「運気を上げる」を考える(2)
前回は、私の参加している「知心会」7月の定例講の内容から、運気をテーマにしました。
運気を上げることにつながる2つの要素「気をきれいにする」と「気を強くする」のうち、「気をきれいにする」について考えました。今回もその続きです。
2.気を強くする
定例講でのお話から、私なりに理解した気を強くするポイントは2つです。
1)信念をもつ
自分の人生の使命(目的)、自分の人生で大切にしたい価値観を言語化し、それを自分の行動の源泉として認識することです。もちろん、答えは人それぞれ異なります。いずれにしても、自分が何に突き動かされて日々何のためにどのような行動をしているのか、信念が明確なほうが気を強くもてるはずというのは、うなずけます。
そのうえで、その信念が、世の中の摂理と合っている必要があります。世の中の摂理と合っていない自分勝手な信念は、社外の害悪となるためです。
講話では、「自灯明法灯明」(じとうみょう ほうとうみょう)という言葉の紹介もありました。
釈迦に対して「師が居なくなったら何を頼りにして生きていけばよいのか」と尋ねた弟子に対して、その答えであり釈迦の遺言ともなったのが「自灯明法灯明」だそうです。
自灯明とは、「他を頼りにすることなく、自分自身を目の前を照らす灯火として、先の見えない暗闇のような人生を歩いて行きなさい」という意味合いです。自分が何を信じればよいのかわからなくなった時に、自分自身の光を信じなさいという意味が込められています。ゆるぎない信念を固めるということに通じます。
法灯明とは、「本当に正しいことを頼りにして生きていきなさい」という意味合いです。自分自身を頼りにしながらも、仏法の光を頼りにしなさいという意味が込められています。釈迦が目の前からいなくなってしまっても、釈迦の教えを摂理として従えば、人の生き方として間違えない、ということでしょう。
いくら自灯明であっても、世の中の摂理と外れた勝手な理屈で力強く進んでいかれると、周りは迷惑です。法灯明とも整合が取れてこそ、はじめて自灯明が本物だと言えるというわけです。法灯明は、釈迦の教えに限らず、昔から人間社会で大切だとされてきた考え方や、すべての人が守るべきとされている法令・社会的ルールなどが当てはまるのだと思います。
自灯明法灯明の視点で信念をもつ。
これが、気を強くするポイントの1つです。
2)身口意(しんくい)を徹底する
「身口意」とは、仏教用語です。「身業」、「口業」、「意業」の「三業」と呼ばれることもあります。身体(行動)、口(言葉)、意(思考)の3つを指し、仏教ではこの3つが調和し、一致することが大切だと教えられているそうです。
考えていること、言っていること、実際にやっていることが一致していることで、望ましい成果や結果につながっていくという考え方が、背景にあると言えそうです。
身口意をもっと凝縮した身近な言葉として、「言行一致」があります。あるいは、「信」です。「信」は、「人」の「言葉」と書きます。発した言葉を守ることが、信用や信頼につながるというわけです。
よく「自己肯定感」が大切だと言われますが、自己肯定感が持てている状態とは、もっと平たく言うと自分に「自信」が持てている状態だと捉えることができます。
自信=自分を信じることができる。「信」が「人」の「言葉」だという切り口から考えると、自分の言っていることと違う行動をとってしまう、つまりは、自分に対する約束を破ると、自信がなくなっていくということです。
「身口意」とは、この逆の状態のことです。
自分が言うことをその通りに実行する。
自分が考えていることと一致したことを言う。よって、「本当はこう考えるんだけど、物議にならないよう適当に別のことを言っとこう」「本当はこうしたいが、言ったらやらなければならなくなるから、言わないでおこう」などは、一致していないということです。
そして、前提として、自分が考えることが、「自灯明法灯明」のごとく、世の中の摂理と合っているべきだということです。
今回の定例講では、テーマのひとつが「気を強くする」でしたが、日常会話でよく使われる「気が強い」という言葉の意味合いとは、少し異なるようです。
日常会話でよく聞く「気が強い」は、他者と張り合っていくような場面での押しの強さや気性の激しい性格を表すことが多いでしょう。上記で見てきた「信念をもつ」「身口意の徹底」には、そうした性格的な出方をする場面もあるのかもしれませんが、本質はまた別のところを指しているのだと思います。穏やかな性格の持ち主であっても、「信念をもつ」「身口意の徹底」が当てはまる人もいます。
前回とりあげた「気をきれいにする」と今回の「気を強くする」。日常の中で、それらについて振り返る時間、行動に反映させる習慣を、取り入れてみたいと思います。
<まとめ>
自分なりの信念に基づく身口意で、気を強くする。
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