前回は、4月26日の日経新聞記事「在宅勤務、今後どうするか(下) 勤務場所の自律的選択 重要」の内容に関連し、テレワーク勤務をテーマに考えました。場所ありきではなく成果ありきで考え、「どこで仕事をするのが、今日の自分が生み出すべき成果を最大限創出できそうか」の観点で向き合うことが、勤務場所を考える上でのポイントになるのではないかとしました。
同記事及び前日の記事「在宅勤務、今後どうするか(上)」を参考に、ポイントをさらに以下の通り3点挙げてみます。
・自分で場所を選ぶことで生産性が上がる
・自分にとって拠り所となる特定の場所を持っておくほうが生産性が上がる
・テレワーク勤務導入で生産性が高い会社は、もともとマネジメントの質が高い
記事「在宅勤務、今後どうするか(上)」から、一部抜粋してみます。
この内容も、前回取り上げた「どこで仕事をすると、自分・組織の成果が最大化できるか」の観点に通じると思います。
パンデミック初期は、本来会社で仕事をしたほうが生産性が上がる種類の仕事、あるいは、ある人にとっては在宅のほうが生産性上がる仕事であっても自分は会社のほうが能率が上がるというタイプの人に対しても、強制的に在宅という場所の制約を課されました。そのことが、本来別の場所のほうが成果を上げやすい状況の仕事・人を、生産性の悪い場所に閉じ込める結果となっていた、というわけです。成果ベースで、最適な場所を定義するのがよいということが想定されます。
そして、上記の記事内容からは、その場所を本人が自ら選択できていると思えている感が高いほうが生産性が上がることがうかがえます。やはり、場所の選定も人から強制されるより、自己決定できているほうが、よい影響があるということです。
一方で、頻繁に場所を変えすぎるのも生産性が落ちることを示唆しています。自分にとって「ホームグラウンド」と思える場所が存在していることは、大切なのだろうと想像します。
上記からは、「オフィス内で対面によるタスクマネジメント・人材マネジメントができていなかった企業が、テレワークを取り入れればマネジメントが向上するものではない」ということを示唆しています。あくまで、オフィス内で対面によるタスクマネジメント・人材マネジメントができているからこそ、テレワークという形態を取り入れてもうまくいく」のだと言えそうです。
まだテレワーク勤務による適切なマネジメントのあり方を見出せていない組織も多いことと思います。例えば、一度オフィス勤務による対面でのマネジメントに立ち戻り、チーム・仕事に対する考え方・ルールを認識共有・合意形成したうえで、改めてテレワーク勤務の導入に向き合ってもよいのかもしれません。
<まとめ>
対面で個の自律性を尊重するマネジメントができていない組織は、テレワークという形態でもできない。