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従業員のエンゲージメントを高めるには

先日、株式会社カイラボ様による対談ウェビナー「3/2 従業員のエンゲージメントを高めるには?」にゲスト登壇しました。対談でやりとりしながら、エンゲージメントについて改めて考えを深める機会になりました。

同対談では、エンゲージメントの高まっている背景として、「一人ひとりの生産性向上がますます必要になっている」が挙げられることが、改めて話題になりました。

以下に、「かつての雇用」と「これからの雇用」を取り巻く環境で、主なポイントをいくつか挙げてみます。

<かつての雇用>
・労働力人口増加
・終身雇用・年功序列
・長時間労働の社会的合意
・未整備な転職市場
・着実な育成・成長への期待
・機械の導入

<これからの雇用>
・労働力人口減少
・終身雇用・年功序列の概念希薄化
・長時間労働への社会的反対
・転職市場の発達
・変化の速い育成・成長への期待
・人間とAI含む機械の協働・融合

「かつての雇用」は、「会社(組織)の力が強かった時代」だと説明できます。労働制約が少なく、各人の労働時間を最大限投入できました。次の労働供給者予備軍も待っていました。

会社に最低限合ってそうな人をひとまず採用し、長い時間軸の中でじっくり生産性を上げてもらえればよい。会社は従業員の生活を長きにわたって面倒見るかわりに、配置転換含む働く内容・働き方の指示に全面的に従ってもらう。というイメージです。新卒で男性中心の正社員という「一様な人材が組織を支える時代」だったとも言えます。

「これからの雇用」は、「従業員(個人)の力が強い時代」だと説明できます。かつてよりも、個人がいろいろな事情の労働制約を持っています。次の労働供給者予備軍はパイが減っています。その気になれば、より良い職場環境を求めて移っていくことも容易になっています。「多様な人材が組織を支える時代」と言うことができます。

機械に任せられることも増えてきました。限られたパイの中から自社の事業に協力してくれる人材を探し、人間だからこそできる仕事のために、個人の能力を最大限に引き出す必要があります。1人ひとりの生産性を高めないと、経営が成り立っていきません。

「エンゲージメント」は、いろいろな意味合いで使われていて、いろいろな定義が可能かもしれません。同対談では、以前から使われることもあった「ワークエンゲージメント」という言葉と対比する形で、これから求められるのは「従業員エンゲージメント」ではないかという話になりました。以下は、各所で言われていることを参考にした、私なりのまとめです。

ワークエンゲージメント:仕事に関連するポジティブで充実した心理状態であり、活力・熱意・没頭によって特徴づけられるもの

従業員エンゲージメント:従業員が企業全体、上司、仕事の中身など働く 場面にある諸対象に、どれだけ強い関与や思い入れをもっているかの度合い

ワークエンゲージメントは、その対象が「仕事」です。一方で、従業員エンゲージメントの対象は、「仕事+かかわる相手」です。この「相手との関係性」が、エンゲージメントをテーマにして求めていきたいポイントのひとつではないかと考えます。

カイラボ様の取り組まれている事業でテーマのひとつになっている「離職対策」について、2012年頃は見向きもされなかったそうです。それが、2015年あたりから社員の定着へのニーズが高まり、注目されるようになったと言います。

生産性向上を瞬間的に実現させたいだけなら、ワークエンゲージメントだけでもいいかもしれません。しかし、対象が仕事であるワークエンゲージメントのみによる個人の集合体の組織は、継続性が維持できるのか疑問です。そのワークに取り組む環境が、必ずしも自社でなくてもよいからです。従業員全員に求める必要はないのかもしれませんが、相応の割合の人が、仕事に加えて自社という組織や関わる人に対して強い思い入れを持っていないと、組織体の継続が困難になります。

つまりは、組織体として継続性のある生産性向上を求めていくのであれば、自社にとって望ましい人材の定着が歓迎される、定着には従業員エンゲージメントが必要、ここ10年間でその必要性が高まっていて今後もその環境は続いていく。そのように考えることができそうです。

続きは、次回以降考えてみます。

<まとめ>
今を取り巻く環境に対応するために、ワークエンゲージメントに加えて従業員エンゲージメントが必要。

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