見出し画像

「B2Bオウンドメディアが数字追うべきか」議論について、おでん男子の私見

「ふじじゅんさんとこは、数字追ってますか?」

僕は、人事労務系B2B SaaSのスタートアップで、オウンドメディアや導入事例、eBook制作などコンテンツマーケに携わっているんですが、オウンドメディア領域においては、このところ「数字を追うべきか、否か」の議論を目や耳にする機会が増えている肌感覚です。他社で近しい領域を担当する方と会うと、冒頭のような質問を受けることもあります。

せっかく時間もあるので、この議論について考えてみました。

なお、本稿の内容は、ハウツーではなくエッセイとして読んでいただければ幸いです。

【第一部】私見ですが、B2Bオウンドメディアは「数字を“追う”べきではない」

結論から言うと、個人的には「数字を追うべきではない派」です。

数字を追おうすると“数字に追われる”ことになります。とる行動全てに数字としての結果や効率を求めてしまいがちです。

しかも、これはオウンドメディアに限らずですが、メディアの成長って基本積み上げ型なので、ADのように「100万円の予算に対してCPL1万円目処で100件リードを獲得する」みたいな、わかりやすい算段を立てにくいんですよね。

「数字追い」に代わる2つの要素

ではどうしたらよいのか?

先ほどの「数字を追うべきではない派」について、数字を追うべきではないと思っているだけで、目標はあって然るべきだと思います。
その点、僕が重要だと思っているのは次の2点です。

①【目標】たどり着きたい目標と、相対的な進捗度合い
②【成長】結果としての絶対的な成長度合い

この①と②をうまく視点を切り替えながら、なおかつ中長期的な価値行動とも向き合える担当者がいる、または決裁者が携わるオウンドメディアは傍から見て強いなと感じます。

まず、オウンドメディアにおける“目標”は、あくまで相対的なものだと思っています。

例えば、あるメディアの現状値が「5,000UU」※であるのに対し、次の目標値が「10,000UU」で、結果が「7,500UU」だったとします。

この場合目標としては未達です。

一方で「2,500UU」の成長はしているわけです。ここで、目標値を“絶対的”なものとして捉えると、その成長値や要因に目がいかなくなってしまう。成長要因は成長要因として絶対的な振り返りをしないと、次なる成長ドライバーを見失い、泥沼化しかねません。

(※ 多くの場合、CVが目標かなと思いますが、CVの場合変数が複雑になるので、ここではUUを例にしています。)

「月に行くには?」という逆算思考。目標と成長の“差分”から生まれるもの

じゃあ、その結果としての成長値にホクホクしていたらそれでいいのか?

そんなこともないでしょう。よく言われる話ですが、人類が月にたどり着けたのは、“月に行くため”の方策を逆算して研究・開発した結果であり、闇雲に技術を積み上げるだけではたどり着けない世界だったと。

オウンドメディアにおいても同様ではないでしょうか。
ビジネスとしてサービスや事業があり、そのマーケティングの一環としてオウンドメディアが存在する以上、ビジネス全体で体系的に構築された成果目標の中で、オウンドメディアとして担うべき目標値が成り立つはず。

その目標にたどり着くには、闇雲に成長を積み上げるだけでは厳しいのもまた真理かなと思います。

先ほどの、「5,000UU」のメディアの話に戻ります。「7,500UU」という結果数字が積み上げの推移として妥当なラインであった場合、目標と結果の差分である「2,500UU」を更に集客する新規施策が必要だったと。

この差分は、目標があったからこそ見える数字です。差分が埋まる埋まらないを問わず、妥当な成長ラインより高い水準での成長に繋がるかもしれない。これは「10,000UU」という目標があるからこそでしょう。

以上を踏まえると、B2Bオウンドメディアにとって数字とは“追うもの”ではなく、目標逆算と積み上げ成長、そしてその差分を洗い出す、“ビジネス上の共通言語”なんじゃないかと。これが整理できるだけで、会社や上長、同僚とのオウンドメディアに関するマネジメントコストやコミュニケーションコストはかなり下がるかなと思います。

【第二部】オウンドメディア担当者に求められるだろうマインドとスキル

一方で、目標からのトップダウン視点と積み上げ成長からのボトムアップ視点の切り替えって、一朝一夕で身につくものではないと思いますし、何よりメディア運営ってだけでも結構大変です。更に成果と向き合うとなると張り巡らせる思考は多岐にわたります。当然疲れもするでしょう。1人や2人でやっているなら尚更。

でもオウンドメディアって「継続」できてこその施策です。雨だれ石をうがつ。

というわけで、第一部の内容を踏まえ、担当者に求められるだろう持続可能性を高める要素を、マインドセットとスキルセットにわけて考えてみました。

オウンドメディア担当者に求められるだろうマインドセット

・サービス、メディア愛
・定性的目標、WILLの言語化
・メディアは「手段に過ぎない」ことの理解

“愛”とかすっごい概念的な話で申し訳ないんですが、サービスやメディアの存在意義を社会的に落とし込む上でめちゃくちゃ重要だなと思っています。逆に、自社やサービスを信じられないのに、社会の文脈に落とし込むのは至難の業かなと。

その上で、自社やそのメディアにおいてなすべきことを、数字ではなく言葉として目標を語れるか。「社会課題や顧客課題」と「自社・サービス・メディア」に一本筋を通せるかはここに懸かっているかなと。

一方、“メディア好き”、“メディアに携わりたい”、“編集者になりたい”のような気持ちが先行すると、B2Bオウンドメディアにおいては通常以上にもどかしい思いをする可能性が高く要注意です。

自社のマーケティングにおいて、「オウンドメディアも手段のひとつに過ぎないこと」を理解したその上で、自社でどうオウンドメディアを活用するのかをメタに捉えられないと苦労するでしょう。

オウンドメディア担当者に求められるだろうスキルセット

定性的目標に向かう上で重要な指標を体系的なKGI/KPIとして設計し、仮説通りワークしているか。成長要因は何か。改善アクションは何か。などを考えられると活躍しやすいかなと思います。

整理するとこんな感じでしょうか。

・体系的なKGI/KPI設計
・アクセス解析経験
・(Webメディア運営経験、PDCA全般に関わっていると尚良)

とはいえ、正直なところマインドセットのほうがよっぽど重要だと思っています。

余談ですが、自らライティングできるにこしたことはないものの、文章の上手い下手は気にしなくていいし、少なくとも「上手くなる」必要はないと思っています。
もちろん上手ければやりやすいのは言うまでもないけど、“数学”と違って100点の定義がない“文章”という領域で100点を目指すのは困難。流麗な文章を書ける必要はないかと。

それよりは、下手でも着実に減点をなくして、伝えたいことを少しでもわかりやすく伝えられるかにこだわるにあたって、ボトルネックを摘んでいくほうが上達は早いはず。

【まとめ】

数字を追うべきか議論に対するアンサーとして、重要と思うポイントを私見として再掲します。

①【目標】たどり着きたい目標と、相対的な進捗度合い
②【成長】結果としての絶対的な成長度合い

成長ドライバーを洗い出し、着実に成長していけるか。また、事業成果目標から逆算し、成長ラインとの差分から、どう変革な方策を打ち立てられるか。この視点の切替や融合が大事だと考えています。

これらに持続可能性と精度向上をもたらすのが、第二部で触れたようなマインドセットやスキルセットという位置づけかなと。

(おわりに)
ちなみに自分で書いておいてなんですが、これらが全てできているわけではなく、自戒の意もこめて自分なりに考えてみたのが「数字を追うべきか、否か」の議論でした。

そして繰り返しになりますが、本稿は私見を随筆した内容であり、正解でもハウツーでもありません。
むしろ皆さんどんな考えをお持ちなのか是非お話うかがってみたいです😍

2019年もよろしくお願いいたします!

画像出典:ぱくたそ(©すしぱく)

いつもお読みいただきありがとうございます! 笑顔で生きる糧になります😍 今後とも🍢ふじじゅん🍢をよろしくお願いします!