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Vol.3三流ディレクターが一流のVTRに感銘!サッカーW杯の舞台裏Netflix「キャプテンズ・オブ・ザ・ワールド」を考察

     

2022年にカタールで開催されたサッカーW杯の舞台裏に密着したドキュメンタリーだ。日本がベスト16でクロアチアに敗れ、
メッシ率いるアルゼンチンが優勝!・・・
今となっては随分前の出来事だが・・・公開はまさかの昨年末。

お笑い界に激震が走った年末にひっそりと公開された

海外製作のコンテンツは、そもそも日本とは映像のつなぎも、VTRの構造も
かなり違う。もはや日本語と英語で文法が違うように・・・
映像の文法もまるで違う

ナレーションが入らず、ストリーテーラーとなる語り手も配置してない
基本選手と各国のジャーナリスト、監督、サッカー界のレジェンドたちの
インタビューを複雑に絡め展開されていく

しかもインタビューの順番は一見するとグチャグチャだ
日本のテレビ番組だと、視聴者にわかりやすくさせるため、
基本取材先の登場人物はひとりが原則だ 

広報なら広報ひとり!
開発者なら開発者のみ!社長密着なら基本 社長のみだ

大概、何かをしゃべる前にナレーションで
話を聞いたのは「開発にたずさわった・・・@@さん」と
丁寧にナレーションを入れ、そこに肩書きテロップと名前を出す

だけど、このドキュメンタリーは
クリスティアーノ・ロナウドがどこかの国のニュースショーに出演して
話をしていると、
途中、ロナウドのことをよく知るチームメイトなどの証言が挟まり

母国 ポルトガルの記者が偉業を讃えるインタビューに答え

どこかの国の番組で、ロナウドを馬鹿にしているタレントかジャーナリストの声が挟まり

再度、どこかの国のニュースショーに出演して
話をしている場面に戻るという、わずか3、4分の間にインタビュー証言が6、7人登場する目まぐるしさだ

広報が話を始め、唐突に開発者が出てきて見解をのべ、
さらに社長がお気持ちを表明して、
商品をバカにする消費者のリアルなインタビューが挟み込まれ、
再び広報にインタビューが戻るという

日本のテレビ業界の編集文法から逸脱した編集だ
テレビ局で試写をしたら総合演出から大直しをくらい、
試写後 廊下でプロデューサーから 「編集が雑だったけど大丈夫?」と
心配されてしまうだろう

だけど・・・インタビューの発言だけを聞いてると上手くつながっているのがわかる

サッカー界のスーパースター「ポルトガルのクリスティアーノ・ロナウド」の
偉業を讃える話から入り、30代半ばというサッカー選手としては
引退してもおかしくない年齢のため 活躍できないと叩かれ・・・

スタメンからも外れ、それでもワールドカップ優勝に賭けるロナウド像が
本人だけでなく、
様々な立場の人がインタビューに答えるだけで描かれている

ナレーションを挟み込み、誰にでもわかるような形にしなくてもよかったんだと気付かされる

「情熱大陸」や「プロフェッショナル」では決して用いられない手法は他にもふんだんに用いられ・・・

イングランド対フランスで、1対2でイングランドがフランスに追いつこうかという場面で、イングランドのPK.
エースストライカー・ケインがPKを外した直後、
ケインの落胆する表情だけでなく

唐突に 過去 敗退の憂き目にあい悔しがるイングランド選手の姿を2〜3秒あるかないかの尺でフラッシュバック

一瞬何事かと思って見返すと・・・映っていたのは2000年代半ばから
2010年代まで活躍したフランク・ランパードなどの
イングランドサッカーを彩ったレジェンドの姿・・・

そして、現在の時間軸に戻ると、客席で顔を覆うベッカムの姿

名選手をそろえながら、60年以上勝てないイングランドの悲哀を
表すために入れ込んだサブリミナルな編集なのかと・・・納得したが

日本に置き換えると南野がPkを外した後、南アフリカ大会でPKを外した駒野さんの姿や、ドイツW杯でグラウンドに横たわる中田英寿さんの姿を入れ、最後ドーハの悲劇で泣き崩れるゴン中山さんの過去映像をフラッシュとして入れ、

解説席で呆然とする本田圭佑さんを挟みこむ編集という事かと思うと・・・

もはやそのつなぎにして、試写に持っていくのはかなり勇気がいるわ・・・と思い知らされた

正直見ても、現在の日本のテレビ業界で生かせる事は・・・
ないような気もしたが
ただのコンテンツフリークなので、気になる物はチェックしないと
気がすまない

ちなみに・・・日本の番組の編集のつなぎやVTR構造に少し飽きた人には
オススメのドキュメント番組です

個人的なおすすめは クロアチアVS日本戦

宿舎??でPKストッパーとなったクロアチアのGKに
モドリッチが愛あるダメ出しをして、日本戦に挑む様子が描かれているので

クロアチア視点の日本戦の裏側も興味深いです。
他にも気になるシーン結構あるので、また 書きます





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