野菜不足でアレルギー増加?喘息・アトピー・花粉症に対するフラボノイドの効果とは
食事とアレルギーの関係に注目して、大阪はびきの医療センターの田中敏郎医師はフラボノイドの抗アレルギー作用について研究しています。2006年に田中医師が発表した論文では、論文では、フラボノイドの抗アレルギー作用のメカニズムについて解説されています。2009年には、田中医師がフラボノイドの一種のケルセチン化合物の喘息・アトピー性皮膚炎・スギ花粉症の緩和効果を明らかにしました。
野菜不足でアレルギーが増加?
近年、日本人のアレルギー疾患の罹患率が増加しています。2005年にはアレルギー疾患の罹患率は3人に1人でしたが、2011年には2人に1人へと急増しました(※1)。
衛生環境の変化・アレルゲンの増加・大気汚染などの理由が挙げられる中、要因の一つとして野菜の消費量減少が指摘されています(※2)。日本人1人あたりの年間の野菜消費量は、1990年から2011年にかけて15kgほど減少しました(※3)。アレルギー疾患の罹患率の急増には「食習慣の変化」が関わっている可能性があるということです。
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食事とアレルギーの関係に注目し、大阪はびきの医療センターの田中敏郎医師は、野菜などに含まれるフラボノイドの抗アレルギー作用を研究しています。
フラボノイドがIgE抗体の過剰な産生を防ぐ
2006年、田中医師が発表したレビュー論文「総説:アレルギーとフラボノイド」では、フラボノイドの抗アレルギー作用について解説されています(※4)。
ポリフェノールの一種であるフラボノイドは、果物・野菜・お茶などに含まれる天然色素のことです。フラボノイドには抗アレルギー作用のほか、抗酸化作用・抗菌作用・抗炎症作用・抗ガン作用・肝臓保護作用など多様な健康機能性があると報告されています。
田中医師は、強い抗アレルギー作用があるフラボノイドとしてルテオリン・フィセチン・アビゲニンを、中程度の作用があるものとしてケルセチンやケンフェロールを挙げています。
アレルギーのメカニズム(出典:環境再生保全機構)
アレルギー症状の一因は、B細胞という免疫細胞が過剰に免疫グロブリンE(IgE抗体)を過剰に産生するためとされています。田中医師の論文によると、フラボノイドにはB細胞のIgE抗体の過剰な産生を防ぐ働きがあるそうです。
田中医師は、フィンランドではフラボノイドの年間摂取量が多い人は喘息の発症率が低いという調査結果を根拠の一つとして挙げています(※5)。フラボノイドの摂取量に注目した田中医師は2009年、ケルセチン化合物による喘息やアトピー性皮膚炎の緩和効果を動物実験で明らかにしました。同年、スギ花粉症の緩和効果もヒト介入試験で明らかにしています(※6)。
そばの新芽はフラボノイドが豊富な野菜
不二バイオファームが栽培しているそばの新芽は、フラボノイドのルチンが豊富に含まれている野菜です。いわゆる蕎麦の原料になる種子よりも、そばの新芽のほうがルチンの含有量は多いことが分かっています。
そばの新芽には種子よりもルチンが豊富
そばの新芽を発酵させると、ルチンはケルセチンに変化します。ほかにも、糖と結合したフラボノイドであるビテキシンやオリエンチンが発酵の過程で増加します。
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不二バイオファームでは、「喘息が発芽そば発酵エキスの摂取で緩和された」という知人の事例をきっかけに、アレルギー作用の緩和効果を2020年2月から動物実験で検証しています。食材として馴染み深いソバに秘められた健康機能性の解明をはじめとして、「食」を通じた安心安全なアレルギー症状緩和の実現に向けて研究を進めています。
参考文献
※1 厚生労働省 2016年 「第1回アレルギー疾患対策推進協議会」 厚生労働省健康局がん・疾病対策課
※4 学会誌『日本補完代替医療学会誌』 2006年 「総説:アレルギーとフラボノイド」 田中敏郎、平野亨、比嘉慎二、有光潤介、河合麻理
※6 科学研究費補助金研究成果報告書 2009年 「アレルギー疾患に対するフラボノイドによる食事療法の開発」 田中敏郎、平野亨
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