100年続くイノベーションの歴史から、あなたが起こすべきイノベーションを考えてみましょう!![事業編 #26]
リチャード・ウォーレン・シアーズの事業は、鉄道会社の電信技手時代、時計の卸売りの内職から始まりました。(中略)
環境変化をとらえた同社のイノベーションの効果は、1970年代まで続きました。
【物語で学ぶ シアーズ物語ー「顧客創造」の真髄】
1870年代から約100年続くイノベーションの歴史です。
シアーズといえば、アメリカの家庭には聖書のようにシアーズのカタログが配置されていた、ということで有名でしょうか。
スタートは、25ドルで売れる時計を14ドルで技手仲間に販売、彼らに再販を促し、その差額はすべて売った人のものである、とすることでお金を稼ぐ手段を提供したことがイノベーションの始まりでした。
シアーズが行ったイノベーションを、佐藤先生の解説をもとに列挙してみると……
★顧客を郊外に住む農民とし、交通手段が、馬、馬車、鉄道等に限られていた時代の買い物機会の提供のため
・ニーズにこたえるメーカーの発掘と商品開発
・遠隔地販売を行うための定期発行の客観情報を掲載したカタログ
・「買い手の危険負担」から「売り手の危険負担」に変える仕組み
・カタログ販売のための「発送工場」
・これらのことを実現するための人材
★時代が変わり、農民は工業労働者に変わっていったので、顧客の定義を自動車をもつ農民と都市人口とし、実店舗を配置するため
・大衆向けの商品の開発
・大量生産できるメーカーの育成
・店長を筆頭とした店舗マネジメント能力をもつ者の養成
・店舗コンセプトの開発
★さらに自動車所有人口の増加に伴い、駐車場を併設した郊外型ショッピングモールへの転換
(『実践するドラッカー【事業編】』p60参考)
これらは100年ほどの歴史の中で、1社が行ったイノベーションです。
もちろん、市場が成熟している日本で同様のイノベーションが起こすことはなかなか難しいことでしょう。
とはいえ、イノベーションをしなくてもいいわけではありませんし、世の中も人も、何も変化しないわけではありません。
シアーズは、時代の変化とともに顧客が変化していることを見逃しませんでした。
今の時代は、顧客の変化のスピードはシアーズの時代よりも格段に上がっているのではないでしょうか。
顧客が変われば事業も変わります。
人の興味関心は移ろうものですし、年齢を重ねるからこそ、人口ピラミッドが変わっていくからこそ、変わらないものはないんですよね。
2017年の出版時点からも変化は起きているかと思いますが、今も移行期の最中であろうと考え、『コトラーのマーケティング4.0』 (フィリップ・コトラー著 / 藏直人 編 朝日新聞出版)をご紹介します。
「生産主導のマーケティング(1.0)から顧客中心のマーケティング(2.0)へ、さらには人間中心のマーケティング(3.0)へという大きな変化について論じた。(中略)
本書の大前提は、マーケティングはデジタル経済におけるカスタマー・ジャーニー(訳注 製品やサービスを知った顧客が購入・推奨にいたるまでの道筋)の質の変化に適応する必要があるということだ。」(同書 まえがき)
顧客の変化をとらえきれていない場合は、そもそもの変化を知る、ということから始めてみてはいかがでしょうか。
一昔前と違い、マスを対象とした広報活動によって新商品の情報を得るよりも、家族や知人から紹介された商品のほうが信頼性が高く購買に結びつきやすい時代へと変化しています。
その中で、自ら提供するモノ・サービスをどのような手段で周知し、どのような流通チャネルを通じて顧客のもとに届けるか、再考する必要があるかもしれません。
コトラーは「私が現代マーケティングの父なら、ドラッカーは現代マーケティングの祖父である」とも言っていますよ。
あなたのドラッカーをより深めるためにも、ぜひご一読ください(*'ω'*)
シアーズのイノベーションは、次の一手をどう打つのか、気になるところです。
すでに通信販売事業は縮小され、2000年に全廃されており、1998年に設立されたインターネット上のショッピングサイト「シアーズ・ドットコム」に引き継がれているそうです。
他のオンラインショッピングサイトとどんな違いがあるのでしょう。
シアーズだからこその独自路線はどんなものなのでしょうか。
この先起こされるイノベーションにも注目ですね。
変化は大きいものとは限りません。
顧客を観察し、顧客の変化を敏感に察知し、顧客の声を聴き、変化に敏感に対応できる体制をつくることは、今からいくらでもできます。
あなたのまわりで起きている変化は、どのような変化ですか?
あなた自身が変化していると感じるのは、どのような変化ですか?
その変化は、あなたが提供するモノ・サービスへどのような影響を与えますか?
その変化に対応するために、あなたは何をしますか?
『実践するドラッカー【事業編】』
PART1 理論編 chapter2 顧客が事業である p59 #26
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実践するドラッカーシリーズは、膨大な数のドラッカー先生の言葉を選りすぐり、5つのテーマ別にまとめられた書籍です。
編著者の佐藤等先生は、札幌を中心に全国各地でドラッカーの書籍を中心に読書会を開催されてきました。
ドラッカー先生の言葉と佐藤先生の解説が1セット、そこかしこに「今のあなた」に必要な言葉が散りばめられています。
佐藤先生の解説は、ぜひそれぞれの書籍で確認してください(*^ω^*)
ここではわたしが感じたことをお伝えしていきます。
自ら考え、決定し、行動するあなたのためのドラッカー、一緒に探してみませんか?
【事業編】は、時間軸を意識し、自らを変革させていく姿勢と方法を習得するため、自らの事業を明確に定義するための補助線として書かれています。
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