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京都清水寺の参道を抜け、大正ロマンを味わえる「夢二カフェ」

6月最初の週末、高校時代からの友人の結婚式の為、共通の友人2人とともに京都を訪れた。京都へ足を運んだのはこれが3度目、実に5年ぶり。友人の晴れ姿を見届けるとともに、わたしには「京都らしさを堪能できる喫茶店に行く」という野望があった!

埼玉生まれ埼玉育ち、現在東京在住のバリバリ関東人のわたしにとって、京都から連想するのは中学時代の修学旅行。京都駅に降り立ちそびえ立つ京都タワーを見上げても、四条通を歩き水面のきらめく鴨川を眺めても、思い出すのはやっぱり修学旅行のあの日の思い出。わたしが中学3年生のときも梅雨入り前頃に修学旅行があったような気がするのだが、今回わたしたちが訪れたこの週末は、まさに修学旅行シーズンドン被りと言ったところ。どこへ行くにも修学旅行生と出会い、そしてお決まりのあのセリフを耳にする。「先生!〇〇くんがいません!」

まあそんなこんなでお決まりの清水寺へ行ってみたところ、案の定参道は修学旅行生と外国人観光客、そしてわたしたちのような週末旅行客であふれかえっていた。ちなみに京都を訪れた外国人観光客の64%は清水寺を参拝するのだそう。そりゃあ混むわけである。

さて導入が長くなってしまったが、そんな観光客でごった返した日曜日の参道に、気力も体力(そもそも坂道がしんどい)も削られてしまったアラサーのわたしたち。そのとき、わたしたちよりも一日早く京都へ来ており、結婚式の前日に清水寺にもやってきたという友人が「夢二カフェは空いているし、落ち着けるから行ってみよう!」と提案してくれた。

参道の賑やかさが嘘のように静かで落ち着ける店内

参道を一本入ると、壁を一枚隔てたように喧噪が遠のいていった。修学旅行生が夢中になる龍や刀のキーホルダーの並ぶお土産屋さんを通り過ぎると、大きな建物が見えてくる。この洋館こそ、画家・竹下夢二の作品を展示し、夢二カフェを構える「五龍閣」なのだが、残念ながらこの日は外装工事中でその豪奢な外観を拝むことはできなかった。

しかし一歩足を踏み入れてみると、そこは大正ロマンの世界。経年の美しさを感じさせる木造の階段、真っ赤な絨毯、控えめな照明。そして奥へ進めば、大きな噴水のある中庭を一望できるサンルームのようなテーブル席が。あまりの美しさと優雅さにため息が出てしまう。

窓枠の形、鳥たちがはばたく模様のステンドグラスだけでなく、テーブルや椅子にまでこだわりが感じられる。竹下夢二は絵画のみならず、現在で言うところのグラフィックデザインにも積極的な作家だったというだけあり、夢二カフェの店内もデザインに統一性が感じられる。

ちなみに、主に東京で活躍し、文京区は根津に美術館を構える竹下夢二と京都にどのようなゆかりがあるかと言うと、夢二がもっとも愛したと言われる女性、彦乃と短い同棲生活を過ごしたのがこの京都だったのだそうだ。

みずみずしい京野菜を愉しめる料理と豆乳ドリンク

わたしたちがお店へ訪れたのはお昼時。ということで、京野菜のクリームパスタと豆腐サラダのセットを、ドリンク付き(+100円で頼めてお得)で注文。セットの豆腐サラダは、豆腐本来の味が楽しめるさっぱりとした味付け。やっぱり京都は豆腐がおいしいなあ…。

夢二カフェは、お向かいのお豆腐屋さん「おかべ家」のお豆腐と、しぼりたての豆乳を使ったメニューがウリなのだそう。豆乳ドリンクは抹茶・コーヒー割りとそのままの味を楽しめるプレーンが選べるが、わたしと友人はコーヒー割りを注文した。

一口飲めば、豆乳のまろやかな甘みが舌の上に広がる!そして何ともなめらかな喉ごし。わたしが普段飲んでいる豆乳コーヒー(自宅で淹れたインスタントコーヒーに市販の豆乳混ぜたやつ)とは段違いであることは言わずもがな。

見た目にもおいしいクリームパスタは、贅沢にも湯葉のから揚げ付き。白味噌の効いた和風の豆乳クリームに、新鮮でほのかに甘い京野菜が見事にマッチング。ヘルシーでシンプル。最高に美味しい!

ちなみに、盛り付けられる京野菜は季節によって違うのだそう。この日は、旬の茄子、ししとう、さといも、蕪が載っていた。パスタにはしっかりと味がついているが、京野菜は野菜本来の味が楽しめる、焼いたまま、揚げたままの状態。どれもみずみずしく新鮮なおいしさだった。

夢二カフェのとうふスイーツと、イノダコーヒのフルーツサンド

さて、夢二カフェといえば豆腐と豆乳を使ったメニューが有名。グルメサイトのレビューを見れば、多くの投稿者が「とうふスイーツを愉しんで!」と書きこんでいる。しかしランチを平らげたわたしたちの胃袋に、もはや別腹と呼べるスペースはない。なぜかと言えば…

京都といえばイノダコーヒだ!わたしは絶対にイノダコーヒでモーニングを食べるんだ!」とわたしが息巻いたばかりに、遅めの朝食を京都駅のイノダコーヒでたっぷりと堪能してしまったからである。写真のフルーツサンドはシェアしたわけではない。わたしがひとりで全部食べたのだ

ああ…。次に来たときはとうふスイーツも楽しみたいなあ、と悔やみながらも、イノダのモーニングと夢二カフェのランチで重くなった体をなんとか持ち上げ、わたしたちは再び参道をのぼっていった。めでたく結婚式を挙げた友人にあやかり、地主神社で縁結びの祈願をするために…。


夢二カフェ

京都府京都市東山区清水寺門前

075-541-7111

11:00〜17:00

http://www.goryukaku.com/index.html

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