見出し画像

ひとつだけやり切れなかった2022年。

たった今、年内最後の原稿を書き終えて、間髪入れずに缶ビールを開けた。
頭も体もオフにして大晦日に雪崩れ込もうと思っていたのだが、いかんせん脳がまだハイなままなので気持ちが落ち着かない。
時間ないから今年はいいやと思っていたけど、手が空いた途端に「今年の振り返りをしてないな」という気持ちが頭をもたげてきて、落ち着かなさに拍車をかけているような気がする。
こういうのは放っておくと、しばらく頭の片隅に居座るので厄介だ。
それに、今年はひとつだけやり切れなかったこともある。
今年のことは今年のうちにケリをつけて、まっさらな気持ちで新年を迎えたいので、振り返りを書き切ってから2022年を終えたい。


【1月】『noqa hair design』がオープン!

去年の今頃は、妻の美容室の開店準備で壁にペンキを塗ったり、タイルを貼ったりしていた。もう遥か昔のことのようだけど、「建物って自分たちでいじれるんだ」という実感を得られたのは大きかった。コロナ禍での船出で、どうなることかと心配してたけど、気づけば2ヶ月先まで予約でいっぱいというサロンになっている。僕は横で眺めてただけだけど、すごいことだなと思う。
元旦には息子が生まれて初めてのソリデビュー、函館出身の漫画家で『よりみちエール』の作者でもある敦森蘭さんとのトークイベントや、函館市主催の移住セミナーにも登壇した。


【2月】道南ユースマガジン『each』を刊行!

https://g-sq.jp/wp-content/uploads/2022/05/each-VOL.1.pdf

道南の学生たちと進めてきた、ローカルマガジンを作る講座が完結。道南ユースマガジン『each』を創刊することができた。完成した本を手にした制作メンバーが「世界中の人に見てもらいたい!」と言っているのを見て、胸を張れる一冊になってよかったなと心から思った。泣ける~。

道南で事業継承のマッチングサービスを行なっている『アノニギワイ』とお仕事をさせてもらった縁で、函館出身の方が代表を務めるクリエイティブエージェンシー『monopo』の社員さんインタビュー企画がスタート。毎回クリエイティブ脳が刺激されまくる取材で、自分の血肉になっている。スープ作家の有賀薫さんと、カレースター・水野仁輔さんの対談記事も書いた。

【3月】人生初の演劇体験

函館の学生たちが暮らす『わらじ荘』からのオファーを受け、一回り以上も年下の人たちに混じって人生初の演劇に挑戦。顔を突き合わせて作品制作に取り組む楽しさや、練習の先に本番があるという過程、終わったら形に残らない寂しさなど、演劇をやる側の面白さを知ってしまった。年齢が半分以上も下の人たちから「一緒に新しいことをやろう」と誘われたのはすごく嬉しかったし、本当に得るものばかりだったので、いくつになっても気軽に声をかけてもらえる人でありたいと思った。

いつもお世話になっているキリンのお仕事では、精神科医でミュージシャンとしても活躍する星野概念さんにインタビュー。「曖昧さを恐れる必要はない」と言われて、すごく生きやすくなった。「わかったと思ったら危険」という姿勢を貫く優しい方だったな。『イケウチな人たち。』でも、久々に記事を書かせてもらった。

昨年から準備を進めてきた函館空港のリニューアルで、1階到着ロビーに新しい案内所『LOCAL INFORMATION がっつり道南』がオープン。IN&OUTでウォールインタビューやロールカーテンの写真、函館カラーハントの様子をまとめた映像の制作を担当できたのも嬉しかった。peepsの吉田編集長のインタビューが最高なので、ぜひ読んで欲しい!

【4月】憧れだったラッパーの田我流さんにインタビュー!

言葉を扱う表現者として、ローカルで根を張って活動する人として、ずっと憧れていたラッパーの田我流さんにインタビュー。「社会にペースを握られないために自分の生き方のスキルを磨く」というお話に痺れまくった。忙しくて日々の余裕を失っている人に届いてほしい~!今年一番緊張したし、最も影響を受けた取材だったと思う。声をかけてくれたツドイの今井さんに感謝。

日本ハムさんが新たに立ち上げたサイト『Meatful』で、最初の特集地域に道南が選ばれ、函館、七飯、大沼、長万部の旅行エッセイを執筆。まだ見ぬ道南の魅力をたくさん知ることができた。函館ではカール・レイモンさんを巡る旅をしたよ!NHKの『ほっとニュース函館』に出してもらったり、テレビプロデューサーの佐久間宣行さんが編集長を務める『JINSPARK』でも記事を書かせてもらった。


【5月】函館ロータリークラブに登壇!

創立88年の伝統を誇る函館ロータリークラブさんの卓話に登壇。会場は五島軒だし、以前登壇された方から「函館の重鎮の方々が集まる会」と聞いていたので身の丈の合わなさに緊張したけど、皆さん興味を持ってくださって嬉しかった!

創刊から制作に参加させていただている環境省の『自然の郷ものがたり』が発行。その後、グッドデザイン賞を獲得した。おめでとうございます!早くもeachのvol.2が始動する。


【6月】函館空港に『道南おせっかい横丁』が完成!

酒蔵やブルワリー、ワイナリーが次々と誕生し、おつまみの開発も盛り上がっている道南エリア。そんな道南のお酒とおつまみを紹介する売り場として、函館空港に『道南おせっかい横丁』が誕生。さのくん率いるトーチと共に、このプロジェクトのブランディング担当し、東京で開催されたイベントにも登壇した。ロゴもコピーも難産だったけど、今まで東京に流れていたような案件を北海道の仲間たちと一緒に受けられたのは自信になった。自分の街の空港で仕事ができるなんて嬉しい限りだ。

【7月】コロナ禍でのフジロック!

コロナの感染者が増えるなかで行われたフジロック。緊張感のある現場だった。今年はT字路sのライブのレポートを担当。どんなにちっぽけな日常でも丸ごと肯定してくれるような優しく力強い歌に背中を押され、メモをとりながら号泣した。
東京に住んでいた頃によく行っていたPADDLERS COFFEEの松島さんにインタビューさせてもらったり、SB食品さんの企画でインド料理店・ハバチャルの飯塚俊太郎さんにも取材。アチャール飲み、早く実現したい!一ヶ月で3回も東京出張があった。


【8月】函館のケーブルテレビで『ミライハコ』がスタート!

NCVさんからお声がけを頂いて、道南で未来に向けた取り組みをされている方々のお話を聞くテレビ番組『ミライハコ』がスタート!番組のナビゲーターとして、初めてテレビのレギュラー出演をさせてもらうことになった。初回に登場していただいたのは、シエスタハコダテの統括責任者である岡本啓吾さん。道南の未来を明るく照らすようなお話をたくさん聞けた。お盆休みは久々に黒松内へお墓参り。雑誌『TURNS』で、箱バル不動産の蒲生さんの記事を書かせてもらった。




【9月】アーティストインレジデンス@函館西部地区

ANAさん、はこだて西部まちづくRe-Designさんと共にアーティストインレジデンス@函館西部地区を開催。「地域はアーティストに何を語りかけるのか?そして、アートは地域に何をもたらすのか?」というテーマでトークイベントを開催したり、街案内などをした結果、函館を気に入った4人のアーティストが家を借りるという展開に。ポスターや動画、レポートなど、すべてを函館のクリエイターと作ることができたのも大きな収穫だった。

釧路・根室の旅行記を書かせてもらったドット道東の『ビジョンブック』がリリース。それに合わせて、ライブ配信にも出させてもらった。北海道の大先輩で、日本を代表するパンクレーベル「Less Than TV」の谷ぐち順さんのインタビューも公開。知らないことや勝手なイメージは、無意識の偏見に直結していると実感させられる取材だった。


【10月】ドット道東の出版イベント!

ドット道東が発行した『ビジョンブック』の出版イベントを函館蔦屋書店で開催。前回のガイドブック刊行の際に、コロナの影響で中止になっていたイベントのリベンジをようやく果たせた。イベント開催に合わせて、ドット道東代表のタクローとFMいるかにも出演。道東と道南の行き来がもっと増えるといいなという話をした。
創刊号が大好評だった『each』の第二号を発行。今回は学生という枠を取っ払って、道南の20代の方々と一緒に作った。インタビュー、エッセイ、漫画に戯曲など、eachという名前に相応しい1冊になった。


【11月】ハコダテアンチョビの発売!

https://www.instagram.com/hakodateanchovy/

道南でとれるようになったにも関わらず、食する文化がないために価値のつかなかったマイワシを使用したハコダテアンチョビが完成!僕は妹と共に、ラベルのデザインを担当させてもらった。お陰様で評判がよく、自分でも出張の際のお土産で買わせてもらっている。そのまま食べても、ソースにしても美味しいよ!

去年、ローカルマーケットを開催した大町改良広場では、「欲しい暮らしは自分たちでつくる」をコンセプトにしたイベントを開催。大町と接点を持つスピーカーの方々に登壇していただき、空き地から考える街の未来について語り合った。ジモコロでは、札幌に行くたびにお世話になっているUNTAPPED HOSTEL/Seesaw Booksの神さんに取材。思考も行動もダイナミックで、会う度に背筋が伸びる先輩だ。


【12月】京都で新しい集落を作る『A HAMLET』プロジェクトのルポ

京都一ファンキーな不動産屋『川端組』と、ストリート建築集団『々』の強力タッグで、新しい集落を作っている『A HAMLET』の現場レポートを執筆。行くまではまったく想像ができなかったけど、一緒に工事を手伝って、お酒を飲んで、話をしているうちに、どんどん土地や人に惹かれていく自分がいて、その変化が心地よかった。次は春に行く予定。定期的に関われる土地ができるのは嬉しい。

Gスクエアと一緒に進路相談企画も実施。札幌の兄貴・神さんと、函館で宿泊施設の運営や建物のリノベを手掛ける「箱バル不動産」の蒲生の対談でファシリテーターをやらせてもらった。トーチライトでは、立ち上げ時から、いつかはお話を伺いたいと思っていたtofubeatsさんにインタビュー。聞き手の思い入れがたっぷり詰まった記事の編集を担当した。「HIP HOPをやるならアメリカ」のように、〝本場〟じゃない人がやる意味を肯定していくというお話がすごくよかったな。


仕事を中心に振り返ってみると、ものすごく幅が広がった1年だったと思う。地元の新聞、ラジオ、テレビで月一の連載や出演をやらせてもらうようになり、企業のブランディングにも関わるようになった。

東京にいた頃は、純然たるライターとして仕事をしていたけど、今は地域の何でも屋になりつつある。だけど、地域で新しい試みをするためには、「昔すごかった人」ではダメで、今も現役で最前線の仕事をしている必要がある。そういうバランスを維持できていることには、昔から付き合いのあるクライアントの方々に感謝しかない。しっかりと期待に応えられるよう、そしてそろそろ恩返しができるよう、スキルを磨きながら大きなステージにも挑戦したいと思う。

今年、唯一モヤモヤを抱えっぱなしになってしまったのは、夏から制作を進めていた『生活圏』というZINEを作りきれなかったことだ。いろんな方に協力してもらったり、取材もさせてもらったのに、自分の状態が整わず、ストップしたままになっている。毎日一度は思い出す心残りだ。楽しみにしてくださっている声もあるし、各方面に迷惑もかけているので、時間とリソースを注ぎ込んで、納得のいく一冊を作り上げたい。

さらっと振り返るつもりが、思いのほか長くなってしまった。気づけば、500mlのビールが3本も空いている。酔って冗長になるのは、飲みの席でも文章でもよくないですね。そろそろ切り上げたいと思います。

今年も本当にたくさんの方にお世話になりました。お陰様で充実した1年になりました。来年もよろしくお願いします!それではみなさん、良いお年を~🖖

写真:土田凌


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?