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仕事は見た目が9割?

3月26日6:30~のNHKニュース「おはよう日本」で、「“おしゃれ”警備でイメージ刷新」というタイトルの特集が放送されていました。「きつい、危険、長時間」などのイメージがもたれがちな警備業界を、若者にも選ばれる仕事に変えたいと奮闘している、九州の警備会社社長について取り上げたものです。

同番組及び関連のウェブ記事で紹介されていた主な内容を挙げてみます。

・おしゃれ警備というコンセプトにこだわる。「やっぱり外観が大事だから、ユニフォームとかスタイルがいいように見せるために全部採寸して、ロゴとかステッカーのスタイルはめちゃくちゃこだわっている」

・無機質だったオフィスをビンテージハウス風にリノベして、家具や調度品にもコストをかけた(カフェのような内観)。「事務所もお金をかけてフルリノベーションして、従業員が帰ってきたくなるような居心地のいい事務所を作りました」

・おしゃれにこだわるのは、6年前にアルバイトで入社後、働きぶりが認められ、まもなくして会社の経営を任されたことがきっかけ。当時、会社は人手不足により業績は悪化し、若い社員は仕事へのやりがいが見いだせずにいた。「身にまとったユニフォームが嫌でした。自分が見られたくないと思って仕事してたんですよね」

・状況打開のために、試してみたのが、古着・インテリアなどの自分の趣味を仕事に取り込むこと。警備道具を自分好みのデザインに作りかえ、会社のロゴ、警備服や車両などをかえていくと社員が道具に愛着を持ち始め、日々の手入れを欠かさず行うようになった。

・「ガワ(見た目)をかっこよくすることによって自分もそれに合わせないといけなくなるから、ガワをかっこよく変えれば、マインドもそろってくるんじゃないか」

・警備動作も、ドライバーが認識しやすい旗の振り方や通行人が安全に移動できる方法など試行錯誤を重ね、かつ、おしゃれに見えるよう工夫。風が吹いても絡まらない振り方を研究し、キレキレの動作で旗振り。通行人など周囲への目配り、丁寧な声かけ、会釈・笑顔を追求。「いかにストレスフリーで運転させてあげるか、こちらもプロとしての意地もあるじゃないですか」

・おしゃれ警備は取引先や共に働く別業者からも一目置かれるようになっている。「気配り目配りがいいと思うんです。自分が引退するまでは一緒にやりたいと思ってます」

・SNSでPRしたところ若い人材も集まるようになった。「前の職場(別の会社)は制服も全然かっこよくなかったですからね。おじいちゃんが着るような制服を着てたんで。ただぼーって感じで旗を振ってましたね。こんなきれいには振ってなかったです」「いろんな方からコメントいただけて自分のやりがいにつながってますし。もっと頑張ろうってなります」

・同社員自身もSNSで投稿したところ、警備姿に30件をこえるメッセージが寄せられた。「誘導の方のおかげで安心して交互通行出来ます。暑さ、寒さに関わらず、ありがとうございます。」「こんな丁寧な警備員みたことない。であったら深々お辞儀する!応援します。」

・6年前の売上7,000万円から、現在は約2倍の1億5000万円まで成長。「かっこよくおしゃれに働いて、ライフスタイルも豊かになっていく」「夢がある仕事ということを世の中に伝えていけたらいい」「自信を持って信じ続けることに尽きるのかなと思っている」

・仕事と暮らし、このふたつに誇りを持たせることが大切だとし、次なる目標は社員の生活そのものをおしゃれにすること。銀行から融資を受けてマンションを買い取り内装をフルリノベーション。社員寮として提供を始めた。

一般的にもたれがちな、「きつい、危険、長時間」などの警備業務のイメージとは、ずいぶん違う印象を受けます。(上記は映像でなく文字のため、臨場感は限界があると思いますが)

上記からは、大きく2つのことを考えました。ひとつは、仕事を意味づけするにあたって、見た目はやはり大切、ということです。

当然ながら、私たちにとって、自分の取り組んでいる仕事に意味づけができていることが大切です。「社会的に意義がある」「仕事を通して関わる人に明確に役立てている」と実感できることで、初めて働く喜びが感じられ、良い仕事の実践につながっていきます

そして、法令違反の仕事などでない限り、対価をいただく仕事として成立している以上は、必ず誰かのニーズに応えて役に立っているはずです。よって、取り組んでいる仕事の本質とお客さまから感謝されていることが認識できれば、仕事の意味づけはできるはずです。

しかしながら、そのことを実感できない状況に置かれることもあります。そうした状況では、「つまらない仕事」などとネガティブな捉え方になりかねません。

上記の事例は、見た目を変えることで、仕事への意味づけがしやすくなることを示していると思います。

驚異的なスピードと品質で新幹線を清掃する様子が、「7分間の奇跡」として海外メディアでも大きく取り上げられ、ハーバードビジネススクールで「テッセイ」の事例として大絶賛された株式会社JR東日本テクノハートTESSEIも、その原動力となった大きな要素のひとつとして、清掃スタッフが創意工夫した美しい制服や衣装の工夫が挙げられています。

見た目を変えればそれですべてOKというわけではありませんが、仕事をする本人の意識、お客さまからの見られ方の観点から、やはり大切だと言えます。お客さまから好意的に見られるほうが、感謝の言葉などが集まりやすくなります。服装だけではなく、仕事のやり方やオフィスなど含めて「かっこいい」と思えることは、一般的に想像している以上の価値の高いことなのだと、同事例からは思われます。

もうひとつは、自分や自分の仕事を承認してもらうことの大切さです。

「Z世代はSNSがカギ」などと言われますが、本質は「他者から承認してもらえること」にあります。SNSがなかった時代に別の手段だったのが、SNSという手段に変わっただけです。

仕事や職場などについて、承認されている実感があまり得られていない状況だと思われるならば、承認を実感できる環境を意識的につくろうとすることも大切だというのを、同事例からは改めて感じます。

同社長は、「若者に選ばれる3か条」として、次のことを挙げていました。

・仕事は見た目が9割
・仕事の中に個性あり
・ワークライフに誇りあり

ひとつの視点として、参考になるかもしれません。

<まとめ>
ガワ(見た目)を整えることは、仕事の意味づけ向上につながる。

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