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お年玉に金利をのせてみる

いろいろな人からもらったお年玉の半分は好きなことに使ってよい。残り半分は預かっておく。預かったお金は大きくなって必要な時に使えるよう、大切にとっておいてあげる

子どもに対して、こんな感じの対応をしている親も多いのではないかと思います。うちも、この考え方に近い対応をしています。

個人的には、適切な対応だとは感じながらも、なんとなく違和感も覚えていました。しかし、その違和感を自分の中で明確に言語化するには至っていませんでした。

先日、ある子ども向けお金の教育体験セミナーにて、次のような事例を聞きました。

・「パパ銀行」をつくり、子どものお年玉を年利12%の複利で預かる。いくら預けたいのかは子どもに考えてもらう。引き出したいといったら、複利を足した引き出し分を子どもに与える。ただし、引き出しのタイミングは月1回とする。

・小遣いの一部を米ドル紙幣で渡す。ドル紙幣は、24時間いつでも、親に申し出れば円に換えることができる。ただし、申し出たタイミングでの米ドル円レートにて換金する。

これらは、子どもの投資体験の一環として行っていることの例ということでした。これらのお話をお聞きし、冒頭の違和感が何だったのか、明確に気づきました。

冒頭のやり方は、子どもに対して単なるタンス預金を奨励する結果になるわけです。タンス預金が必ずしも悪ではなく、一定量のタンス預金も必要ですが、何年も保管しておいたところでそのお金は増えるわけではありません。物価が上昇した分ほど、価値が目減りしていくことになります。

パパ銀行の例は、NISAで投資信託に積み立てていく行動に似ています(運用実績によるアップダウンまでは再現していませんが)。年利12%の商品を複利運用で購入すれば、10年後には元金の3倍を超えます。

こうすることで、子どもも何年後にどれぐらいに増えていくのかに興味をもち、意欲的に計算するようになったと聞きました。お金に関する教育代だと考えると、安いものだと思います。

小遣いの一部を米ドル紙幣で渡すことで、子どもは「為替と株の値動きです」といったニュースに反応するようになり、1ドル158円を超えたタイミングで円への換金申し出を受けたと、事例では聞きました。

同セミナーでの話によると、日本の金融教育は諸外国よりダントツで遅れているそうです。私たちはなぜか、子どもに対してお金はあまり触れないほうがよい、避けたほうがよい話題だという感覚があります。

しかし、学校での金融教育を促していく動きにもみられるように、子どもがお金に対して適切な関心と知識をもつのは大切なことのはずです。事例のような、子どもに疑似的な投資体験をさせるのは、金融教育として有効なやり方だと思います。家庭内でも、もっと取り組める金融教育があると感じた次第です。

資産形成は、「長期」「積立」「分散」が大切だと、同セミナーでも言及がありました。このことは改めて、真逆の視点で考えると意義は明白、一目瞭然です。真逆とは、「短期」「一括」「集中」です。短期の値上がりや利益を求めて、何かひとつの投機的な商品に、財産のすべてを投じる。これは適切な行動ではありません。こう考えると、「長期」「積立」「分散」が王道だと言えます。

それでは、「長期」「積立」「分散」の投資行動を、実際に普段からどれだけ取り組んでいるか。取り組んでいないとして、自身で判断したうえで取り組まないという行動を選んでいるか。そうでないとするなら、その要因には金融についての学びをあまりしていなくて、思考をしていないことがあげられるかもしれないと思います。

これは、企業活動でも同様のことが言えると考えます。

取り組んでいる事業に対して、適切な投資感覚で向き合っているか。お客さまに対して良い商品・サービスを準備して届けるというのが、事業の本質であり第一義ですが、組織がその事業を継続できる財務構造になっていて、適切な資産形成をなしているのか、その中で当該事業の収益性はどういう位置づけとなっているのかを、きちんと見ていく必要があります。

従業員にもいろいろな役割・立場がありますので、必ずしも全員に求められるわけでもないかもしれません。そのうえで、事業の責任者やリーダー、事業管理のカギとなる人材には必須の視点、感覚のはずです。そして、そのことを共有するための財務教育も、不可欠だと思います。

<まとめ>
お年玉でタンス預金を勧めるのではなく、預かる現金に金利をのせてみる。

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