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西荻窪という美味しい街



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あの日もこんな雨の日だった___

教室のカーテンに隠れながら
「何でもない。大丈夫」
そう言った君の声は、今にも雨音に溶けてなくなってしまいそうだった。

あの時君に何か言葉をかけていられたなら、結末は変わっていたのかもしれない。

雨の降りしきる西荻窪はあの頃と変わらない。
まるで過去に囚われたままの自分を責められているようで、僕は傘も差さずその場から遠ざかることしかできなかった。


3月某日、そんな妄想に浸りながら私フジノシンは西荻窪にやってきました。
理由はもちろんケーキを食べるためです。

Twitterでどこにケーキを食べに行こうかアンケートを取ったんですが、その結果がこれ

ホソコシに全然票が入ってない!
これ完全に名前で負けてるなと。
「ル・マグノリア」
「グリーンビーントゥーバー」
といういかにもキラキラした名前の中に
「ホソコシ」
は分が悪かったなと。

苗字オンリーは流石に不利だったんだなと。

これが
「チョウソカベ」とか「テシガワラ」とか「ジュウモンジ」
とかだったら話は変わったのかもしれません。
せめて「パティスリー・ホソコシ」にすべきだったんじゃないかと反省しました。

しかしそれにしても、あまりに差が開きすぎている。
これはホソコシの良さをみんなが知らないからだ!俺が伝えなくちゃ!と思い至り、西荻窪の地に降臨することになったのであります。

ざっとホソコシがどういうお店か説明しておきましょう。

シェフは細越誠さん。
フジウで修行後に渡仏。フランスではMOFのもとで腕を磨き、アルパジョンコンクールのショコラ部門で優勝もされています。
芝浦の「ポールサンセール」というお店のシェフパティシエを勤めた後にホソコシを開業といった感じです。

ルクサルドとかにも出てたりして、まぁ簡単に言うとすげぇパティシエなんですね。
アルパジョンもMOFもルクサルドも知らねぇよって方はすげぇパティシエだってことだけご理解ください。

さてそんなホソコシへの道順を紹介しましょう。
まずは西荻窪駅西口を正面の通りをまっすぐ進みましょう。

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ここを進むと白い象が現れます。

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この宙吊りの象があなたに問いかけてきます。

「目の前に崖から落ちそうな母親と恋人がいる。どちらか1人しか助けられない。さぁ、貴様はどちらを助ける?」

先に進むためにはこの問いに答えるしかありません。

母親を助ける。恋人はまた作ればいいが母親は世界に1人しかいないから。

そう答えたあなたは残念ながらホソコシには辿り着けません。
恋人を選んだあなたも同様に辿り着けません。

答えは沈黙です。

宙吊りの象は無視して先に進みましょう。

この通りを抜けて歩いていると右手に野生の和菓子屋さんが現れます。

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有名なところらしく、苺大福が美味しいので買っていきましょう。
ちなみにここで苺大福を買わないとホソコシには辿り着けません。

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(左が普通の苺大福で、右がスカイベリーってイチゴを使った苺大福だった気がする。たぶん。うまピヨ)

更に3分ほど進んでいくと到着!

そう!ここが!





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みんな大好き麺尊RAGEだ!!!

6年連続でミシュランのビブグルマンに選ばれている名店!!!
オススメは特製軍鶏そばだ!!!!

ちなみにフジノシンはビブグルマンっていうのがなんなのかよくわかってないぞ!!!!!

まぁとにかく美味しいので西荻窪に寄った時には必ず食べている。

ちなみにここのラーメンを食べないとホソコシには辿り着けません。

オススメは特製軍鶏そばだ!とかいっといてあれなんですが、僕は煮干しそばを食べました。

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美味そう。深夜にこれを書いているんですが、普通に腹減ってきた。
実際この煮干しそばは美味かったが、特製軍鶏そばの方が俺は好きですね。
やっぱ軍鶏そば。初めていった人はまず軍鶏そぼの方を食べて欲しい。

ちなみにこの麺尊RAGEの横にはパティスリー・ロータスという皿盛りデザート出してくれるお店があります。

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こういうパフェとかモンブランを出してくれるので、こっちも興味がある人は行って欲しいですね。


さて!ラーメンも食べたことですし、ホソコシに向かいましょう!

歩いてきた通りを更にまっすぐ進みます。
10分くらい進んだくらいで左手側に目的の現れます!

そう!!!ここが!!!!!






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マカロン・エ・ショコラだ!!!!!

その名の通りマカロンとショコラの専門店。
生菓子を売ってる時もあるんですが、この時がちょうどホワイトデー前だったので、マカロンとショコラのみでした。

前々から行ってみたいって思ってたし、せっかく近くに来たんならこっちも寄りたいなってことでね。早くホソコシ紹介しろよって思ってる方もいるかもしれませんが、もう少しお付き合いいただきたい。

まぁ今回、抹茶、ピスタチオ、ラムレーズン、バニラ、ベリーチーズケーキ、ほうじ茶の6点を購入。


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少しネチッとした食感のマカロン。
あぁ、これ。マカロンといえばこの食感だよな〜と感じる。
イメージ通りのマカロンだ。

ホワイトデーもあって最近色んなマカロンを食べてきたけど、久しぶりにこういうネチッとしたマカロンを食べた気がする。サクッとしてフワッとしたマカロンが好きな人も多いけど、ネチッとした食感が好きな人も少なからずいるはずだ。そういう人には是非ともマカロン・エ・ショコラを勧めたい。

特にお気に入りはほうじ茶のマカロン。
ほうじ茶のスモーキーな感じがちゃんと出ててうまピヨ。

オンラインショップもあるので、気になった人は買ってみてね


さて、マカロン・エ・ショコラを飛び出し、ホソコシを探して三千里。

とうとう、よくやく、やっと、遂に、満を持して、巡り巡り、いよいよ、長きに渡る道程の果てに、






ホソコシに到着!!!

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くぅ…ここまで長かったよ…
回り道をした俺が悪いのか…はたまた回り道をさせてしまう西荻窪の魅力が悪いのか…

兎にも角にもこの旅の終着点。世界の果てに辿り着いた。

旅の終わりに対する達成感と一抹の寂しさ、マカロン・エ・ショコラの手提げ袋を抱えながら無機質な自動ドアをくぐった。

ショーケースには色とりどりのケーキたちが行儀よく並べられている。

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さて困った。
どれも綺麗で、美味しそうで、なにを買おうか全然決められない。
じっくりケーキの説明書きを読んでいく。

「自家製ローストヘーゼルナッツのダクワーズ〜」
「香ばしく焼き上げたメレンゲに〜」
「濃厚なピスタチオのムースに〜」
「とろけるように滑らかなレアチーズケーキ〜」

アカン。どれも美味そうや。
読みながらずっと
「そうかそうか、つまり君はそういう奴なんだな」
とつぶやいてしまう。

美しいショーケースを前にして、人はみなエーミールなのだ。
少年の日の思い出なのだ。

「お決まりでしたらお声がけください」

と私に話しかける声が聞こえた。

驚愕の中にも私は咄嗟に思い当たって叫んだ。



「その声は、我が友、李徴子ではないか?」



店員さんだった。

虎になったエリートが接客をしているわけはなかった。

よく考えたら李徴子と友達ではなかったし、俺はクジャクヤママユの標本を持っていたこともなかった。

国語のお話はこの辺にして、結局俺はスペシャリテの『レンヌ』と新作の『デリスピスターシュ』を選んだ。
スペシャリテとピスタチオ。間違いないチョイスだ。



電車の中でスイミーを音読しながら帰る。
こうすれば何故か周りから人が離れていくので、ケーキを潰される心配がない。
とても便利なライフハックなので皆さんにも是非使っていただきたい。



まずは『デリスピスターシュ』から。
ピスタチオのムースとグリオットチェリーの組み合わせ。王道中の王道だ。

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うまピヨ。王道は美味しいからこそ王道なんだなと実感する。
3年くらい前まではもっぱらピスタチオ×フランボワーズの組み合わせがどの店でも多かったけど、最近はグリオットとかオレンジ、アプリコットの組み合わせが増えてきた気がする。特にアプリコットはよく見かける。ような気がする。

どのお店に行ってもピスタチオのケーキを買えばだいたい大丈夫。ピスタチオとカレーは裏切らない。

前にTwitterではつぶやいたけど、ピスタチオのケーキをまとめた記事を今度書こうかなと今思った。書けたら書きます。


続いてスペシャリテの『レンヌ』

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あぁ!これ!俺の憧れたフランス菓子ってこういうのだ!
滑らかなミルクチョコのムース、引き立て役の塩キャラメル、ヘーゼルナッツのダクワーズの食感!
うまピヨ!!!

デリスピスターシュに引き続き、ベターだけどやっぱりこういうのが美味しいよね。

フランス菓子が好きですって言うと、
フランス菓子ってなに?って聞かれることが多いです。
それを言葉で説明するのはすごく難しくて、そんな時にこのレンヌを食べさせてあげたい。いつでもレンヌが出てくる不思議な四次元のポケットが欲しい。

なんか久しぶりにフランス菓子食ったな〜って思えました。
ホソコシ行ってよかった。

なんだか食べ歩きを始めた頃の初心みたいなやつを少し思い出せた気がする。
食べ歩きって始めたばかりが絶対に1番面白いと思うんですよね。
俺は食べるケーキひとつひとつに感動してましたもん。でも慣れてくるとそれが薄らいできてしまう。
マジで味の記憶を1回リセットしたい。もう1度あの頃の感覚でケーキを食べてみたい。

これを読んでる人で、まだケーキの食べ歩きとかしたことないよ〜って人は是非食べ歩き散らかして欲しいですね。

それでは!バイバイ!

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