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人が支配する宇宙①「人の世界」

2022年現在、人類は太陽系第3惑星こと地球とその周回軌道にあるISS(国際宇宙ステーション)にのみ生息しており、概ねその範囲は地球から500km以内にとどまっている。人類がホモサピエンスとしてアフリカ大陸に発生してからおよそ250万年経過しているが、人類は未だに地球にこびりつく肉片でしかない。

しかし私が知る中で人類以上に創意工夫と生命力を兼ね備えた生命体もいない。

その優れたスタミナと器用な両手、高い毒耐性により様々な動植物を農作物や家畜として共生関係を結び、その草木や獣骨や獣毛や腱膜や石砂を縦横無尽に活用することで自身の身に迫る死の危険へ対処し続けてきた。

ならば我々人類はもはやこの世に恐れるものはない、無敵の生命体となることができたのだろうか。その答えは否である。人類が神を自称するには対処できない問題が山積みである。

単純に環境問題をとっても、地球温暖化は現在も進み、農業用地下水や石油の枯渇も懸念される。毎年264万haの規模で砂漠化が進む中、コンクリート用の上質な砂は採取が難しくなっている。鉄鉱石や石炭についても採取が簡単で高純度のものは枯渇しており、一度人類の文明がリセットされてしまえば2回目の産業革命を起こすのは難しいのではないだろうか。そもそも農作物にとっても現在の人口はハーバーボッシュ法による窒素肥料の供給がなければ成り立たず、リン酸肥料の枯渇については解決の兆しが無い。

その他、純粋に天体スケールの災害についても対処の術を持っていない。先の環境問題についても概ね地球規模の問題であるし、北アメリカ大陸はイエローストーンの破局的噴火や恐竜絶滅を招くような隕石の衝突なども挙げられる。

ではこれら惑星規模の問題にはやはり為す術もなく人類は緩やかな衰退をしていくのか。その答えも否である。

皆さんの仕事や生活を思い出してほしい。問題を解決するには視座をひとつ上昇させるのが良く、外部リソースの投入がその最たる例であることはご存知のはずだ。

資源が不足しているならば外部から供給し、廃棄物が過剰なら外部へ廃棄する。地球という一つの惑星の問題を解決するならば少なくとも地球を一括して観測できる体制の確保が必要であるし、人工衛星や惑星規模ネットワークによりそれは完了しつつある。であれば残されたのは外部との物質のやり取り、つまり地球外の天体たる月や火星、小惑星など全太陽系のリソースを運用すれば地球の問題は解決が可能ではないだろうか。

そして何よりも、残念ながら人類の地球居住が不可能となった際に脱出先として他惑星への移住はやはり魅力的である。

まさに今、人類はその生存本能に従い、多惑星種族へ変化しつつある。


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