女性の人生に口出しする「生産性おじさん」が、かえって生産性を下げてるんじゃないか説。

さいきん選挙応援演説で、とある女性候補者さんの「功績は子どもを作ったこと」という、ぜんぜん応援になっていないことを言った政治家さんがいました。

https://www.asahi.com/articles/ASM7D54ZTM7DULFA02J.html

やれやれ。また「生産性おじさん」が出たなと思いました。

生産性おじさんとは、結婚して子供を産むことが人生で成し遂げるべきことであり、生産性の高い生き方だと悪気なく思っている人です。

彼らの常套句は・・
「早く結婚しないと手遅れになるぞ」
「仕事の次は旦那さん見つけなくちゃね」
「子供は?」
など女性は耳タコかと思います。

政治家さんだけでなく、職場や学校、地域社会、親戚や家族など、どこにでも生息されています。どんなに性格が良かったり、仕事ができる人にも、生産性おじさんはいます。もちろん生産性おばさんもいますが、社会で幅を利かせているのは男性が多いため、生産性おじさんと呼ばせていただきました。(そうでない男性には申し訳ないのですが、これが私から見える現実です。)

私は生産性おじさんの多い環境にいたのですが、いまは生産性おじさんのいない環境で働いています。両方を経験した身として、生産性おじさんのいない職場の利益についてレポートさせていただきます。

・仕事に集中できます
以前は、生産性おじさんがふらりとデスクにやってきては、「彼氏いないの?やばいよ」とコミュニケーションを取りに来ていました。また宴会でも必ず一度はその話題になりました。私がオフィスのデスクでまで出会い系サイトや婚活サイトに入り浸っていたり、彼氏や配偶者がいないことを悶々と悩んでいたのは、このような背景と無縁ではないと思います。いまは単純にすごく忙しくて、みんな仕事に集中しているので、会社でそんなことを話す暇がありません。仕事に集中できるようになり、早く帰れるようになりました。もしかしたら生産性おじさんは、他人のプライベートに気が散るほど集中力がないか、単に暇なのかもしれません。

・判断力が上がります
仕事とは小さな判断の積み重ね。その時その時で、最適な判断をしなければいけません。以前は、どのようにすれば28歳で結婚して30歳前に出産できるかを、仕事中でさえ悩んでいました。大体無理ゲーという結論になるのですが、それでもなお悩んでいました。これは私に人生の不安感と焦燥感を与え、判断を鈍らせるのです。というか、自分の判断力を行使していいとすら思えませんでした。いまは職場で余計なことに悩まず、判断力が100%仕事に向けられるようになりました。不安定だった精神が安定したのだと思います。

・自信が持てるようになりました
セクハラを容認するような環境にいると、たとえ他の女性が被害を受けていたとしても、自分の中にまで女性としての劣等感が芽生えていきます。以前はよく「ブスだから」「未婚だから」「ババアだから」とか仕事中に自分を責めていたのですが、そのようなことを思わなくなりました。というか忙しすぎて、劣等感を持つ暇がなくなりました。女性としての劣等感がなくなったことで、なぜか仕事にも自信が持てるようになりました。例えばプレゼン一つとっても、自信がある人のプレゼンの方が説得力が出ますよね。もちろん傲慢ではいけませんが、日本女性はそもそも自信がデフォルトでないので、自信があるくらいの方がいいのではないかと思っています。

これらのことを足し合わせていくと、結果的に仕事の生産性が上がったと言わざるを得ません。あれほど生産性にこだわっている「生産性おじさん」が、周りの生産性を落としているとは、なんと皮肉なことでしょうか。

生産性おじさんの害と、彼らがいないことによる利益を知った私は、リアルライフでも、生産性おじさんを退治できるようになりました。
例えば、結婚や子供についてどうこう言ってくる男性に、注意喚起できるようになりました。結婚や子供に悩んでいる女性に、「責めるべき対象は自分じゃない」と言えるようになりました。また私の中に長年にわたって形成された、内なる生産性おじさんと立ち向かえるようになりました。

もし私がこれから結婚や出産をしたところで、
「あなたのおかげで結婚できました!」「子供ができました!」と生産性おじさんたちに感謝することはないでしょう。

ところで仕事の生産性を上げるのは、有益だし必要なことだと思います。なぜなら私が会社から給料をもらって仕事をするという契約をしたからです。でも私生活において、私は誰にも給料をもらっていません。終身雇用の時代は、会社が人生を丸抱えしてくれていましたが、もうそんな時代ではありません。私が私の人生の経営者です。結婚や出産といった個人的なことを、生産性という尺度で勝手に図らないでほしいです。

さらに政治家の生産性おじさんに関しても、思うところを言わせてください。

結婚して子供を3人作るという契約を、政治家さんとした覚えはありません。


私は国に税金を納めて、社会システムや政治家さんの生活を支えています。政治家さんは、私の人生の経営者ではありません。だから私の人生を生産性でどうこうというと彼らが言うのは違うのではないでしょうか。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。私は日本中にあふれている、そして自分の中にも住み着いている「生産性おじさん」たちと戦うあなた様を心から応援しています。

※こちらは全て素人の体験に基づいた個人的な意見です。