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【モノなし生活16〜23日目】すこぶる調子がいいわたし、ミニマリストの歌で泣く


こちらはシンプルライフチャレンジの記事4本目です。

その1「所持品0から100日間暮らしてみることにした

その2「【モノなし生活1〜6日目】 ものがない自分はからっぽだと思った、けれど

その3「【モノなし生活7〜15日目】キッチンに到達したが、サバ味噌の記憶で白米を食べた


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【16日目】PC電源

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2020年春以降、外で人と会う仕事や出張がほぼなくなって、家で原稿を書いたり企画を考えたりする時間が増えた。完全にPCが相棒。PCの電源は、ある意味で仕事や創作の電源のようなものかもしれない。スマホだったりデジタルなものとは少し距離を置いても、創作意欲の電源はONでいたい。

だけど少し前まで、情熱の限界を感じていた。

これをやってみよう!と、あれこれいらんことを思いついたり、文章その他なにかの手段で発信したりするのが好きだ、と思っていたのに、その行為に息切れしていた。頭もうまく回らなかった。あたりまえの単語が思い出せないし、友人のボケにもすぐ反応できない。おれはもうだめだ。お酒を飲んで脳細胞が死んだのかな?と思ったり、これが歳をとるということ……?これからずっとこう……?と諦めかけたりもした。

でもいま!そんな不安が全部ない!!!調子がいい!!!

人間にはある程度の浮き沈みがあるのが自然なことだろうし、たまたまそういうモードになっただけ、かもしれない。けれど、このシンプルライフチャレンジはいまの調子の良さに大いに関係がある気がする。

やりたいと思ってはじめた仕事でもそのプレッシャーやだらしのない性格から、手をつける前に「面倒だ……」と思ってしまうことはあった。でもいまは、そのもやっとした気持ちがほとんどない。やらなきゃいけないことの前でも「さあやりますか!」と快晴の胸でいられる。なんじゃこのすこやかさは。

それが仕事の質にしっかりと結びついているとは言えないけれど、頭が回らない、と感じることはもうない。ものがなくて雑念が減ったのか、すごく集中できる。

でもまだ20日も経っていない。この生活をもっと続けていけば、いまのすこやかさが何によるものかちゃんとわかりそう。ただ秋風が気持ちいいから元気なだけの可能性もある。


【17日目】CCクリーム

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化粧品をまずひとつ手に入れるなら全体的なくすみを隠してくれるこのCCクリームしかない。

この生活をはじめる直前まで、少しはメイクにこだわりがあった。パウダーやハイライトやアイライン、いろいろを施す前の自分の顔はひどく不安定にみえた。でもなんだかいまはちょっと顔が変わった気がしている。自分にだけわかる違いかもしれないけれど。精神的な調子の良さが顔にも出ているのかなぁ。『クィア・アイ』でファブ5に出会ったあとの人ような。

だからと言って、メイク道具なんていらなかったんだとか、ノーメイクのほうがよりよいものだとか、もちろんそんな風には思わない。メイクはいいものだ。リップひとつで人生が変わるぐらいの力がある。ひたすら不安を隠すだけのメイクじゃなくて、少し好きになったいまの顔に前向きなメイクをしてみたい。時計の針をすすめてチークとアイブロウペンシルとグロス一気に欲しい(急によくばり)。


【18日目】平皿

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もう、おかずの味を思い出しながら時間差で白米を食べなくてもいい。平皿ならワンプレートに盛り付けられる。まだ調味料がないのでベーコンの油気と塩気に頼る。

これは5年くらい前に大切な友人からもらった一番気に入ってるお皿。1日1つしか選べないから好きじゃないものを生活に招き入れる余地がない。一番気に入っているものを手にとるこの生活、毎日うれしい。

いままで自分の所有物ひとつひとつに対して「これはあのときこんな気持ちで手に入れたもので……いいところは……」という愛着を抱けていただろうか。8つのおたますべてにそんな気持ちを抱けていたわけがない。大切なものほど壊さないよう、汚れないように戸棚の奥にしまいこみ、どうなってもいい好き度60点くらいのアイテムを雑に扱って生きていたように思う。


【19日目】掃除機

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以前なにかの雑誌のインタビューで、お片付けの専門家が「床に物を置くくらいなら死んだほうがマシ」と言っているのを目にしたことがある。大きい見出しになっていた。「わたしもう死んでるじゃん」と思った。

でもいまならすこしわかる(死んだほうがマシ、の部分はわからない)。なにもない部屋の掃除は1分で終わる。ずぼらなわたしはこれまで床に物を置きまくっていたが、ずぼらなわたしだからこそ何も置かないほうが身のためだったのだ。ほこり、汚れは隙間にたまる。マメで掃除が得意な人なら複雑な地形にも対応できるだろう。わたしはわたしを信じられないので、今後も掃除しやすい床を保つが吉だ。

これまで使っていたダイソンが寿命を迎えて、今年Sharkの充電式ハンディクリーナーを購入したのだけど、かなり気に入っている。めちゃくちゃコンパクトなところと、ボタンを押し続けなくても吸引してくれるところがすごくいい。あまりに軽いので手に取る回数が増えた。


【20日目】イヤホン

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秋の風があまりに心地よくて、いますぐこれを吸い込みながらイヤホンで音楽を聴かないといけない、となった。それはほかのどんな生活必需品より必需な欲求だった。

これまで音楽は自分にとって欠かせないものだったけれど、この生活をはじめてからしっかり音楽を聴くのは久々だった。AirPods Proはノイズキャンセリング効果で音への没入感がすごい。久しぶりだからより響く、というのもありそうだけど、特にある曲を聴いて心が震えた。藤井風さんの『帰ろう』だ。

怖くはない 失うものなどない 最初から何も持ってない

死生観をテーマにしたこの曲だが、歌詞の中に何度も持つこと、手放すことについてのフレーズが登場する。

これまでものに囲まれて暮らしてきたわたしにとって、持たない暮らしへの挑戦はかなり勇気のいることだった。しかしイヤホンからふと「最初から何も持ってない」と聴こえてきて、はっとするところがあった。

ください くださいばっかで 何もあげられなかったね
ああ何も持たずに帰ろう 与えられるものこそ 与えられたもの

こうした言葉たちがシンプルライフチャレンジに妙に重なり、胸に刺さりまくった。何もない部屋で涙を流しながら聴いた。

これミニマリストの歌だったのか(ちがう)

去り際の時に 何が持っていけるの 一つ一つ荷物手放そう

少なくとも60点くらいのものに囲まれて死ぬのはいやだなあ。

あれも欲しいこれも欲しいと思いながら何も見えていない日々じゃなくて、なにもなくても大丈夫、と思えるところからスタートできたらどんなにいいだろう。プレーンのわたしと向き合ってみたい。



【21日目】食器用洗剤

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ステンレスのディスペンサー、シンクになじんでお気に入り。

いくら調味料を使わずに料理しているといっても、洗剤なしに鍋や皿を洗うのは至難の技だった。水だと汚れが落ちにくいから洗う前に拭き取る習慣がついたんだけど、そのほうがほんの少しエコだから続けたい。

爪を切った。7日目に爪切りを手に入れて切ったから、14日ぶりということになる。これまでいちいち数えたことがなかったから「爪ってのびるもん」と漠然と理解していたけれど、いまさら「爪って本当にのびる」と初めて知った気分になった。生きてるね。


【22日目】化粧水

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本当は1日目からほしいやつ。

たのむ!20日ぶんしみこんでくれ!!


【23日目】防寒レギンス

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寒すぎる。

秋の風が気持ちいい期間って1週間もなかった。もう寒すぎ。秋って幻だよ、秋ってUMAだよ。好きな季節聞いて「秋」って答える人に会うと、ずるいぞ、秋はみんな好きに決まってるんだから、って思う。

去年の冬に出会った「もちはだ」というあったかインナー。しっかりした裏起毛で釣り人やバイカーにも人気らしく、わたしも北海道ロケで活用させてもらっている。冬って着膨れしがちだけどこのインナーを着ることで本当に着るべき枚数が減った。きっと数が限られるこの生活でもキーとなるアイテムだと思っている。早くトップスも取り出したい。


と……こんな感じで、雨が降ったら気が滅入ったりもするけどおおむねすこやかに過ごしている。生きてきていちばん、「いま」に集中できている気がする。これまではグっと楽しい瞬間だけを目指して、それまでの時間はやり過ごしてるみたいな、大げさに言ったらそんな生き方だった。最近は、朝の光と昼の光に別の喜びを感じたりする。ハッピー。


続く


【毎日19:00に選んだアイテムを投稿します】→藤岡みなみTwitter

時差がすごいけどやっと動画もアップしました。


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