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 江國香織さんの本を読むのはこの本が初めてだけれど、どの物語も独特の世界感にあふれ、読者に余韻を残してくれるのでこの一冊でファンになってしまった。ホラーに属するような物語なのに怖さというものを感じさせず、どの物語も主人公の気持ちの温かさや哀愁、郷愁等いろいろな思いを感じさせてくれるのだ。
 この「つめたいよるに」の本に収録されている物語の主人公は、青年、少年、老人であったり、主婦、子供の女の子、独身女性、はたまた、猫であったり、主人公の女性が蛇になったり、貝になったり、豚になったりとさまざまな視点で描かれているところも面白い。
 中でも僕の一番のお気に入りは、なんといってもスイート・ラバーズだ。入院中のおじいちゃんのお話なのだけれど、おじいちゃんが麻子にやさしいわけや麻子のふしぎな感覚が解き明かされていく。
 人の気持ちの奥底に潜む思いというものを読後の余韻の中で感じさせてくれる作品たちばかりなのだ。 

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