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ジャニーズ事務所のまずい顛末

 毎日マスコミで報道されているが、ジャニーズ事務所は、創設者ジャニー喜多川氏の性加害問題の責任を取るための、今後の計画を記者会見で発表した。
 多くの人がこれを見て、いろいろ思うところはあると思うが、どう考えても最もまずいのは、ジャニーズという事務所名もそのままに、会社もそのままに、存続する道を選んだことだ。

 今日になって、軒並みスポンサーがジャニーズ事務所所属のタレントをCMに出さないことを発表してきている。CMに出られないということは、その会社がスポンサーしているドラマにも出演できないということだし、この状況ではどのテレビ局もジャニーズ事務所の所属タレントを番組に出せない状況になるだろう。つまり全く仕事がなくなるわけだ。
 もちろん根強いファンがいるわけだから、事務所がコンサートを開くとか、事務所主催のイベントなら、お客さんは来るだろうが、それだけでやっていけるのだろうか。人気のある特定のタレントはいいかもしれないが、育成途中のジュニアを維持していく資金はどこから出てくるのか。そもそもテレビや映画、CMの仕事が全くない状態のタレントが、どこで名前を売るのか。SNSだけで賄えるわけはない。

 別に犯罪がらみでなくても、会社が立ち行かなくなることはある。多くは負債を抱えたときだ。そういう時、会社の名前を存続したいと無理をすればするほど、必ず泥沼にはまる。その名前に(暖簾に)お金がついてくるような特別なものならよいのだが、それでもその名前を自分で存続させようとすると痛い目を見る。
 暖簾が生きている場合は、その暖簾を他社に売却する方法で、従業員や、自分たちの技術を守る方向に考えるのが、最も賢い方法になることが多い。
 
 ジャニーズ事務所の場合、この暖簾はむしろマイナスにしかならないもので、逆に抱えているタレントという資産は、他に高値で売れる存在ということがある。
 ジャニーズという看板で仕事ができないとなれば、売れるタレントから順に、会社を離れるしか選択肢がなくなる。好むと好まざるとにかかわらず、この仕事を続けていこうと思うなら、それしかない。
 東山紀之のように、現役を引退する人ばかりではないのだ。
 既に、喜多川氏が死亡して以降、ジャニーズのタレントがだんだん退所している現象が起きていた。おそらくこの先、それはどんどん加速し、最期には、売れてるタレントは全部移籍するだろう。このまま手をこまねいていれば、それしか方法がない。

 もし前回の記者会見のように、仲間たちと何とかやっていこうという機運があるなら、さっさとジャニーズ事務所という会社をつぶすべきだった。

 今回は不祥事を起こしているのだから、被害者賠償が必要になる。
 現段階で会社を廃業し、この時点で持ちうる会社の資産をすべて整理して、それをすべて被害者賠償にあてる。この時ジャニーズ事務所は同族会社で、株の100%を一人が持っている状態だから、創業者一族(前社長)の個人資産が、会社の財産に入ってくる可能性は高い。しかし前社長自身が、誠意をもって被害者賠償をするといっているのだから、それで構わないだろう。
 ジャニーズは清算会社として、被害者賠償のみを行うことをしていけばいい。
 同時に、タレントは全員、新会社を起こしてそちらに移動すればいい。タレントそのものは被疑者ではないのだし、新会社で一からやり直しますといえば、多少のインターバルはあっても、人気のあるタレントから仕事は来るだろう。ジャニーズ事務所時代の資産のうち、タレント以外は一切引き継がないのだから、当初は会社経営は大変だろうし、まだ育成中のジュニアまで抱えるなら、資金繰りは楽ではないだろうが、そこは人気のあるタレントが死ぬ気で働いてもらって、カバーするということにすれば、ファンも応援しやすい。
 それでも経営が立ち行かず、つぶれてしまうかもしれないが、おそらくそれしか、タレントたちが一緒に頑張れる方法はないと思う。

 どちらにせよ、現状では全く仕事が来ない状態になるのだから、会社名の存続などありえないし、それどころか、会社そのものを引き継ぐことがあり得ない。ジャニーズという名前があったら、仕事を出せない状態なのだから、その名前を残すことが不可能なのだ。
 そのことを、ジャニーズの経営陣はわかっていないのだろう。
 なぜわかってないのかわからないが。

 ファンの間ではこの名前を残したいという人もいるだろうが、仕事をくれるスポンサーは、ジャニーズのファンをお客にしているわけではなく、ほとんどのお客は一般人だ。一般人にとって、ジャニーズという社名を存続すること自体、違和感、嫌悪感しかない。

 それにこのままだと、ジャニー喜多川氏の起こした犯罪の被害者に支払う賠償金を、全く犯罪に関係ない、もしかしたら被害者になったかもしれない事務所所属のタレントたちの稼ぎから支払うことになりかねない。これはどう考えても違和感しかない。
 
 罪を犯したのは、ジャニー喜多川氏であり、彼の犯罪を隠蔽し、あまつさえ少年たちをあてがうようなことになってしまった事務所である。ならば、事務所そのものに罪を明確に償ってもらうしかない。
 そのために、事務所を廃業する。
 犯罪の責任は、責任の所在に明確に償ってもらうことを考えないといけない。そこをはき違えると、何も罪のない人たちが、不当な肩代わりを強要されることになる。

 ジャニーズ事務所というブランドを継ぎたいと思えば、そういうことになる。どうしてそのことに気づかないのだろうか。
 いろいろ考えてそれしかなかったということなのかもしれないが、そもそも考えていた方向性が違っているという気がする。

 こうした問題が起きたときの対処法を示唆してくれるスタッフがいないのだろうか。当然弁護士はいるだろうし、第三者委員会まで立てたのだから、外部の相談相手を見つけられなかったのだろうか。タレントと、タレント事務所を経営してきた家庭で育った人が、狭い世間で考えた結果だとすれば、もっと専門家の意見を入れるべきだったとしか言えない。

 ほとぼりが冷めれば、ジャニーズの看板でまた仕事ができると思っているとしたら、それは間違いである。間違いであるのだから、すぐに考え直す必要があると思うのだが。

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