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健康経営とウェルビーイング

みなさん、こんにちは。
経営のパーソナル・トレーナー、フジガッキーです!

今回は、前回(8/21))からだいぶ時間が経ってしまいましたが、
健康経営第9弾として、
【未来を築く、健康経営~その2】
   ー深化版:これからの健康経営の考え方についてー
となります。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

まず前回の復習から。
前回の内容は、以下のnoteをご覧ください。


健康経営の定義を見直し~深化版


そもそも「健康経営」とは、2006年にNPO法人健康経営研究会が提唱した考えで、「健康」と「経営」という懸け離れた考え方を企業経営の中で一致させたものです。
2006年時点の定義(抜粋)は、

健康経営とは、「企業が従業員の健康に配慮することによって、経営面においても、大きな成果が期待できる」との基盤に立って、健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践することを意味しています。

NPO法人健康経営研究所(2006)

当時は従業員の健康管理、健康診断を受診させその費用面の補助など、企業のマネジメントにおいては法令遵守や安全配慮義務などを優先し、従業員の健康を「守る」ための戦略が第一に考えられてきました。

ところがその後、
① SDGsに代表されるように、サステナビリティ(持続可能性)を高める企業戦略として従業員の健康と幸福への投資を通じて社会をより活性化させる必要が高まってきたこと。
② 従業員のダイバーシティ(多様性)に対して、多様な働き方などのインクルーシブ(包摂性)な経営を創造していく必要性が高まっていること。
③ 少子化により労働力人口を確保していくためには、働き手を共有する副業や兼業等の雇用形態や企業間での仕事のシェアや共創等、新しい共創関係を経営に取り入れていく必要性があること。
④ 従業員の心身の健康増進が経営戦略としての重要性が増してきたこと。

これら世界全体の社会構造が大きく変わったことも踏まえ、
2021年7月に「人資本」を戦略テーマに掲げ、健康経営の「深化」版として定義し直されました。
具体的には、2006年の定義に以下が新たに追加されました。

今後は、「人という資源を資本化し、企業が成長することで、社会の発展に寄与すること」が、これからの企業経営にとってますます重要になっていくものと考えられます。

NPO法人健康経営研究会(2021)

ここで最も重要な点が「人という資源を資本化し、」という部分です。つまり、「人資本」という視点です。

「人的資源」から「人的資本」への転換


従来といっても、現在も多くの企業では依然として、人は「人的資源」と捉えられ、財務諸表でも資産勘定ではなく、「人件費」(コスト)として損益計算書等に表示されています。つまり、「いまある労働力を消費する」その費用として捉える考え方です。

また労働生産性においても、人は「労働投入量」と捉えられ、マネジメントとして労働力(資源)としての人(労働投入量)をいかに効率的に「管理」するかが目的となっていました。

しかし、先述の社会情勢下、企業変革が求められており、新たな価値創造のためには、人は資源ではなく資本として捉え直す必要がある。
つまり、従来の枠内に納める「管理」から、人を活かすという従来の枠にとらわれない創造への「投資」に転換していく必要があります。

つまり、「Cost to Capital」(人的資源から人的資本へ)
これが健康経営においては、今後の経営の戦略テーマとなります。

「未来を築く、健康経営」より
http://kenkokeiei.jp/documents/HealthManagementToBuildTheFurure.pdf

ここまでが、前回の復習となります。

以下では、人を「資本」と考えた場合にポイントとなる観点をいくつか紹介します。

社会課題を新たな市場と捉える視点


VUCAといわれる将来予測が困難な時代には、その予測困難な状況に対応した経営戦略を策定する必要があるといえます。

こうした状況下、SDGsとともにエシカル(ethical)という消費者行動にも対応することが求められています。
エシカルとは倫理的・道徳的という意味で、単に法律を遵守して行動するだけでなく、自ら考えて社会のためになる行動をとることを指しています。
このため、エシカル消費とは、消費者それぞれが自身にとって社会的課題の解決を考慮したり、そうした課題に取り組む事業者を応援しながら消費行動を行なうことです。

健康経営の観点からは、SDGsゴール8「全ての人々のための持続的、包括的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワークを推進すること」に取り組むことが大切とされます。

このため、従業員も消費者と捉えた場合、その企業がSDGs開発目標を達成し、エシカル消費に貢献することが従業員からの信頼獲得につながり、従業員の働きがいを高めることにもなります。

「未来を築く、健康経営」より


コンフォートとコミュニケーション


一方、「人を資本」として考える健康経営を実践する上では、コンフォート(居心地、快適な職場環境)とコミュニケーションの2つが、重要なポイントだと考えられています。

「居心地よく働ける『場』をつくること」
「コミュニケーションを活性化させる『場』をつくること」

この2つの場の形成は、人が「暗黙知」として持つ、未活用の知恵や知識を「形式知」化することに繋がる。そして、「形式知」化された知恵や知識は、企業にとって新たな価値創造の源泉となると考えられています。

このため、「人を資本として考える」ということは、心と身体が健康であることを土台として、従業員一人ひとりがもつ可能性を引き出すための投資だと考えることができます。

「未来を築く、健康経営」より


働きがいが企業価値を創造する


「働きがい」とは、自分に合った仕事に積極的に取り組むことができることです。この「働きがい」を高めるためには、企業と従業員との間の信頼関係が必要です。信頼関係を築いていくためには、心理的安全性を土台として、企業が目指す「ありたい姿」と従業員が目指す「ありたい姿」が、同じベクトルを向いていることが必要です。

そのうえで、従業員がこの企業で働くことで得られる経験やスキルが、自分の価値向上につながることを実感できてこそ、従業員は持続的な働きがいを持ちながら、持てる能力を発揮できるようになります。

このような「企業と従業員による価値共創」を行なうためには、企業側では従業員に対して、法令遵守を前提とする健全な就労状態、コンフォートとコミュニケーションを軸とする、生産性が高く柔軟に働ける職場環境の整備、そして従業員が共感できる仕事のテーマづくりに、積極的に投資することが求められます。

「未来を築く、健康経営」より

最後に


最後に、もう一度「健康経営」深化版の定義(抜粋)を示し、今日お伝えしたかったことを振り返ります。

健康経営とは、

「人という資源を資本化し、企業が成長することで、社会の発展に寄与すること」

NPO法人健康経営研究会(2021)

下の図に示すとおり、経営者の倫理観に基づく経営戦略から始まり、
心と身体の健康づくり(ヘルスリテラシー)、働きやすさ(コンフォート&コミュニケーション)、働きがい(ワーク・エンゲージメント)、生きがい(ウェルビーイング)へとつながり、ひいては企業の成長、そして社会の発展に寄与する。

「未来を築く、健康経営」より

特に私個人的には、最上位概念のウェルビーイングにつながるというところに、とても納得感があります。

とても素晴らしいことだと思います。

今回は健康経営の最新定義をご紹介しました。
ぜひ、みなさんも健康経営に取り組まれてはいかがでしょうか!
ではまた。








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