【公務員退職】30代で警察官を辞めてわかったこと5選
元警察官の藤田悠希と申します。noteで6本目の記事となります。
今回は警察官を退職してわかったことについて書いていきたいと思います。
実は「なぜ警察官を辞めたんですか?」という質問をよく頂きます。Twitterやブログにおいて、警察官退職について少し触れたことはありますが、記事にするのは初めてです。
あくまでも今回は「警察官を退職してわかったこと」を紹介していくので、警察官を退職した理由を詳しく書くわけではありませんが…。
警察官を辞めてからまだ月日はそんなに経っていませんが、振り返ってみると遠い昔のように感じます。
率直な感想としては「よくあんな大変な仕事を頑張ってやってたなぁ」ということです。
忙しい日は食事もろくにとれず、昼ご飯を食べるのが夕方になることも珍しくありませんでした。
さらに夜中に事件が発生したときはそのままぶっ通しで朝まで事件処理に明け暮れる日も。
最初に言っておきますが、警察官を退職して後悔していることはなに1つありません。
警察官としてしっかり職務をやり切ったからこそ冷静に振り返ることができると思っています。
警察官を退職した理由についてはまた別の記事で紹介するとして、今回は30代で公務員を辞めた私のその後の人生を書いていきます。
警察官を目指している人や警察官退職を考えている方々の参考になれば幸いです。(最近では現役警察官の方からもご相談を頂くようになりました)
なお、完全に主観で書いていますので、警察官を退職した一人の意見だと思ってご覧頂ければと思います。
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年収が下がった
まず1つ目は「警察官を退職して年収が下がった」ということです。
いきなり重苦しい話になりますが、これがリアルな現実であり、数字にすると年収は30%以上は下がったと思います。
いかんせん警察官の給料は高い水準にあり、公務員の中でもいい給料がもらえる仕事なので、よっぽどの大企業に転職しない限り年収は下がるものでしょう。
一般企業に転職したので、恵まれた給料をもらっているわけでもなく、どちらかと言えば安い給料で好きな仕事をしているという形です。
さらに独身ならまだしも私の場合は妻子がいる状態で警察官を退職したので、年収が30%下がって生活は少し苦しくなりました。
もともと高い買い物や派手な遊びをする家族ではなかったので、大きなギャップを感じているわけではありませんが、基本は節約という生活になっています。
警察官を退職するならこの辺は覚悟しておかなければいけませんね。
では、年収が下がって幸福度はどうなったのか?仕事に対する考えはどうなったのか?
ずばり年収は下がったけど幸福度は上がりましたし、仕事も今のところは楽しいと思っています。
好きな仕事に挑戦するということを大前提で警察官を退職したので、後悔していることも正直言ってないです。
「人生で一度くらいは好きなことを仕事にしたい」と思うようになり、その勢いで警察官を退職した面もありますが、このときの判断が間違っているとも思っていません。
どちらかと言えば「やりたいことがあるのに挑戦しない」ということの方が100倍後悔すると思っていたので、年収は下がったけど挑戦してよかったと考えています。
まだまだこの先どうなるかわかりませんが、まぁお金ならなんとかなると勝手に思っています。
妻や子供には迷惑かけないように最悪どこかでアルバイトをすればいいってくらいの気持ちです。
30歳になったとき、とにかく後悔がない人生を送りたいと思うようになりました。
警察官の仕事を何が何でも辞めたいという状況ではなかったですが、あのままやりたいことを我慢する人生は不幸になる気がしました。
だからこそ新しい仕事でも結果を出したいと思うし、それだけモチベーションも高く働いています。
あとはいかに警察官の給料が恵まれていたかということもしみじみ感じています。
福利厚生も素晴らしかったし、やっぱり公務員の安定感はすごいと思いますね。
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生活リズムが安定した
2つ目は「警察官を退職して生活リズムが安定した」ということです。
実はこれが一番ありがたみを感じていることかもしれません。
警察官時代は3交代勤務だったので、1回の勤務が24時間でした。
24時間勤務というとかなりハードな仕事に聞こえますが、正直に言えば”24時間で終わるなら”まだいい方です。
そう、警察官の仕事は24時間で終わらない場合があり、24時間+残業となることもあるので、これが身体への大きな負担となります。
さらに忙しい日は24時間勤務で全然休憩がとれないときがありますし、仮眠時間もとれないことがあります。
24時間で一睡もできないというのは本当にきついです。
また、勤務の日は風呂に入ることができませんので、夏場は特に辛いです。
ちなみに最も身体への負担を感じたのは仮眠中の出動です。
朝方の4時に仮眠をとっていたとしても、大きな事件が入れば身体にムチを入れてすぐに出動しなければいけません。
朝から働いて疲れている中、ようやく仮眠がとれて深い眠りについている最中に起こされるのは本当に地獄でした。
肉体的にも精神的にも限界のような状態で、急いで着替えて現場に向かうのは心の底からキツいと思いましたね。
あんな経験は二度としたくありません…。
また、夜中の2時や3時にもパトカーを運転していたので、いつ事故を起こしても不思議ではなかったと思います。
運転していても睡魔に襲われますし、危うく居眠り運転で事故を起こしそうになったことは何度かあります。
実際、居眠り運転が原因で勤務中に事故を起こす警察官はそれなりの数がいました。
普段、深夜に勤務していて身体が慣れているはずなのですが、それだけ過酷な仕事であるということでしょう。
24時間勤務は30歳を超えると段々きつくなってきますし、常に寝不足を感じるようになっていました。
この過酷な勤務は警察官退職を決めた1つの理由でもあります。
では、現在はどうなのか。
残業はあるものの、毎日家に帰って風呂に入ることができるし、毎日家の布団で寝ることができます。
とにかく生活リズムが安定し、メリハリのある生活ができるようになりました。
また、仕事中でも好きな時間に休憩ができるし、お腹が空けば簡単になにかを食べることもできます。
もちろん仕事のストレスはありますが、勤務する環境としてはまったく悪くありません。
結果、健康的な生活を送ることができ、間違いなく心も身体も健康になったと思います。
警察官の仕事をあと30年続けるっていうのは想像できなかったし、実際に続けていたらどこかで体調を崩していたかもしれません。
警察官時代の晩年は生活リズムの乱れから不眠症に近い症状もあったので、深夜勤務というのが身体に合っていなかったと思います。
とてもタフになった
3つ目は「警察官を退職してとてもタフになった」ということです。
警察官時代に過酷な勤務やハードな24時間勤務を経験してきたからこそ、今の生活では仕事に対して熱中することができています。
長時間の勤務をしても「家に帰れる」という安心感があり、残業があっても「風呂に入って布団で寝られる」という希望があるので、大変な勤務をしてもまったく疲れません。
毎日、家に帰ることができるだけでこんなにも違うのかということを強く実感しています。
また、仕事中でも少し休憩をとろうと思えば自分のタイミングで休憩がとれますし、24時間働くなんてこともありません。
ですので、今は多少キツい仕事があっても「警察官の仕事に比べれば全然楽」と思うことができます。
真夏の路上で交通整理、暴言を吐いてくる者への対応、暴れる犯人の制圧、24時間で一睡もできない過酷な勤務…
今の仕事ではこれほど大変なことはないので、苦しい場面でもしっかり乗り越えることができています。
そんな私を見ていると周りの人たちから「疲れない?大丈夫?」などと声をかけられますが、自分としては余裕で大丈夫です。
警察官を経験してタフな社会人になったことは間違いありません。
仕事に対する体力というのは警察官を経験してすごく養われたことですし、社会人としてすごく成長できた部分だと思います。
警察官を退職して、警察官の経験によってこんな恩恵があるなんてことは結構意外でした。
警察官になったことは1つの人生経験として大きなターニングポイントになったことは確実です。
今後も色々な苦労はするでしょうが、当時のことを思い出せば頑張っていけると思います。
人生キャリアの中で警察官を経験するのは結構いいことなんじゃないかと思っているほどです。
やはり、食欲と睡眠欲の自由が奪われる仕事っていうのはキツいと思いました。
それと勤務を共にする上司とは24時間一緒ですし、常にその上司の動きに合わせなければいけないストレスも少なからずありましたからね。
トイレに行くときですら「トイレに行ってきます」と報告が必要なくらいでした。
ただし、私は地域課でパトカーに乗っていたので24時間の3交代勤務でしたが、他の部署で働いていたならまた考えも違っていたかもしれません。
いかんせんパトカー以外に興味がなかったので、当時は部署を変えるという考えもなかったんですよね。
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自分の考えで仕事ができるようになった
4つ目は「警察官を退職して自分の考えで仕事ができるようになった」ということです。
警察官は階級社会であり、厳格な上下関係のもとで働いていかなければいけません。
公安職なのでこれが当たり前なのですが、ときには理不尽を受け入れていかなければいけない場面もあります。
さらに勤務中は絶対に上司の指示に従わなければいけないという制限があります。
これは地方公務員法で定められていることなので、上司の指示に背くことは法律違反に該当してしまうほどです。
つまり、警察官の仕事というのは自分の考えで仕事ができる場面が少なく、上司の指示に従うことが基本となります。
たとえ上司と考えが違っていたとしてもそれに対して意見をすることは難しいですし、なにより部下に決定権はありません。
そうなると、自分で色々考えても結局は上司の考え1つで変わってしまうので、どうしても面白味に欠ける部分が出てきてしまうのです。
新人や若手ならそれでいいかもしれませんが、仕事に慣れてくると「こういう風にやってみたい」「こうやれば業務の改善に繋がるんじゃないか」という考えが出てきますよね。
それがなに1つ発信できない、意見できないというのは少し寂しいし、やりがいを感じにくい部分でもありました。
じゃあ出世すればよかったんじゃ?と思われると思いますが、確かにそうですね。
順調に昇任していれば40歳前後で警部という立場にはなれたかもしれません。
それでも超優秀な人を除けば、順調にいったとしてもそこまでいくのに約15年くらいはかかってしまいます。
しかも警部になったとしてもその上には署長や副署長の階級である警視や警視正の上司がいます。
上には上がいる世界ですし、上司の考えで業務がコロコロ変わっていく世界でもあります。
今は民間企業で働いており、もちろん今の職場でも上司はいます。
しかし、絶対に意見ができないというほどの上下関係ではないですし、会議では誰もが自由に発言をすることができます。
業務改善に対する提案なども簡単に発信することができるので、そういう部分でやりがいを感じることもできます。
なにより利益を出すために主体性が求められているので、とにかく自分で考えてどんどん行動をしていかなければいけません。
逆に言えば警察官時代のように細かい指示を受けることがなく、ほとんどのことは自分一人で考えて仕事をしています。
自由な分、責任は重いですが、これもまた大きなやりがいだと思っています。
自分の考えで行動する→成功or失敗をして学ぶ→次に生かす→経験を生かしてまた行動する…という作業工程がすごく楽しいですね。
警察官は上司の指示に従うことが多いので、指示を受けて仕事がしたいという人には向いている職業だと思います。
上司の指示に100%従うことが警察組織では求められますし、それが正しい働き方です。
なにも考えることができなくても、上司の指示を守っていれば安定は手に入りますからね。
しかし、自分にはどうしてもそんな環境が合わず、違う環境を求めるようになりました。
仕事をしていれば「あれをやりたい」「これをやりたい」と思うのが当たり前でしょうが、警察官のままでは難しいということも年数を重ねて分かっていきました。
いずれにしても警察官は退職する運命だったのかもしれません。
なんでも挑戦できるようになった
5つ目は「警察官を退職してなんでも挑戦できるようになった」ということです。
公務員は副業が禁止であり、特に警察官はプライベートなことまで上司に報告しなければいけないので、色々と制限がありました。
もちろんブログやnoteなんていうのは現役警察官ならなかなかできないことですし、ネットでビジネスをやろうと思っても難しいです。
警察官を退職して副業禁止の制限がなくなったので、今は本当に色々なことに挑戦しています。
もちろんブログはメインコンテンツの1つですが、その他にもTwitterやYouTubeが堂々とできるのも民間人だからですし、今後は本の出版も視野に入れています。
これは警察官時代から考えていたことであり、いつかは実行に移したいと考えていたことです。
こういった目標を持てるのも警察官を退職したからこそだと思いますし、実際に色々なことに挑戦して人生を楽しめています。
そもそも今はやりたい仕事に挑戦しているので、そちらの面でも満足はできています。
定年まで警察官を続けていれば大きな収入は得られたと思いますが、本当にやりたいことは我慢したまま定年を迎えることになっていたと考えます。
また、警察官時代から投資が好きになり、株取引もやるようになりました。
それでも警察官が投資をやる、株をやるというのはなぜか良く思われないので、現役時代は公にすることはなかったです。
なぜか株をやっている警察官=お金に困っている、不祥事を起こすという目で見られがちなので、上司には報告できませんでした。
今では周りに株をやっていることもオープンにしていますし、その他でも禁止されていることがないので、すごく自由になった気分です。
人生に解放感を感じるというのは警察官を退職するとより実感することができました。
ただ、当時はなにがなんでも警察官を退職したかったわけではないです。
どこか息苦しさを感じていたのですが、「どうしようかなぁ」というくらいでした。
この息苦しさは仕事でもプライベートでも感じていたことであるので、日に日に深く考えるようになっていきました。
決断するときは迷いなく決断できましたが、そこに至るまでは時間がかかりました。
今振り返ると、性格的にやはりいずれ警察官を退職するという流れになっていたんでしょうね…(笑)
ちなみに警察官を退職するときにまったく迷いがなかったわけではありません。
警察官退職を考えたときはちょうど娘が生まれていましたし、家も買ったばかりでした。
こんな状況で一気に年収が下がることは生活そのものが危うくなるので、家族にも迷惑をかけるのではないかと葛藤がありました。
自分の中で様々なことを考えましたが、「やりたいことがあるのにこのままの人生でいいのか?」という考えに至り、警察官退職を決断できました。
このときの決断を後悔しないように今後もできる限りのことに挑戦していきたいと思っています。
まとめ
今回は「警察官を退職してわかったこと」を5つ紹介しました。
繰り返しになりますが、警察官を退職して後悔していることはありません。
これは胸を張って言えます。
警察官として数々の事件を検挙してきましたし、悪い人間もたくさん捕まえてきました。
ある意味パトカーに乗る警察官としては十分役目を果たせたと思うので、警察官に未練もありません。
自分の中では警察官をやり切りました。
決して警察官を嫌いになったわけではないですし、その後の人生を考えて決断したことです。
今は別の仕事をして楽しく過ごしていますし、警察官を退職して新しい道を歩んでよかったと思っています。
正直に言って、年収が下がったことは生活を直撃していますが、お金ならなんとかなると考えていますね。
最悪、生活に行き詰ったらどこかでアルバイトをすればいいと思っていますし、家族にさえ迷惑をかけなければいいと思っています。
それよりも「我慢をしながら仕事をする人生」の方が絶対に後悔すると思ったので、警察官退職の決断が間違っていなかったことを証明できるように頑張っていきます。
今は将来が楽しみなので、それもモチベーションになっています。
警察官を退職してからはデメリットよりもメリットの方を感じているのが正直なところですね。
今回は警察官を退職してからのことを詳しく紹介しましたが、あくまで私の意見です。
必ずみんながそう思っているわけではないですし、私の意見が絶対でもありません。
警察官志望者や警察官退職を考えている方に少しでも参考になれば幸いです。
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