「大玉送り」など、一見すると昭和風のイベントだが
3月11日の日経新聞で「Z世代の「育て方改革」」というタイトルの記事が掲載されました。パナソニックが開いた社員1200人の大規模交流イベントを例に、若手世代への対応について考えた内容です。
同記事の一部を抜粋してみます。
「○○方改革」が乱発している感がありますが、「育て方改革」という言葉も現れたようです。
それはさておき、同記事からは3つのことを考えました。ひとつは、「承認欲求」はどんな人にも共通する本能だろうということです。
私たちはみな、「誰かに何かで認められたい」という欲求を持っています。そのうえで、「誰」「何」がなんなのかは、人によって異なります。適当な例ですが、「世の中の多くの人から、革新的な製品を生み出したとして認められたい」という人もいれば、「自分が直接かかわった人から、あなたに会えてよかったと感謝されたい」という人もいます。
ここには、時代による一定の変化の傾向も認められるでしょう。
例えば、かつては「高級車に乗ったり高級腕時計をしたりしている姿を友人や見知らぬ人に見てもらって、ステータス感を味わいたい」という承認欲求がありました。今でも各世代にそのことが当てはまる人はいますが、数十年前の若手世代に比べて、今の若手世代で当てはまる人は明らかに割合として少ないです。「所有欲」を起点とした承認欲求が減退しているためです。
他方で、「ばえる」という言葉があるように、「インスタ映え(ばえ)やSNS映え(ばえ)する姿や投稿を見てもらって、「いいね」の反応をたくさん集めることでステータス感を味わいたい」という承認欲求は、数十年前の若手世代には見られなかった新たな形態の欲求です。企画・運営を本人たちに任せたうえで、当日の模様のSNS発信解禁をしたことは、イベント参加者世代にとって重要な前提だったと思われます。
「承認欲求をいかに満たすか」は、マネジメントにおいても人間関係においても、古くからの命題なのだと感じます。
2つ目は、「Z世代」で一括りすることの危うさです。
同記事の図表で紹介されていたデータを、抜粋して下記します。
意外にも、20年超もの長期間勤続したいと考える層が、全体の4分の1を占めています。もちろん、終身勤続を志向する考え方の持ち主は、以前に比べて減っています。それでも、一定数存在するわけです。
上記で挙げた「誰に何で認められたいか」も、「Z世代は誰が〇、何が○」などと一括りにはできないわけです。この点を見落としてしまうと、一人ひとりの主体性を引き出すマネジメントや関わり合いなどは、うまくいかないかもしれません。
3つ目は、イベントや行事なども効果や是非は企画次第、ということです。
どのような満足度調査を行ったのかはわかりませんが、参加者満足度99.9%という結果からは、大成功だったと考えてよいはずです。
「社員旅行や会社の運動会など、今となっては時代遅れ」といった声を聞くこともありますが、それも本質ではないということです。当該イベントにどのような目的を持たせ、何をどのように運営するか、あり方、やり方によって、いろいろな可能性があるということを、同記事からは改めて感じます。
組織活動を考えるうえで、参考になる視点だと思います。
<まとめ>
その取り組みの効果や是非は、企画・運営次第。
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