そういえば
非常宣言 と言う韓国映画が公開されるようだ。
色々前評判のいい映画だったが、内容は、ざっくりいうと。
機内でバイオテロが起こり、乗客、乗員が次々と感染。
機長は死亡、副機長も感染。
どうやって飛行し続けるのか。墜落して死ぬのか、それとも感染して死ぬのか。
犯人もまた感染の危機にありながら、平然としている様子から、もしかしたら感染しても助かる道があるのではないかと、地上では模索を始めるが、同時に、このまま感染者を乗せた機体をどこに着陸させるのかが問題となる。
受け入れ国はあるのか。
もし受け入れ国がなければ、墜落させるしかないのか。
と言うパニック映画らしいのだが、ここまで予告を読んで、ふと、
この話現実にあったな、と思い出す。
そう、覚えておられるだろうか。
それは日本の出来事。飛行機ではなく豪華客船。
コロナが発症してしまった豪華客船が、横浜港に停留してしまった、あの話。
あのとき、船内に日本人が多く乗船していたことで、横浜は寄港を許したが、選択肢としては日本人ごと寄港させないと言う手はあった。あの時点でコロナは奇病であり、治療薬もなく(今でもほとんどないけど)感染すれば死亡する可能性のある、感染力の強い病気だった。国民を守るためには、船を寄港させるのは危険だった。
しかし一方では、ともかく乗客のうち日本人は受けいれ、隔離し、治療する必要があるとして、日本人だけの受け入れは可能性があった。
しかし日本は、結局乗客のすべてを受けいれることになった。
それでも、なかなか乗客乗員の上陸が出来なかった。
今考えれば、PCR検査を繰り返して、確実に感染していない人はとっとと下船させてしまえば良かったのだが、日本が取ったのは、医療を施さないと危ない人を下ろして病院に急行させるという方法。基本、感染の問題なしとわかるまで、船内に留め置くという方法だった。
留め置き期間がが長引くと、コロナでなくても持病の悪化で倒れる客も出てきて、その結果死亡する人も出た。
右往左往というのが文字通りだったが、まあ思えば、その後に起こってくるコロナパンデミックの、ほんの序章に過ぎなかったのだが。
当時、陰性の乗客から下船させた方がいいという意見は出ていたが、下船許可がなかなか下りなかった。船内での患者をどうするか、それどころか船内でコロナが蔓延してしまうのではないか。と言う危惧も重なり、「日本は国民の命を優先して、船内の人間を取り扱った」という、海外メディアの批判が出た。
でも、思うのだが、それって当たり前ではないか?
突然流行病を乗せた船が寄港してきたら、国民を守るために下船させないという判断は、正しいように思うが。
後に、同じような事態になった国はいくつかあったが、どれもそれほど騒がれることもなく、なんだか日本だけ大騒ぎされ、批判されてしまったような感じだった。
当時、船の中で留め置かれた乗客や乗員の中で、どんどんコロナが蔓延していくという妄想を、日本のみならず、世界で考えていたわけだが、実際には、寄港後に感染した患者はいなかったという。
この話、公式発表された時にはブーイングした人が多かったが(たいていのテレビのコメンテーターは「嘘だ」といい、私もそう思ったのだが)今コロナと3年つきあってきて、あのとき、寄港後は感染者が増えることはなかった、あの船での感染者は、寄港前にすべて感染していた、と言う話は、あながち嘘ではないなと思っている。
乗務員に関しては、個室ではなく、大部屋だったということで、もしかしたら寄港後も多少の感染はあったかもしれないが、乗客に関しては、寄港後はすべて個室隔離だったので、同室の家族同士での感染はあったにせよ、船中に広がっていくことはなかったと思う。
コロナは、感染力は強いが、何でもかんでも感染するわけでもない。
あの豪華客船での事件は、こうした感染パニックというのは、必ずしも映画のようにすっきり、かっきりダイナミックなアクション巨編にはならないと言う事を証明している。
何が何だがわからないような、ぐずぐずしたような、ごちゃごちゃしたような展開の中で、ひたひたと死の恐怖が近づいてくるわけで、そのひたひたぶりがあまりにひたひたしているので、あまり面白い話にならないと言うワケである。盛り上がりに欠けるわけだ。
そもそも世界的パンデミックが100年ぶりに起こったのだが、それが死亡率はそこそこなのに、感染力が強いという、なんとなく派手さに欠けるウイルスだったおかげで、結局世界に広がってしまったわけである。
ああ、パンデミックというのは思ったほど派手ではなく、地味に世界に広がるんだなと実感した次第。状況はきわめて深刻なのに全然劇的じゃない現実に、返って絶望したぐらいだ。
世界の終わりって、こんなふうに、よくわからないうちにはじまって、気づかないうちに終わるんだなと思った。
で、韓国映画は面白いんだろうか。
きっと映画としては面白いのかもしれないが、現実に見劣りせずに描けるだろうか。
それでも今回の映画はコロナを意識して作られたことは明らかで、「感染」の恐怖を已によく理解した世界の人々に向けて発表されているので、あとはお手並み拝見である。
そういえば、かつて韓国が津波をテーマにしたパニック映画を公開した。
日本でも派手に宣伝し、こんなスペクタクルな話を、圧巻の映像で。。。と宣伝していたのだが、その直後に起こったのが、東日本大震災。
津波の生の映像を見まくってしまった人たちにとって、あの映画の津波は、子供だましにしか見えなかっただろう。
今度はどうかなあ。。。。
イビョンホンとソンガンホは好きだから、チャンスがあったら見ようかな。映画館行かないけど。(まだコロナ怖いから)