ。

近年、様々な映画でも大々的に行われているやり方で、有名なものに「ミッションインポッシブル」でトム・クルーズが着用する「オークリー」のサングラスや「BMW」の車やバイクがある。

作品のストーリーに自然に織り込む事で、視聴者がCM広告などに抱くようなマイナスな感情を与えずに高い効果を作り出す事ができる。

現在、「ストレンジャーシングス」でも実験的にこの手法が使われていて、「コカ・コーラ」や「バーガーキング」とコラボして話題になった(※Netflixはこれらの企業から一切の金銭をもらっていないと主張している)

そして、注目すべきは「IPビジネス」である。

まさに、2021年に「Netflix」は日本の大手アニメ制作会社の株式会社ANIMA&COMPANY(NAZ)、株式会社サイエンスSARU、Studio Mir Co., Ltd.、株式会社MAPPAの計4社と包括的業務提携を発表した。

これにより、「ディズニー」のようなオリジナルキャラクターやグッズ販売による新しい財源や新規プロジェクト、メディアミックス戦略も行われる可能性がある。

今後はいかに、オンラインでの動画視聴からオーバーラップし、オフラインでのグッズやキャラクター商品、又は実店舗やテーマパークへと繋げていけるのかが、課題でありとても楽しみな展開だ。

最後となる次回は、「ディズニー」「Netflix」とは違う独自のビジネスモデルを構築する「Amazon Prime」を掘り下げていきたい。

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