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土地は人を変える

1月末に演奏会が終わった。
半年もかけて練習したのは
小学校の器楽部以来かもしれない。
コンサートマスターの隣で、
たまには代行もして
ほとんど休まずに練習に参加した。

舞台では、他のパートを見ながら
客席やホールの響きを感じて
余裕を持って弾けた。
いままで積み上げてきたもの、
たくさんの方々の表には出ない仕事。
それらに感謝をしたくて、
オーケストラのSlackに長々と書き込みをしてしまった。

また、2月には弦楽合奏をする機会があり
コンサートミストレスとしてソロも弾いた。
これも、高校生だったジュニアフィル以来。
11月には自分で企画している室内楽の会もある。
演奏技術がどうこうではなく、
同じオーケストラの方々に
一人一パートの楽しさを知ってほしいという
おせっかいな気持ちもあって企画した。

先日、3か月ぶりに川崎の家に行った。
ノースポールやハクモクレン、モモが咲き、メジロがさえずる。
そこに住んでいたころは
都会なのになんて自然豊かなのだろうと思っていた。
その家に住む前は、高速道路の横にある
葛飾区の宿舎だったからかもしれないが。

しかし、本物の自然を知ってしまったあとでは
すべて人工的なものに感じてしまう。
植えられた樹木、花壇の花、
コンクリートで固められた道路、
人の多さ、建ち並ぶマンション…。

おそらく、来年の4月には関東に戻る。
そうしたら、また都会の生活に慣れていくのだろう。
けれども、私はこの土地がとても好きになってしまった。
高くそびえる木々、
冷たいけれども澄み切った空気、
たくさんの山々、星空、
オオハクチョウ、二ホンリス、渡っていくマガンの群れ、
人口密度の低さ、おいしい食材、
寒いぶん、あたたかい心を持った人々。

あと一年。
この幸せな土地で、謙虚に、そして楽しく
時間を過ごしていきたいと思う。
そして、ここを離れても何度も訪れたいと思う。
たくさんの人にとっては、遠くて知らない寒い場所。
でも、住んだら絶対に好きになる。
それが岩手県。

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