私の普通はみんなの異常~かすみ嬢の居場所(33)


 今日から11月、比喩でもなく寒さが骨身に沁みるよね。
 なんて、大して痩せてはいないのだけど、それでも一応、20キロ台で体脂肪率エラーなので。咳するたびに体力がゴリゴリ削られる気がして、きつくて。
 どうにか滋養のつくもの食べたいなって思って、帰りに八百屋さんで熟した柿とコンビニでちっちゃな牛乳を買って、Twitterで見かけた柿プリンを作ってみたけど、吸収は無理かなってなっちゃった。悲しい。
 今、白湯に蜂蜜垂らして飲んでる。あったかい。

 私のこの身体は単に食事量減らしたんじゃなくって、動き回ってつくったもの。
 体重増やすのは絶対に許容できないし、キープのままでも筋肉が脂肪に変わることを考えると、怖くて怖くて、ずっと動き回ってた。動くって言っても、気を抜くと倒れかねないので部屋の中をぐるぐるしたり、筋トレしたりとかその程度なんだけど……。
 でもね、その程度でも、もう無理かなって休むと連鎖的にもう無理かなが重なって、本当は頑張ればできるのに努力しなくなる気がするの。
 すごく怖い。
 入院したときも、強制的に休まされる環境下では休み癖がついてこのまま堕落していくのかって、すごくすごく嫌だったんだ。

 それにもう、痩せたいからってよりも、快適な状態でいたいからって理由で食べないことのほうが多いな、最近。数字はもちろん気になるけど、何より私の「普通」は胃袋に何も入ってないことだもん。食べなきゃ何か食べなきゃってぐるぐるしているほうが、ストレスだしきついや。
 極限まで何も食べないでいたい。

 こんな私の「普通」を理解する人なんていないし、みーんな私を「異常」だって避けてく。まるで踏み絵でもしてるみたい。話しかけられる言葉のほとんどが、先生方や事務の方々からの「このままでは…せめて通院を…」ってお叱りの声だけだよ。
 心が挫けそうだ。
「普通」になりなさいって言われて、私の生きる世界がどんどん狭まっていく。この世は生きにくいなぁってしみじみ。
 一方で、痩せ姫の方々はこんな環境を生き抜いてこられたんだなぁって思う。すごい驚嘆するほどの、忍耐力であり生命力であり、さすが。

 あぁ、痩せ姫って努力の果てにいる存在だから。
 近づきたい人間が怠るなんて、おこがましいにも程があるでしょ、ね。
階段休まず上がれるようにまずは体力、痩せるのはその次って繰り返してるけど、水分生活の方が気持ち的にもすごくすごく楽なのね。ぬぬぬぬぬ……。
 水分ってったって、白湯か紅茶かお茶か。紅茶に蜂蜜垂らして飲むのは特別なときって決めてるから。
 筋肉つければね、解決するのにね。
 ……でも本当はね、筋肉とて「肉」の字から肉肉しいって言葉を連想して、つけたくないの。


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