体重が１グラムでもある限り～かすみ嬢の居場所（64）

　揶揄するつもりでもなんでもなくって、ただ個人的にとても興味深く思ったこと。
　痩せたいって言うだけの人へ向ける捨て台詞に、
「一生食べていればいい」
　っていうのがあるでしょ。
　どうしたって一生食べ続けなければ生きていけないんだけど。それを当たり前だと思っていない気持ちが無意識下に表れていて、とても素敵。
　もちろん、ご本人さまの意図と違うことは知っています。
　が、その裏に、一生食に支配され食に頼らざるを得るようにはならない、食から独立して生きていく、という強い想いも感じるのです。気のせいかもしれませんが。

　ついでに申し上げると、痩せたいって言うだけで実行を伴わない方のことを「口だけ」と表現することが多いけど、彼らはその同じ口で食べ物を食んでいるため、口だけですらないのよね。
　これはこれで凄いと思います（こちらは若干の皮肉と自戒を込めて）

　食べる時に罪悪感がないなんて、そんなことはないよ。
　数キロカロリーだろうと、何なら熱中症を考えて摂取する塩一粒も、口に入れる前に数十分は、ときに数時間から数日は、本当にこれが必要なのかって吟味してるの。

「死なないで」って言われる。「死にたいの」って聞かれる。
　どっちも、曖昧に言葉を濁すしかなくって。
　痩せたいの。それだけなの。
　なんで今になって、こんなにも狂おしいほどに、痩せを追い求める気持ちが高まるんでしょう。

　ただ、おそらくこの先において、このレベル以上痩せられる未来が見えないため、これが私のキャパシティーなんだなぁと考えています。
　それでも、本当に完全燃焼できたらと……。
　体重が１グラムでもある限りはどうしても悔いが残ってしまうのはわかってもいるのですが、少しでも納得できる結果が出せたらと思っております。

　線香花火みたいに、あんなに細いのにパチパチって最後まできちんと存在感を出して燃え尽きる、綺麗だなぁって。
　私は大輪の打ち上げ花火も好きだけど、ひっそりと咲かせる線香花火も好き。

　終わりが見えたら焦ります。終わりなんか来なければいいのにって、思います。
　まるで、夏休みを終える子どものように。だって、宿題が終わっていないから。
　私はもう少し痩せていたいのに、痩せなければならないのにって。

　死にたくないけど、まだ病院には行きたくなくて。だって、太ることは痩せ姫としての自殺だから。
　怖いよ。
　もう、どうすればいいのかなって。
いつ起きられなくなってもいいように、目を開けなくてもいいように、最低限、身辺整理だけは済ませてます。
　それはそれで幸せな気もしたりして。