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近代建築まとめのまとめ

いままでTwitterで作成したものが散逸しかけているので、こちらにまとめます。

現存する戦前の県庁舎

戦前の都道府県庁舎は意外と多く残っています。都道府県のランドマークとして、その多くが文化財に指定・登録されています。

近年は、戦後の都道府県庁舎も評価され始め、2019年には島根県庁舎(1959年)が登録有形文化財に登録されました。

現存する戦前の市庁舎

戦前におよそ200あった市のうち、現存するのはわずかに13ヶ所のみです。都道府県庁舎に比べると圧倒的に少ないと言えます。近年まで残っていた一宮市庁舎や川崎市庁舎も市庁舎の現地建て替えのため解体されました。川崎市庁舎については、ファサードのみ保存されるようです。

また、大牟田市庁舎についても現在保存か解体かで市長と議会の間で議論が続けられています。

現存する旧制高等学校の建造物

旧制高校については新制大学の本流ではなかったため、その存在は「バンカラ」のキーワードでのみ残っていることが多い印象です。校地についても大学のキャンパスとしては手狭なことから公園や新制高校など多くが別の用途に転用されています。「高等中学校」時代に設立された五校は比較的当時の建物が残っています。

現存する戦前の日銀店舗

日銀は1938年時点で本店と17の支店がありました。その中で8件も残っているのは比較的よく残っている方かと想います。名古屋支店(1906年)や西部支店(のち門司支店/1898年)は戦災で焼失、それ以外の支店も木造であったものを中心に後年建て替えが行われました。

近代の重要文化財と都道府県指定文化財

重要文化財のうち近代のものは362件あります。内訳は住宅で110件を始め、産業・交通・土木で78件、学校で43件などです。近代化産業遺産総合調査や、近代和風建築総合調査のお陰で近代建築が評価され、この20~30年の間にその数は増え続けています。

都道府県指定文化財については、都道府県によって温度感に差があり、近代建築の指定が1件もないところもあれば、10件以上あるところもあります。20年近く文化財(建造物)の新規指定がない県もあるので、都道府県の文化行政の差ということでしょうか。

近代化産業遺産・土木学会選奨土木遺産

歴史的土木構造物の保存を目的に、土木学会が毎年推薦を集めて選奨している土木学会選奨土木遺産があります。橋やトンネル、軍事遺産など土木に関するものであれば全てその対象です。19年前から行われ、現在ではおよそ400件が土木遺産となっています。一部江戸時代のものや、海外のものもあります。

近代化産業遺産群は2007年度・2008年度に経済産業省が『歴史的価値をより顕在化させ、地域活性化の有益な「種」として、地域の活性化に役立てることを目的』に認定したものです。全部で66のストーリーからなり、産業別・地域別に構成資産がまとめられています。

中国東北3省の近代建築

満州国時代の近代建築を知りたくて作りました。東北3省というタイトルですが、大連・旅順・瀋陽(奉天)・長春(新京)・吉林・ハルビンの6都市の中心部、公共交通機関で行けそうな範囲だけに絞っています。

この地図には載せてないですが第二次世界大戦の戦跡なども文化財指定されていて、日本人ももう少し目を向けるべきだと感じます。

日本語ページがほとんどないので中国語の記事探してたら、いつの間にか中国語で書いてあることが分かるように。中国の文化行政制度についても別稿したいですね。

BCS賞・DOCOMOMO選定・日本建築学会賞(作品)・村野藤吾賞

近代建築の範疇から外れてしまいますが、由緒ある建築賞を中心にまとめています。戦後建築の歴史的・文化的はまだまだ途上ではありますが、こういった建築賞を受賞した建築から評価されていくのではないかと思います。1960年代の建物は解体されてしまったものも多いのが特徴です。

国宝・重伝建・五重塔・現存天守

おまけです。近代建築ではありませんが、まとまった地図が欲しかったので作りました。

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