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育児休業給付金で実質8割の月額賃金がホントに保障される?

前回の記事で、育休を取得したいと思わなかった男性は、その理由として「収入を減らしたくなかった」「配偶者や祖父母等、自分以外に育児を担う人がいた」ことを挙げていました。
今回の記事では、これら2つの理由のうち、「収入を減らしたくなかった」について、考えていきたいと思います。

収入とは月額賃金だけではない

育児休業給付金により、180日までは賃金月額の67%、それ以降は50%の収入を得ることができます。

社会保険料なども免除となるため、実質8割が保障されているとの見方をする方もいます。

でも、「収入を減らしたくなかった」との理由が男性の育休取得を躊躇させる通り、育児休業給付金をいただいたとしても、収入は確実に減ってしまいます。

実質8割が保障されているならば、何とかなるだろうと思えるかもしれません。

1年間の育休の場合、年収600万円ならば、約350万円の給付金。

そして、収入の2割ほどになる社会保険料などの免除を加えれば、実質8割ぐらいと言えるのかもしれません。

でも、この計算方法は間違っています。

なぜなら、給付金の計算では、ボーナスを考慮しないからです。

年収600万円のボーナスありで計算すると

年収600万円でボーナスが3カ月分支給されているならば、月額賃金は40万円と試算できます。

すると、育児休業給付金は1年で約280万円。

社会保険料等の免除額を加えると実質約400万円です。

200万円の年収減で、実質7割を切っています。

ボーナスの乗率が大きければ、さらに給付金は少なくなります。

同じように年収600万円でも、ボーナスが6カ月分支給されているならば、月額賃金は33万円。

給付金は1年で約230万円。

免除額を考慮して実質約350万円。

250万円の年収減で、実質6割を切っています。

ボーナスでの収入が多い場合には、実質8割には全く及びません。

免除額を考慮せず、給付金だけなら4割です。

こうなると、数カ月にわたる育休を取得することには、及び腰になります。

不安なく育休を取得できる社会

育休を取得して家計もやりくりするためには、貯蓄しておく必要があります。

貯蓄がほとんどない場合には、数カ月にわたる育休の取得は選択肢に入らなくなります。

たとえ、少しの貯蓄があったとしても、今後必要となる子どもの生活費や教育費などを考えると、大きな不安を抱くことでしょう。

このように考えると、現状の制度ならば、男性自身が、収入減を理由に育休を取得したくないと考えることは、当然のことになってしまいます。

また、産休で休むことになる女性、専業主婦の女性、結婚や出産を機に仕事を辞めた女性が、男性には、育休を取得するより稼いできてほしいと思うことも自然な流れになってしまいます。

ボーナスをなくして年俸制にする。

育児休業給付金を増額する。

子どもの教育費などをすべて無償化し、子育てにお金のかからない社会を構築する。

そんな社会にならないと、ほとんどの男性が不安なく育休を取得することはできないのかもしれません。

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