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幸福度をあげる、ということ

現在妊娠9カ月。そろそろ臨月に入るというタイミングで
新型コロナウイルスに感染した。
感染経路は不明、夫と長女は感染せず、私だけ自宅で隔離状態になった。
最初は関節痛と悪寒から始まり、どうにも我慢できずにカロナールを服用。
それがおさまると、次は激しい喉の痛み。
唾液を飲み込むのも命がけ、といった状態になった。
巷で聞いていたコロナの症状は様々だったけれど、
「まさか自分が…」
と思ったのは否めない。
妊娠しているから、人一倍体調管理には気を付けていたはずなのに…
恐るべし、新型コロナ。

そうした症状がおさまり、自宅隔離もなんとか乗り越えた数日後。
味覚と嗅覚が消えた。
これが世に聞くコロナ後遺症か…
またもや
「まさか自分が…」
と思いながらも、かかってしまったのは仕方がない。
感覚が戻ってくるまで待っていよう…と思っていた。
しかしそこから、急に鼻づまりが酷くなった。
それはもう、経験したことのない鼻の詰まり方だった。
私は鼻炎もちでもなければ花粉症でもないので、鼻が詰まるという経験を人生であまりしたことがない。
鼻で呼吸ができない、ということがとても辛かった。
しかも今度は詰まるだけではなく、あり得ない色の鼻水まで出てくる。
(汚い話で申し訳ない…)
調べてみると、“副鼻腔炎”、“蓄膿症”という文字が出てきた。
これが副鼻腔炎というやつか、と思った矢先に、激しい顔面痛、そして歯痛が始まった。
またもや調べてみると、これも副鼻腔炎の症状らしい。
とにかくこの痛みが辛かった。なんせ痛すぎて寝られない。
妊娠後期に入っているため、それでなくとも寝づらいというのに。
そこに顔面痛と歯痛である。踏んだり蹴ったりだ、と思った。
意味もなく腹が立った。
とにかくこの痛みをどうにかしたくて、ちょうど次の日に妊婦健診があったため産婦人科で主治医に痛みを訴えた。すると、
「産婦人科で鼻の治療はできない。耳鼻科か内科へ行ってください。痛かったらカロナール飲んでいいから」
と言われ絶望。この痛みを取ってくれないの…?
今思えば理不尽な怒りだと重々分かってはいるのだが、このときはとにかく痛くて痛くて、主治医にまで腹が立ってしまった。
腹立たしさそのままに、かかりつけの耳鼻科に行って、なんとか抗生剤と漢方が処方してもらえた。
鼻の中にカメラを入れてみたら、顔面びっしり膿が溜まっていたそうだ。
コロナ感染による免疫力低下からくるものだと説明された。

そこからは、とにかく投薬治療と鼻うがいの毎日。
鼻づまりが酷いので、鼻うがいができないなんて日もあった。
薬を飲むと少しずつ痛みやしんどさは軽減されたが、それでも痛いものは痛い。
痛みとは、ここまで人の体力気力を奪うのか、と慄いた。
痛みによって正常な判断ができないし、気持ちのコントロールもできない。

たかが副鼻腔炎、たかが顔面痛、たかが歯痛。されど痛みは痛み。

薬を飲んで休むしかない、ということが分かっていても、どうにかできないかと足掻く日々。
出された5日分の薬を飲み切ったとき、ようやく痛みがマシになってきていることに気づいた。
まだ顔面の奥の方が痛かったため、再度耳鼻科を受診して追加の薬が処方された。
それでも、ここ数日の激痛に比べたら、なんでもない痛みに感じられた。
痛みがなくなってくると、鼻詰まりも軽減。そしてなんと、嗅覚と味覚が戻ってきているではないか…!
嬉しい!嬉しい嬉しい!
ご飯がとてもおいしい!
近所に咲き乱れる紅梅の匂いがわかる!
ああ、なんて幸せなんだ!

大げさではなく、本当にそう思ったものだ。
どうやら人の『幸福度』というのは、こんな場面でもあがるらしい。
『病気や痛みから解放され、健康になっていく過程で、人は強く幸福を感じる』ということも分かっているらしい。
その幸福度は、どんな幸福にも勝っているかもしれない。
健康が一番、なんて軽々しく言うけれど、皮肉なことに健康であるときほどそのことには気づきにくい。
長くもあり短くもある人生、できれば幸福でありたいとは思うけれど、こんな形で幸福度はあげたくない。
できれば健康である毎日のなかで、ゆったりと幸福を感じていたいものである。
それにしても、本当に痛くて辛かった。
もうこんな経験はこりごりである。

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