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Negro-Webinar#1

Onorata Langhe Favorita / Cescu Dolcetto d'Alba

はじめに


今回はWebinar専用資料ですので、味わいなどのテクニカルはあえて載せないでおこうかと思います。テクニカルを先に目を通してしまうとどうしても先入観が入ってしまうので、今回は個々のリアルな感想を伺いつつ楽しみながらお勉強にお役立ていただければと思います。

その代わりに今回のワインに使われている品種について書いてみました。よろしければ目を通してみてください。

因みに今回ご用意したNegroというワイナリーですが、実は広く星の数ほどの生産者がいるピエモンテ州の中でもかなりの大御所でして、その歴史は3世紀以上で1670年にはこのワイナリーが存在し、ブドウの栽培とボトリングをしていたことが記載されています。後の説明で登場しますがBruno Giacosaの歴史とほぼ同じです。


Onorata Langhe Favorita"名誉"という意味の込められたワイン


使用品種:Favorita
ステンレスタンク
地質:石灰
仕立て方:グイヨ
樹齢:20年
収穫方法:手摘み
年間生産本数25,000本
植樹間隔:10t/ha

Favoritaはタナロ川右岸主にロエロ近郊で栽培が盛んなピエモンテ州の土着品種(ということになっています)です。

元来、VermentinoやPigatoと品種特性や収穫時の仕上がりが似ており、元々の源流は同じであると様々な研究者から言われているブドウでした。そのためどことなく風貌が似ている印象を受けます。

近年DNA鑑定のより詳細な結果が判明しVermentinoと同一遺伝子であることが判明したようですが、現在も同一ではないと正式に否定されたという文献も入り乱れていたり、個別に品種登録されている&イタリア人生産者は別だとプライドを主張するため、正直なところ僕にはよくわかりません。
また、Vermentino種は41種類のシノニムがあり、とにかく面倒くさい品種です。

ちなみにVermentinoの起源はスペインにあるとされているため、Vermentinoはコルシカやサルデーニャ、トスカーナ、フランスではラングドックルーション、プロヴァンス等、主に沿岸部や島での栽培が盛んです。これはあくまでも僕の想像ですが、ドルチェットと一緒にリグーリアから伝わったのではないでしょうか?
VermentinoとFavoritaが遺伝子配列的に同一でも味わいがVermentinoがややハーブなどが強く出てFavoritaがミネラルと青リンゴなどの果実感が先行する等の違いが出るのはテロワール違いによるもので、生産エリアが地中海性気候の恩恵を受けるとVermentino、大陸性気候だとFavoritaのようなタイプになるようです。

品種としての特徴が味わい以外にもあり、通常の酒造用白品種に比べ比較的ベリーサイズが大きいとされています。その為、ひと房あたりの果汁量が多く取れることで有名です。

上記理由からロエロ付近では最もポピュラーな白ブドウ品種としてテーブルワインに使用されるケースが多い品種になります。

ロエロなのにArneisではないのかと疑問に思われる方もいる事でしょうが、Arneisはワイン法として確立することに成功した故に有名ですが、一時は※2つの生産者しか育てていない絶滅危惧種と言っていいほどに減少し、品種特性として栽培の難易度が高いことで有名な品種です。その為現地での消費が多いのはFavoritaとなります。

※2つの生産者というのはViettiとBruno Giacosaですが、ご存じの通り彼らはBaroloの有名生産者ですので栽培に注力することなく、1980年代に入るまでは『ただ持っている』状態でした。Negroは独自にArneis株を取得し、パイオニアとしてArneisを育て、1973年にアルネイス100%の辛口白ワインを生産しました。(その他の生産者は1980年代に入ってからのピエモンテ州全体の白ワインブームで作り始めています)現在Negroはアルネイスだけで6種類のワインを作っていますが、これは井上が知る限り最多です。




Cescu Dolcetto d'Alba


使用品種:Dolcetto
ステンレスタンク使用
地質:粘土、石灰、泥灰土
仕立て方:グイヨ
樹齢:40年
収穫方法:手摘み
年間生産量:15,000本
植樹間隔:10t/ha

冒頭で謝罪します。このワインのお名前Cescuですが、方言の為意味が解りません。弊社のイタリア人をもってしても解読不能でした。。。ピエモンテではパスタの事をプリンと言ったり(アニョロッティ・ダル・プリン)タリアテッレがタヤリンなどかなり特殊です。

Dolcettoはフランス発祥という説とリグーリアからピエモンテに伝わったとされる説の二つがある品種です。

Dolcettoとは『少し甘いもの』を意味する言葉ですが、ブドウの糖度や特性に由来するものではないとされています。


品種特性としては非常に早熟で、言い方は悪いかも知れませんが、ピエモンテで有名な品種であるネッビオーロやバルベーラを醸す間にリリース出来る繋ぎの資金源として生産者が栽培することの多い品種です。

そのため非常にコストパフォーマンスに優れ、且つ著名な生産者が作ってる事が多い品種でもあります。

官能表現では特にリコリスと表現されることが多く、他にはブラックチェリーやプルーン、アーモンド等が挙げられます。
僕としてはリコリスのニュアンスはドルチェットで覚えることをお勧めいたします。


殆どの生産者は長期熟成を行わずにリリースしますが一定数、熟成ワインも存在します。長期熟成をしない理由としては上記の片手間感がなくなってしまうためにコストパフォーマンスが非常に悪くなってしまう事のほかに、還元香が発生しやすいとされているためです。


リグーリア州では同品種は『オルメアスコ』と呼ばれ、Ormeasco di Pornassio(D.O.C)が有名です。


D.O.C.GとしてはDogliani(ピエモンテ州)が有名で、11年にDolcetto delle Langhe MonregalesiとDolcetto di Dogliani SuperioreとDolcetto di Doglianiが合わさり一つのD.O.C.G.となりました。
現在イタリア以外ではアメリカ・カリフォルニアでも栽培が行われいる品種です。


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