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男性育休が広まれば、出産退職する女性が減る?

男性育休が「GO TO 育休」により広まる(笑)
すると、性別にかかわらず、どこの職場にも、長期にわたる育休を取得している従業員がいる状態になります。

今回はこの続きからです。

男性育休による人材の不足

男性の育休が広まれば、出産退職する女性が減るかもしれません。
なぜなら、男性の育休が広まれば、人材の不足が起きるからです。

数日間の育休ならば、同じ部署やチームの人たちが取得した男性の業務をこなすことで、持ちこたえることができるでしょう。

数カ月間や数年の育休となれば、そうはいきません。
男性の育休取得による人材の不足を何らかの形で補わなくてはいけなくなります。

男女ともに80%が育休を取得する場合

具体的な数字を挙げて考えてみます。

従業員が2000人の大規模な会社で、男女比が50対50だったとします。
毎年、従業員の5%の家庭で出産があり、男女ともに80%が育休を1年間取得すると仮定します。
1年で80人が育休を取得していることになります。
経営者からすると、毎年、1年で80人分の人材を確保しないといけません。
平均すれば、1週間で1人から2人の人材を確保しないといけません。
育休を取得する人の代替となる人材を毎週探さないといけないのです。
これは、かなり骨が折れる作業です。
私が経営者なら、従業員を2080人まで増やします。育休取得に合わせ1年で80人もの人材を探すより、社内での異動で対応した方が、スムーズな経営ができそうだからです。

従業員が200人で男女比70対30の会社で、同じように考えてみると、毎年8人です。
従業員が20人で男女比90対10の会社ならば、毎年0.8人、約1人です。
経営者により判断は異なることでしょうが、20人の小規模な会社であっても、毎年1人の育休による欠員を補う人材を自社で確保しながらの経営ができます。

現在の日本社会、女性のみ80%が育休取得する場合

男女比も盛り込んだ想定ですので、現在の日本社会のように、1年間の育休を女性だけが80%取得する場合の人数も計算してみます。
男女比50対50の従業員2000人の会社ならば、毎年40人。
男女比70対30の従業員200人ならば、毎年1.2人。
男女比90対10の従業員20人ならば、毎年0.08人、12年で約1人の女性が1年間の育休を取得することになります。

女性のみが1年間育休を取得するとなると、200人の中規模な会社でさえも、年間約1人の人材を確保すればよいことになります。
これが現在の日本社会ですので、この1人の人材を確保するには、非正規雇用、または派遣社員などで確保する。
もしくは、人材の確保をせずに、業務を振り分けるということになります。

20人の小規模な会社では、12年で約1人です。
前回の育休取得があったのはひと昔前になってしまいます。
育休取得することが厄介なことと思われてしまうかもしれませんし、経営者が育休に関する知識を持ち合わせていないことも予想されます。

女性のみ80%が育休取得する現在の日本社会。
2000人の大企業、女性だけで毎年40人の育休。
これまでの様々な経緯を経て、現在の労働環境が築かれていることだろうと思います。
大企業で、未だに出産退職せざるを得ない企業は、かなり少ないことでしょう。
一方、200人や20人の中小企業。
もしかすると、結婚したら退職という慣例が未だに残っている企業もあるかもしれません。
結婚で退職しなくても、出産ならば退職という慣例。
毎年1人、もしくは12年に1人の女性育休では、その慣例を変えらないままの企業も多いことでしょう。

出産退職をアシストしている現在の日本社会

200人や20人の中小企業でも、1年間の男性育休が広まったら・・・。
毎年8人、もしくは毎年約1人、育休を取得する人がいるようになるのです。
男性は、出産退職できません。
女性だけが、出産退職を続けることになるのでしょうか。
いや、出産退職の慣例がなくなる気がします。

男性が育休に入るのと同時に、育休復帰した女性がその業務を引き継げばいいのです。
そして、1年後には、また別の男性が育休に入り、育休復帰した男性が引き継ぐ。
実際には、ここまで単純な話ではないでしょうが、育休により不足する人材を、育休により確保することができるのです。

このように育休で不足する人材を育休により確保できるのならば、企業は確保している人材の給与を支払わなくてもいいですし、社会保険に関わる負担もせずに済みます。
200人の従業員ですべての業務を回せる企業が、育休を見越して208人の従業員を雇っていたとしても、企業の負担は、それほど大きくならないのです。

逆に見れば、女性だけが育休を取得する現在の日本社会は、女性の出産退職をアシストしているとみなすこともできます。

出産を迎えるある女性は、育休を取って1年後に復職したいと思っていた。
でも、育休により不足する人材を確保できないと会社から言われた。
1年間だけ別の人を雇うこともできないし、別の人を雇うためには正社員の条件でないと採用は難しいとも言われた。
もちろん、社内の男性は誰も育休を取らない。
育休取って復職できるかどうかは、女性にしか関係しない問題。
出産を迎える女性は、やっぱり退職せざるを得ない。

未だに「うちには育休制度がない」と説明して、出産退職をアシストしている企業もあることでしょう。

今後、男女関係なく長期間の育休を取得するようになれば、企業は男性育休で不足する人材も確保しなければならなくなります。
育休で不足する人材を、育休により確保できるようになれば、出産を機に退職せざるを得ない女性が、退職しなくても済むようになるかもしれません。


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