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【映画レビュー】海外の巨匠たちが東京をテーマに作ったTOKYO!【感想考察】

こんにちは。
TOKYO!
という映画を観たのでレビューします。

2008年公開、3人の監督によるオムニバス形式の映画。3作品につながりはなく、完全に独立している。面白かったです。全体としての評価は7/10。

それぞれの監督情報は以下
ミシェル・ゴンドリー
作品「グリーン・ホーネット」や「エターナル・サンシャイン」

レオス・カラックス
作品「ポンヌフの恋人」や「ホーリ・モーターズ」

ポン・ジュノ
作品「パラサイト-半地下の家族-」


以下ネタバレあり

あらすじ感想考察


1作品目

ミシェル・ゴンドリー「インテリア・デザイン
あらすじ
上京してきたカップルのヒロコとアキラは、ヒロコの友達のアケミの家に一時的に泊めてもらい、家を探す。が資金的余裕もなくすぐには見つからない。不器用なヒロコはバイトにも落ち、自分の役割について神経質になっていく。

感想・考察
ヒロコの体が突然イスになってしまう。最初は戸惑うが、ある男に拾われ満足して生きていく話。ヒロコの志は「誰かのため」で、アキラの言う目指すべき「志」とは違っている。そんな中ヒロコは「イス」に変身してしまうが、「誰かに座ってもらう」・「誰かの役に立つ」ことという明確な存在意義に安心し、満足する
個人の自由が尊重され、自分が何をしたいか「」を持つことが良いこととされる時代に、一石を投じたテーマだと感じたし、リアルな日本が伝わってきた。リアルすぎて胸糞悪いので5/10。


2作品目

レオス・カラックス「メルド
あらすじ
「メルド」と呼ばれる怪人が東京で大暴れする話。

感想・考察
下水道から出てくる怪人「メルド」は、地上に出ては暴れ、地下では普通に休んだりする。その目的は分からないが、なぜ日本で暴れるのかという動機は「日本人は罪のない人間」・「日本人が最も汚らわしいから」だそうだ。
メルドが食べるのは、一文字菊(天皇家(戦時下)の象徴)金(資本の象徴)。戦時中の物が下水道という見えない場所に隠され、現代人は罪のない人生を歩んでいる。
メルドは緑色の服を着ている。これは嬰児/緑子(赤ちゃん)から連想されたものではないか。そうした視点で見ると彼は誰よりも純粋・未熟である。またメルドは赤ちゃんと同様に、なんでも口に入れてしまう。これは理解したい、知りたいという根幹がある。つまり日本人は気持ち悪いけど、理解したいという感情も同居しているのではないだろうか。彼が大虐殺を行ったのも理解したいという感情からきたものだとも考えられはしないだろうか。

彼は生まれたばかりだ。6/10

3作品目

ポン・ジュノ「シェイキング東京
あらすじ
引きこもりの男がピザ配達員の女性に一目ぼれし、家を出る決意をする。

感想・考察
主人公の青年は、11年間の引きこもり。趣味は読書で部屋は完璧整理整頓されている。劇中のセリフも良い。
「日に当たるのは嫌。光に当たるのは好き。」
「僕は動かない。」
と、監督が明暗・動静にこだわっているのが良くうかがえる。

止まっていること」が完璧で、部屋も「在るべきものがそこにある」=「動く必要がない。」状態。
それに対し、登場人物も「この部屋は完璧だ」とこぼす。

そんな折、ピザ屋配達員の女の子に一目ぼれをし、心が動かされると同時に地震が起こる。主人公の心の動きと地震がマッチしている。
確かに、日本で「最も動きがあるのもの」といえば地震であるかもしれない。

外に出た主人公とは反対に周りが引きこもってしまい、誰もが心を内向きに向け外に対して感情を発露しない無機質な世界で、唯一主人公だけが、女の子に対し感情を持って行動する

徹底的に主人公と世界とのズレを描き、引きこもりを表現しきった。
人間は動きや変化によって時間を認識することを思い出させてくれた作品。

明暗、動静の使い方が素人ながらにすごいと感じたし、時間の流れを意識させる演出が上手い。さすがアカデミー賞作品賞を取る監督だ。

あの完璧な部屋に住みたい。
9/10。

すべて個人の感想考察です。別解釈やここは違っているんじゃないかという意見がありましたら是非是非コメントしてください!
ではまた









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