ここは何処？私は誰？ 第三話

この世に、サヨナラを言うとき。

そう、私は決めている。

「あ～、もう、最後だな。」と自らの命が尽きる直前に到達したとき、私は、

「ありがとう。サヨナラ。」

と、この世に別れを告げることにしている。

もしかすると、その瞬間は突然来るかも知れない。そう、考えると、準備と心構えが必要だと、思ったからだ。

お世話になった方々、私の身近な方々全員に、「ありがとう。サヨナラ。」とお伝えするのは、とても難しいことなのかもしれない。だから、せめて、この世に対して、きちんと、「感謝」を伝えたい。

短い言葉で、想いを込めて。

この世の最後はどんなんだろう。亡くなる方が、最後に笑っていた！ということを聞いたことがあった。

最後に見る景色や情景は、きっと印象深い経験がその瞬間に、思い出されて来るのだと思う。

今、生きているうちに、いろんな情景を記憶に納めたい。

その情景を思い浮かべて、最後は、ニコッ！と笑って、そしてこの世に感謝をお伝えする。

「命尽きる前に、あの場所の景色をもう一度見たい」

そう、思うときが来るかも知れない。私は、何ヵ所か、そう思う場所がある。

これまで見てきた情景と、その場所に足を運び、その場所の情景を甦らせ、風が、香りが、光が、音が、すべて共鳴し、私の体に染み込む。

もしかすると、それに向けての行動が自然に訪れた時、私の命が尽きる時が、迫っているのかもしれない。

今日も、私はいろんな情景を目に焼き付け、心に刻む。

この世にサヨナラを伝える、その瞬間まで。